「フォース・リリース」のカルテ(クソカード医学会用資料66)
まえがき
「フォース・リリース」は「二重の落とし穴」そしてあの「ウィンドフレーム」と同じく『PHANTOM DARKNESS』で登場した初期のデュアルサポートカードです。
1つ前のパックで登場した「スペシャル・デュアル・サモン」がくっそ使いづらかったせいか、ほぼ完全上位互換めいた効果で登場したやっぱり使いづらい何かです。(このエピソードだけでデュアルの症状の重さを物語ってますね)
デュアルのすべてを救うと決めた以上、これらのサポートカードにも使い道を見出すのは当然の責務。
いきなり「スペシャル・デュアル・サモン」に手を出すのはかなりやばそうなので、まずはこの手頃そうな類似品をどうにか使ってみましょう。
フォース・リリースについて
患者の性能は以下の通り。
自分フィールドのデュアルモンスターすべてを再度召喚状態にできるカードです。
「化合電界」や「時を裂く魔瞳」で召喚権を増やしたり、「トライワイトゾーン」や「完全燃焼」、ペンデュラム召喚で特殊召喚した2体以上のデュアルモンスターをまとめて再度召喚扱いにできるわけです。ええ。
……そもそもまず、普通の効果モンスターに要らないひと手間を補うだけの魔法という点がかなり苦しいです。普通は出してすぐ効果使えるもんね。
「トライワイトゾーン」のように通常モンスターの大量展開が望めるカードが増えれば話は変わってきますが、現状マイナスを0に持ってくるだけのカードと言わざるを得ません。
次に、デュアルモンスターが弱いので強みが活かせないのが大きな問題です。
「フォース・リリース」は速攻魔法なのでバトルフェイズや相手ターンにも発動でき、複数のデュアルモンスターを同時に再度召喚状態にできるのが本来強みであるはずです。
……が、例えば「地獄の暴走召喚」で同名のデュアルモンスターを複数体並べたとしても、その効果の多くは「2回攻撃」「相手モンスターを戦闘破壊したら1ドロー」「墓地リソースを使って1除去」等などの、物足りない効果ばかり。
効果を何度も使いたいサーチ効果持ちのデュアルモンスター「化合獣カーボン・クラブ」「重起士道ーゴルドナイト」……肝心のこの2枚には同名ターン1がある上に、ゴルドナイトのほうは召喚・特殊召喚時にしか効果を使えないので複数並べて同時に再度召喚状態にしても、特に恩恵がありません。つまり、デュアルモンスターを複数体同時に再度召喚状態にするという行為は何のアドにも繋がりません。(例外はバーン効果の「灼熱王パイロン」くらいでしょうか)
おまけにバトルフェイズや相手ターンに再度召喚状態にできるという点も、攻撃力1500くらいのモンスターが2100~2300位になる程度のしょぼいコンバットトリックに使うのが関の山。
はっきり言えば、「フォース・リリース」の強みを活かしてくれるデュアルモンスターが現状いないのです。厳密には「フォース・リリース」が悪いわけじゃないが。
そして、こんな有り様でありながら、効果を適用したモンスターがエンドフェイズに裏側守備表示になるという謎のデメリットがあります。「ヴィクティム・カウンター」と同じく。
何を恐れてるんだ……デュアルモンスターの何を……。
まとめると、
①デュアルモンスターを再度召喚状態にするだけの効果
②であるにもかかわらず相性の良いデュアルモンスターがいない
③挙句の果てにデメリットまである
となります。
頭を抱えていても仕方がないので、有用に使える部分をピックアップしていきましょう。
まず、普通に再度召喚状態にする用途には使えます。
何を言ってるんだ……と思われるでしょうが、つまり4枚目以降の「スーペルヴィス」としては普通に使えるという意味です。別に複数体デュアルモンスターを並べなくとも、相手ターンに使わなくとも、ロンファからリクルートしてきた「ギガプラント」を何としてでも再度召喚状態にしたい場合などにその役目をまっとうすることはできるというわけです。
次にデメリットである裏側守備表示になる点ですが、これは普通に裏になる前に素材や「デュアルスパーク」などのコストにしてしまったり、「魔砲戦機ダルマ・カルマ」で実質デメリットを回避したりできます。
【ゴーストリック】や【忍者】、【サブテラー】などの裏守備を戦術にしているテーマでならメリットにもなり得るでしょうか。
いったんストラクのお陰で組みやすい【忍者】にデュアルを混ぜる方向性で絞って考えてみました……が、正直混ぜて嬉しいデュアルモンスターがそんなにいない。
やはりダメか? 【ゴーストリック】に「魔族召喚士」とかの案のほうがいいか?
そう諦めかけていたところ、クソカード医学会員であり忍者識者、穿孔虫治療などで著名なゼラチン氏がご助言をくださいました。
このインストラクションのおかげで私は強大なるソウカイ・シックスゲイツの雄・アースクエイク=サンをどうにか撃破し……あ、違いますね。これ別の話でした。
正しくはこうです。
「ダークストーム・ドラゴン」は「大嵐」を内蔵したデュアルモンスターで、「デュアル・アブレーション」や「化合電界」などの永続罠・フィールド魔法を主軸にする現代デュアルデッキにおいて、使いづらいことこの上ないデュアルモンスターです。
しかし、効果はデュアルモンスターの中ではだいぶ強い。デュアルデッキに合わないだけで。
それを忍者デッキにおいて、邪魔になった魔法罠の処理がてら使おうという話ですね。
となると、「デュアル・アブレーション」抜きにこのカードを用意する手段が必要なわけですが、その点も忍者なら問題ありません。
「忍法 超変化の術」なら相手のモンスターを処理しつつ、「ダークストーム・ドラゴン」をリクルート可能です。ただし、このカードがフィールドから離れたら特殊召喚したモンスターは除外されてしまいます。
「ダークストーム・ドラゴン」の魔法罠の全除去効果を使うと、ダークストーム自身も除外されてしまう……のですが!
「フォース・リリース」を相手ターンに発動させ、裏側守備表示にしてしまえば「ダークストーム・ドラゴン」と「忍法 超変化の術」の関係が切れます。
つまりこうだ。
相手ターンに超変化の術で相手モンスターを処理しつつ「ダークストーム・ドラゴン」を特殊召喚
⇒エンドフェイズに「フォース・リリース」発動。即座にデメリットで裏側守備表示に
⇒自分ターンにダークストームを反転召喚し、再度召喚
⇒場に残ってはいるが生きる意味をなくした超変化の術をコストに、魔法罠全除去
⇒殴る。慈悲はない
裏守備にするだけなら「月の書」などもありますが、「フォース・リリース」ならゴルドナイトからのサーチも効きますし、自分ターンには再度召喚という本来の用途でも使用可能です。
「ヴィクティム・カウンター」もデュアルモンスターを裏守備にしてくれますが、発動タイミングが相手依存なので、確実性はありません。つまり、このコンボは「フォース・リリース」が最適となります。
私一人ではたどり着けなかったコンボへ導いてもらい、本格的な治療が開始しました。
いっちょやりましょう。
忍者デュアル
今回も初動は「捕食植物オフリス・スコーピオ」(およびそれをリクルートできる「ローンファイア・ブロッサム」)です。こいつらなら何でもできる。そう、デュアルならね。
①オフリスから手札コスト1枚消費してダーリングコブラのいつも流れ⇒「ブリリアント・フュージョン」をサーチ
②捕食2体でインヴォーカー⇒ゴルドナイトをリクルート
③「ブリリアント・フュージョン」で適当なジェムナイトと「Emトリック・クラウン」を素材に「ジェムナイト・セラフィ」
④墓地からトリック・クラウン蘇生
⑤セラフィで増えた召喚権でゴルドナイトを再度召喚⇒「デュアル・アブレーション」をサーチ
↑ここまでは「二重の落とし穴」のときと同じ。
⑥ゴルドナイトとクラウンでランク4「ヘルフレイムバンシー」をエクシーズ召喚⇒効果で「蛇眼の炎燐」サーチ
⑦ポプルスで「原罪宝-スネークアイ」をサーチ
⑧バンシーとポプルスで「剛炎の剣士」をリンク召喚⇒ポプルスの効果で自身を魔法罠へ
⑨永続魔法あつかいのポプルスを墓地に送り「原罪宝-スネークアイ」で「ジェット・シンクロン」をリクルート
⑩「ジェット・シンクロン」とセラフィで「ペンギン勇者」をシンクロ召喚⇒「ペンギン忍者」をセット
⑪「剛炎の剣士」とインヴォーカーで「聖騎士の追想 イゾルデ」
⑫イゾルデで「忍法装具 鉄土竜」を含む装備魔法を4枚墓地へ送り、「忍者マスター HANZO」リクルート
⑬HANZO=サンで「獣の忍者-獏」をサーチ・特殊召喚⇒墓地の「忍法装具 鉄土竜」を回収
⑭HANZO=サンと獏=サンで「忍者マスター SAIZO」リンク召喚⇒「忍法 超変化の術」をセット
⑮SAIZO=サンと「ペンギン忍者」で「戎の忍者-冥禪」特殊召喚
⑯余ったイゾルデと勇者と墓地の「ジェット・シンクロン」でアポロウーサなり咎姫で妨害を用意
長いわ。なので参考動画
上記の展開なら、
・「忍法 超変化の術」
・「フォース・リリース」
・コストの忍者モンスター
……と、先のコンボに必要なカードをすべて用意可能で、妨害も構えられます。
逆にロンファもオフリスも引けなかった場合や後攻の場合は、普通に忍者で戦うことになりますね。
魔法罠を処理できれば、冥禪のダイレクトアタックで相手モンスターを無視してゲームエンドまで持っていける他、仕留めそこねてもギガプラ展開や忍者で継戦可能。
これが嵐と闇に乗じて相手プレイヤーをサクッとスレイする異端のデュアルデッキ……【忍者デュアル】です。
相性のいいカード
上振れるとなんでもできるものの、事故率も上がるので採用は吟味が必要。
・「蟲の忍者-蜜」
条件の緩い特殊召喚から、妨害と素材のどちらでも。イゾルデを止められた場合などにいると助かる。
・「重の忍者-磁翁」
相手モンスターを裏にすると超変化の術が使えなくなるものの、妨害としては強力。
・「宙の忍者-鳥帷」
緊急時の壁や「冑の忍者-櫓丸」に融合しての妨害に。「スモール・ワールド」採用の場合、素引きしてもポプルス経由でロンファになる。
・「白竜の忍者」
ダークストームを素引きした場合の超変化先と、トリッククラウンを素引きした場合のセラフィの素材を兼用。
・「エヴォルカイザー・ラーズ」
初手で「フォース・リリース」か「スーペルヴィス」があり、ロンファ初動の場合はエクシーズ召喚可能。万能妨害は強いものの、対象を取るしフィールド限定。
デッキ構築
ソリティア要素多いので、どちらかというとランクマより医学会向け。でも初動が細いので医学会でも披露できる気もしない。
実績を撮るためにランクマに潜っていたときはうらら墓穴の他に「スモール・ワールド」を採用してました。
使用感としては、
・展開が長い
・初動が細い
・誘発に弱い
・後攻だとほぼデュアル要素要らなくなる
・上振れるとサレンダーされる
……と、まったくコンボが決まるまでいかなかったですね……。アイデア自体はだいぶ前にまとまってたんですが……。
デッキの出来自体はかなりお気に入り。
実績。
あとがき
忍者デッキ作るとニンジャスレイヤーネタが増えてしまうの、すみません。大好きなんです……。
それはともかく「二重の落とし穴」と違って、勝敗に直結するような派手な効果ではないので、「フォース・リリース」をどう活かすかを考えるのが大変でした。ただ、新規デュアルが登場すれば一番躍進しそうなカードでもあります。ペンデュラムのデュアルモンスターとか出ないかな……。
十分大変でしたが、「スペシャル・デュアル・サモン」「デュアル・ブースター」という輪をかけてやばいデュアルサポートカードもいるので、今回の経験を活かしてさらなる修羅の道へと踏み入ろうと思います。
蟲惑魔デュアルと同じく、「フォース・リリース」を活かそうとしなければ忍者デュアルはもっと違う形になりそうです。アブレーション共有できる火光や、罠の確保のしやすさで「成金忍者」を主軸にする形でしょうか。
デュアルの忍者モンスターが出ればかなり使い勝手が変わりそうなんですが……。
次回は「暗黒恐獣(Ver.3)」になります。他には
・「ブラック・ブルドラゴ」⇒パーツがまだ集まらず
・「竜影魚レイ・ブロント」⇒新規待ち
・「ポンコツの意地」⇒暗礁に乗り上げてる
・待合室患者の「クリスタル・ドラゴン」⇒治療案が思いついたので研究中
……となります。
最後に、ゼラチンさんには改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。
おまけ
最近作ったデッキ。
【苦痛ワンフーwith光デュアル】:デュエルトライアル「タイムトラベル2010」で使用。名前のとおりである。メタビは好みじゃないけど、全盛期のデュアルをフルパワーで使いたかったんや……。
【魚デュアル】:【光デュアル】に「竜影魚レイ・ブロント」と「光鱗のトビウオ」、「フィッシャー・チャージ」を組み込んだデッキ。まあ普通に【光デュアル】のが強いっすね。
【化合忍者スプライト】:今回の治療のプロト版。レベル2忍者と化合獣をスプライトで橋渡しするデッキ……だけど、正直微妙というか忍者の長所が完全に死んでた。
【レガシー100】:ぶんぶんさんとあまくだりさんたちのコラボ配信が面白かったので、自分も作成してソロモードの低難度相手と戦って遊んでた。帝王とかエレメントセイバーは互角で面白かったけど、電子光虫辺りから手も足も出なくなる。