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軽症患者もしくは危篤患者のカルテ(クソカード医学会用資料33)

まえがき

 あまくだりさん主催のクソカード診療所に触発され、クソカード医学の道を志し9ヶ月ほど。クソカード医学会参加用に私なりにいくらかの患者を診断し、構築し、学会用に採用したものもしていないものも記事にし続けてきたのですが、その過程で記事にならない患者というのもいくらかいました。
 診断すると「思ってたほどクソカードでもないな……」と普通に強いことが明らかになった軽症患者、もしくは「ちょっと私じゃどう救えばいいかわからん……」となった危篤患者がそれです。
 一つの記事にするにはネタが薄く、かと言ってお蔵入りするのも何なので、そんな患者たちの記録を簡易的にまとめました。
 私以外の誰かが、この記録を有効活用しさらなる治療法を確立してくれたら幸いです。
 そんな患者は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)

言うほどクソカードでもなかった患者

ガーディアン・グラール

高打点、自己特殊召喚可能、属性種族も優秀。ガーディアン切っての優等生。
地味だが扱いやすく優秀。バグースカなどとあわせるだけでも結構な制圧力。

 ガーディアンモンスターの中では一番優秀と言われる「ガーディアン・グラール」。言うてそのガーディアンモンスターというくくり自体が治安世紀末な超低ランク校のようなものなので、グラールもそんな使えないんでしょ?

 ……などと思い診断してみたのですが、まず"自己特殊召喚可能なレベル5モンスター"という点で「サイバー・ドラゴン」「超量士レッドレイヤー」「らくがきじゅうーすてご」などと併用が可能、ランク5構築しやすい個性です。
 レッドレイヤーとなら焔聖騎士や「ゴッドフェニックス・ギア・フリード」等と併せてランク5軸の【装備ビート】にできますし、すてごとなら「らくがきちょうーとおせんぼ」「化石調査」対応なのを活かしエクシーズ【恐竜族】構築にできます。

 さらに"手札にこのカード1枚しかない場合"というのも、手札からの特殊召喚や伏せカードを多用するデッキと相性が良いです。
 前者なら地属性なので【春化精】、後者なら恐竜族を活かして【ダイノルフィア】で活躍が見込めます。
 装備魔法のサーチ手段こそ求められますが、その装備魔法も「究極伝導恐獣」との食い合わせがよく競合となるカードもないため、総合的に見てもポテンシャルは結構高いと思われました。なのでなんかもう「患者じゃなくね?」となり治療は中止。
 紙の方で恐竜族強化も来ましたし、今後も相性のいいカードは増えそうですね。お大事に。

ガーディアン・シール

守備力が200だったらもっとよかった。
使いづらそうに見えて、相手のデバフとしても使えるので案外取り回しはいい。

 グラールがそんな感じならもう一方のガーディアンモンスター優等生「ガーディアン・シール」はどうだろう? とこちらも診断。
 装備カードを消費するとは言え、ターン1のない除去効果は普通に使えますし、「デーモンの杖」「焔聖騎士ーローラン」などとも相性が良いです。
 一方、実は効果だけを見ると「エヴォルテクター シュヴァリエ」の完全劣化でもあります。

デュアルなので効果発動までが手間ではあるけど、
その点はガーディアンモンスターも大概であるため大差なしか。

 この手の劣化問題は、"併用する"のが一番簡単な解決法なんですが、よりにもよってシュヴァリエは自分の装備魔法以外もコストに使えるので併用する意味もなく、「焔聖騎士とサポートを共有できる炎属性戦士族」「普通に打点も高い」「通常モンスター&デュアルサポート対応」等の点でもシュヴァリエの優位は大きいです。

 じゃあどうするかというと、単純に「ウェポンサモナー」でのガーディアン軸で組めば劣化は免れます。
 サモナーやシールのリバースに「カオス・インフィニティ」を使えばリバースと展開を同時に行えランク4につなげられますし、ランク4には「ガガガガンマン」「No.82 ハートランドラコ」などバーンや直接攻撃効果持ちも多いので「流星の弓ーシール」含む各種装備魔法と併せてトリッキーなデッキにできます。
 【装備ビート】と【ビートバーン】のハーフみたいな感じ。ダメージ重視なぶん、盤面への干渉が弱くなるのでシールの除去効果も腐りません。
 他にも、
・シールは炎族なので「ダイナ・ベース」から「起爆獣ヴァルカノン」や「重爆撃禽 ボム・フェネクス」を出す
・「ウェポンサモナー」でサーチ可能な「ガーディアン・スライム」から「神・スライム」を出して守る
・不利な状況は「No.41 泥酔魔獣バグースカ」の誤魔化しや直接攻撃からの「天霆號アーゼウス」でリセット
 ……とランク4の層の厚さにガーディアンを軸にした攻めの多彩さでかなり扱いやすいデッキになりました。(ゴールド低ランク帯で実績あり)
 ただし、まとまりがよすぎて面白みもあんまなかったし、比較的劣化といえど除去効果も普通に優秀だなという感じだったので治療はここで終了。
 炎族も紙の方で強化が来たので、さらなる飛躍が期待できます。

アルティメット・インセクトLV7

耐性はないものの、打点は実質3300。

 やはり問題児を多く抱えるレベルモンスターの一角。
 レベルモンスターはかなり取り回しが面倒ですが、アルティメットインセクトは実はその永続攻撃力ダウンを「王虎ワンフー」と組み合わせた【アルティメット王虎】という由緒正しい(?)メタビ系デッキがあったりします。
 このデッキはアルティメットインセクトの役割を「強者の苦痛」にすげ替えた【苦痛ワンフー】、さらにデスフェニや「星空蝶」にすげ替えたグッドスタッフ系【勇者ワンフー】、さらにさらに「苗と霞の春化精」にすげ替えた【春化精ワンフー】など様々な発展形を生み出しています。

 じゃあもうアルティメットインセクトに出番はないね、と思われていたのですが、アルティメットインセクトもワンフーも「忍法 変化の術」に対応しているため【アルティメット忍者王虎】として現代でも構築できたりします。デスフェニ出張セットも投入可能。
 使ってみるとわかりますが、攻撃力永続700ダウン+ワンフーの制圧力はかなりのもので、決まるとなかなかエグいです。手間はかかるものの、手間の割りには合うといった感じ。
 とはいえ医学会的な場ではこういう極端なメタビ系デッキは面白くもないかなと思い一旦治療計画は凍結。派手なコンボでもないですしね。

 "一旦"凍結、と但し書きがあるのは理由があって、相手ターンの変化の術からLV7を呼べる「アルティメット・インセクトLV5」、昆虫族の豊富な各種リクルーター・サーチャーに対応の「アルティメット・インセクトLV3」はLV7治療の過程で救えるんですが、「アルティメット・インセクトLV1」は存在意義が見つけられなかったので、こいつの治療はいつかチャレンジするかもという意図です。
 レベルモンスターの業は深い。

「ガーディアン・ケースト」と「プチモス」を足したみたいな奴。


一見救えそうだけど治療法が見つからない患者

ヴァンパイアジェネシス

ストラクチャーデッキを買ったら真っ先に抜くことを推奨されたという。
看板モンスターなのに。

 「ヘルフレイムエンペラー」「魔王ディアボロス」等、患者揃いの初期ストラクチャーデッキの看板モンスターの中でも特筆すべき一枚。
 問題点1は召喚条件。「ヴァンパイア・ロード」自体は現在の環境ならやすやすと用意できるものの、墓地肥やしと蘇生が特色のアンデット族/ヴァンパイアカテゴリに属していながら、よりによってロードを除外し、しかも自分自身も蘇生不可とかいうあまりの噛み合わなさが頭を悩ませます。
 問題点2となる蘇生効果は逆に、アンデット族やヴァンパイアカテゴリにありふれている蘇生効果。「ゾンビ・マスター」とやや被ってるし、他に使い安い蘇生手段は豊富に揃っている。使って使えなくはないものの、個性として活かすのはいささかならず厳しいですね。
 アンデット族/ヴァンパイアという恵まれたグループに属していながら、召喚条件は噛み合わず、効果はありふれている……。逆に召喚条件がありふれていて効果が特徴的なら良かったのに。

 以上を踏まえてこいつ独自の利点を探すと"メインデッキに入る3000打点ヴァンパイア"なところくらいです。これを活かすとなると「ヴァンパイア帝国」「ヴァンパイア・フロイライン」「ダーク・オネスト」などで戦闘ダメージをかち上げ、「ヴァンパイアの領域」でたくさん回復するみたいな旧時代的なデッキになってしまいそう(というかなった)。
 【ゴリ押しヴァンパイア】といえば面白そうではあるものの、ヴァンパイアお得意の蘇生・コントロール奪取を捨ててまでやることか? という悩みもあり、一旦凍結。
 普通のアンデット/ヴァンパイア新規が来ても根治に至らなそうなのがなお辛い……。アニメGXのカミューラが使っていたのでアニクロで専用サポートが出るのを祈るしかないのだろうか……。

必殺!黒蠍コンビネーション

ある意味必殺技カードの元祖。

 黒蠍のロマンカード。
 黒蠍盗掘団一同は戦闘ダメージを与えると効果を発動できるので、直接攻撃でそれらを連続発動可能という意図のようです。
 何をおいてもまずこの厳しい発動条件が目を引きます。「黒蠍団招集」を使えば場に一気に場に揃うものの、その「黒蠍団招集」と召喚するモンスター各種を手札に引き込む必要があり、あんまり手間は変わりません。
 また、発動してもなぜか与える戦闘ダメージが下がります。トゥーンといい「暗黒恐獣」といい、昔のコナミは露骨にダイレクトアタックを警戒してたようで、それですね。黒蠍全員分合算してもワンキルは無理なんだから許せよ。

 とはいえ、戦士族のサーチ・リクルートを強力にサポートする「聖騎士の追想イゾルデ」や、戦闘ダメージを与えやすくする「月鏡の盾」、相手のフェイズスキップやダイレクトアタックができるようになる竹光カードなど、噛み合いのいいカードも増えてきたので発動自体は容易になってきたはず。
 ……と考えて【竹光黒蠍】を組んでみたところ、これがなかなか強い。ソロモード程度なら勝てる勝てる。イゾルデを何度も出して黒蠍を集め、月鏡や竹光でミーネの効果を通し招集や必殺もサーチ。竹光のフェイズスキップ効果と後続の黒蠍の除去・ハンデスで相手の反撃の芽を摘む……黒蠍ってこんなに強かったのかと驚きました。
 そして同時に気がつきました。

 盤面が「必殺!黒蠍コンビネーション」発動可能な状況に近づけば近づくほど「必殺!黒蠍コンビネーション」が必要なくなるのです。
 なんだこれ。

「必殺!黒蠍コンビネーション」を発動し、黒蠍や竹光の効果で完封に近いコントロールを行う(目標)
⇒そのためにはミーネの効果を通してサーチを行うのはほぼ必須
⇒そのために竹光や月鏡で補助
⇒発動準備が整ってる時点で「必殺!~」に頼らず戦闘ダメージを与えられる状況だし、ライフも削れてる
⇒発動しないほうが早くケリがつく

 そう、発動条件や与えるダメージの低下などではなく、この悲しいジレンマこそが「必殺!黒蠍コンビネーション」の真の病だったのです。
 これを解決するとなると、1ターンで場に黒蠍5種を全員揃えて(罠カードである)「必殺!黒蠍コンビネーション」を発動するみたいな真似を実現しないといけません。しかもワンキルできるわけでもなく必要なカードも多いので、デッキを引き切るみたいな荒業もかなり使いづらい。これを可能にする展開ルートの開拓はちょっと私には荷が重いです……。
 黒蠍はセブンスターズとしてアニメGXに出ていたりするので、こちらもヴァンパイアジェネシスと同じくアニクロで強化されないでしょうかね……。

闇の芸術家

完全下位互換系を除けば、最もあの世に近いカード。

 「悪魔の知恵」や「邪悪なるワーム・ビースト」と同じく、第1期の意味わからん系効果モンスターの1体。
 サポート豊富(埋没気味とも言う)な闇属性、悪魔族、レベル3でありながら、なんとこの低ステータスでデメリット持ち
 これだけならよくいるクソカードなんですが、効果をもっと噛み砕くと最悪に近いデメリット効果を持つ超重症患者ということがわかります。
 簡単に治療してくれとか言えなくなるくらい。

 上記の通り、埋没気味な属性、種族、レベルなので効果で個性を出すしかないのですが、よりにもよってその効果が"守備力が半分になる"というデメリット。なのでデメリットをどうにかメリットに転用しないと救えないのですが、このデメリットがいかにしてもメリットになってくれないのです。

 まず、"半分になる"なのでアップダウンを逆にする「あまのじゃくの呪い」の効果を受けず、守備は上がってくれません。
 しかもダメージ計算時に適用されるするチェーンを組まない(発動しない)効果なので、「D2シールド」等で守備力をいくら上げても最終的に半分になります。
 同じダメージ計算時に発動する効果なら干渉できるはずと「無千ジャミング」を用いても、「無千ジャミング」適用後になぜか効果がもう一度発動するため無意味。(※黒庭ドレッドルート理論と同様なのだと思われる)
 じゃあ守備力が低い点を利用しようかとなると、ならそもそも守備0モンスターでいいとなる。
 どうすりゃいいんだよ。「あまのじゃくの呪い」のような"ステータスの倍と半減を逆にする"みたいなカードが来てようやくスタートラインに立てる……気がする。
 私にはちょっと治療無理ですね。

あとがき

 上記はあくまで私の主観ですので、「十分クソカードだろ」とか「いやこれは救えるでしょ」などがあってもご容赦ください。むしろ他の方の治療報告書もよく拝見していますし、治療されるようなら私もぜひ見てみたいです。
 特に危篤患者のほうは、あまくだりさんをはじめとしてクソカード医学会には天才が集うので、私には考え及びもつかない方法で救ってくれる方がいるかもしれませんね。
 私も彼らが救われる日を楽しみに待っています。

 次回はいつもの治療に戻ります。
 患者は「ドリラゴ」か「灼岩魔獣」&「氷岩魔獣」を考えています。「ドリラゴ」も大概軽症でしたが……。

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