「閃光のバリア -シャイニング・フォース-」のカルテ(クソカード医学会用資料57)
まえがき
皆さんもうすぐ新年度ですね。私は年度末の過剰タスク地獄も終わり、ようやくお休みを取得できました。しんどい。
仕事もする。治療もする。「両方」やらなくっちゃあならないってのが「クソカード医師」のつらいところだな。覚悟はいいか? 私はできてる。
というわけで今回は、「閃光のバリア -シャイニング・フォース-」を診ていきたいと思います。
「閃光のバリア -シャイニング・フォース-」は、「ヴォルカニック・デビル」がパッケージを飾った第5期パック『FORCE OF THE BREAKER』にて登場した通常罠カードで、名前からも分かる通り「聖なるバリア -ミラーフォース-」から続く攻撃反応型罠であるバリアシリーズの3枚目です。
9期に続々と登場した後継バリアたちと違い、このカードは純粋に当時禁止と制限を行ったり来たりしていた聖なるバリアの調整版として生み出され、制限解除されたミラフォと特に活躍しないまま一線を退きました。死産では。
そんな閃光といいつつ根っからの日陰者に、どうにか日の目を浴びせて上げたいと思います。
閃光のバリア -シャイニング・フォース-について
患者の性能は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)
つまるところ、相手フィールド上の攻撃表示モンスターが3体以上でないと発動できないだけのミラーフォースです。
いわゆる……下位互換ですね。
ミラーフォースが禁止や制限であればまだ代用として使えた……と見せかけて、登場当時はそこまで展開力のあるデッキはなかった上、サイコ・ショッカーの全盛期だったので普通に使われていませんでした。
展開力のあるデッキが増えて以降は輝いたかというと、同時にバック除去手段も増加したため攻撃反応型罠自体が下火となり、【甲虫装機】が活躍した辺りでとうとう上位互換の「聖なるバリア -ミラーフォース-」が緩和されて無制限となってしまい、採用価値が消滅しました。
それでもギリギリ理屈上は4枚目以降のミラフォとしての立場は維持できていたものの、(そもそもミラフォ3枚どころか1枚も入れないことがざらだが)神風、豪炎、砂塵と強力な後継バリアが登場したためその立ち位置すらなくなり、今は完全に呼吸をしていません。
救うの無理では?
問題点をまとめると、
①「聖なるバリア -ミラーフォース-」および他のバリアに完全に劣っている
②攻撃反応型罠自体が使いづらい
となります。
②はまあ天獄さんこと「天獄の王」やラビュリンスでサポートすればまだ使えるとして、結局このカードに存在意義を見出すには①の下位互換問題と向き合わねばなりません。
患者と向き合え……向き合えば何かが見えてくるはず……。
そうして「閃光のバリア -シャイニング・フォース-」と向き合い続けて気がついたのは、このカードはwikiにかかれているようなミラフォの完全下位互換ではないということです。
あえて先程の診察でも完全下位互換とは言っていません。
「何いってんだこいつは……頭パラサイドか?」と思った方は、ぜひこのカードと向き合ってみてください。つまり、相手がこのカードを伏せていると仮定して次の行動を考えてみてください。除去すんなよ。
…………うまくシミュレーション出来たでしょうか。
次に、相手がミラフォを伏せている場合を考えてみてください。
…………違いに気が付いたでしょうか。
おそらく、あなたは伏せてあるシャイフォと向き合ってこう思ったのではないでしょうか。
「モンスター2体以下で攻撃すればいいか」
……と。
そう、ミラフォであれば攻撃表示モンスターが何体であろうと発動するので、除去できなければステイが安牌になります。
一方でシャイフォは構造に欠陥があるのでまったく脅威にならず、相手が普通に攻撃してくるのです。なんなら除去すらしない可能性があります。
カードのテキスト上では確かに完全下位互換ですが、実際のデュエルにおいての心理、行動予測を含めるとこれらは天と地ほども違う。
ミラフォは相手が踏むことを期待して置く地雷であるのに対し、シャイフォは相手にあえて見せて置くことで、相手の行動を誘導する罠なのです。
最初の特効薬は決まりましたね。
「トラップトラック」「トラップトリック」で相手に見せて罠を置き、相手に2体以下のモンスターでの攻撃を誘います。
仮にシャイフォが除去されても特に困らないのも偉い。
次に、相手に2体以下のモンスターで攻撃させてどうするのかを考えます。それについてはこちら、
「ナイトメア・デーモンズ」は相手の場に攻撃表示のトークンを3体特殊召喚します。このトークンが破壊されると1体につき800のダメージをコントローラーに与えます。
つまり、相手が安全だと過信して2体以下のモンスターで攻撃ようとバトルフェイズに突入してきた場合、突然3体増やしてシャイフォの発動条件を満たすことが可能です。そのまま攻撃すれば全滅にダメージのおまけつきで。
しかしここで、それに気がついた相手が攻撃せずにバトルフェイズを終了することも考えられます。なので最後の特効薬。
「ライトローミディアム」は相手バトルフェイズ開始時に、相手のフィールドの攻撃表示モンスターを任意の数だけ対象とし、このカードのへの攻撃を強制させます。
バトルフェイズ開始時にこの効果を発動し、チェーンして「ナイトメア・デーモンズ」を発動すれば、相手のモンスターの攻撃を強制させ絶対シャイフォを踏ませることが可能です。
また②の効果は1ターンに1度だけ攻撃を無効にし、その攻撃モンスターの攻撃力の半分のバーンダメージを与えられます。トークンの破壊ダメージと合わせてライフ差を広げられますし、この効果のおかげで1度の攻撃ではライトローちゃんを絶対に突破できないので、相手に2体以上のモンスターでの攻撃を誘うことが出来ます。シャイフォを素引きして相手に見せられず伏せたとしても、これにより普通に発動条件を満たしやすくなるので相性はバッチリです。
シャイフォを輝かせる手段は見つかりました。あとはこのコンボを成功させるデッキを組むだけです。
シャイニングライト
「ライトローミディアム」はレエル2モンスターなので【スプライト】、そして通常罠を多用するので【ラビュリンス】を使います。バリア抜いたほうが強そうは禁句な。 【スプライト】も低打点になりやすいので、「とりあえずディアベルスターでレッドかキャロット殴ってから展開するわ」みたいな状況で、ライトローちゃんディフェンスを決めやすくなるシナジーはあります。
初動は「B・Fー毒針のニードル」か「深海のディーヴァ」。
「ゴヨウ・ディフェンダー」経由でイゾルデを出し、「妖刀竹光」を墓地に送ってリナルドで回収。「燃え竹光」をサーチし妖刀をサルベージすれば相手のメインフェイズ1をスキップ可能になり、次のターン以降にライトローちゃんシャイフォコンボが決めやすくなります。
イゾルデとリナルドで「スプライト・エルフ」を出し、展開初動のニードルかディーヴァを蘇生すればギガスプ⇒ブルー⇒スプライト展開となります。ブルーかジェットかスターターを素引きできていればライトローちゃんを直接リクルートしたり、「白銀の城の火吹炉」から「ビッグウェルカム・ラビュリンス」で罠の準備に入ることもできます。
あとはスプライトで妨害しつつ、相手が「暴力で解決!」と殴ってきたところをコンボで底知れぬ絶望の淵へ沈め、バーンダメージと次ターンの総攻撃で締めます。
これぞミラフォだと成立しない閃光のバリアとライトローちゃんのためのデッキ、【シャイニングライト】です。頭痛が痛いみたいなデッキ名。
相性のいいカード
あんまりラビュリンスを入れすぎるとバリアが抜けるので、最低限に。
・「黒魔導師クラン」
別に三沢くん的な理由での採用ではなく、相手がモンスターを守備で固めてきた場合にバーンで削れるレベル2モンスターを探したらこの子がいたという話。その場合も竹光でダイレクトアタックすればいいのであんま必要ではない。じゃあやっぱり三沢くん的な理由での採用では?
・「ヒーロー・キッズ」
イゾルデでサーチする戦士族。エルフで蘇生とかすれば展開が伸びたり伸びなかったり。
・「スプライト・ピクシーズ」
ライトローちゃんの効果が無効にされ殴られそうな時、突然舞い降りて返り討ちにする用。
・「天獄の王」
天獄さん。伏せカードを守るのはもちろん、このカードを特殊召喚して「トラップトラック」を持ってきて割り、本命の罠をセットすることもできる。天獄さんは犠牲となったのだ……犠牲の犠牲にな……。
デッキ構築
素引きしたくないカードがそこそこあるので、デッキ枚数は多めにしてる。レッドとキャロットが多いのは、イゾルデに無効を打たれても展開が続きやすくなるように。
姫様は攻守が高すぎて相手が攻撃を渋るかもなので、「白銀の城の魔神像」とかでもいいかもしれない。どっちにしろこいつもそこそこの打点になっちゃうが。
使用感は…………ううん……なんとも言えない。
まずソロモードだと相手があまり考えずに突っ込んでくるので、ライトローちゃんだけで勝手に死んでいく。
ランクマだと誘発なくてもプラチナ帯で3回に1回くらいは勝てる…………けど、ほぼスプライトとラビュリンスのゴリ押しになり、シャイフォが決まったのは事故ったときに偶然何度かといった程度。
コンセプトは正しいと思うんですが、再現ができない……重症度の評価も難しい……。コンボが決まるかどうかの観点で評価すると2.5以下でしょうか。
あとがき
治療に成功したかというと微妙なラインですが、ミラフォの完全下位互換ではないということは証明できたんじゃないでしょうか。
医学会環境だと対戦が緩めなので、そこで実演ができるようブラッシュアップを続けたいと思います。
次回は今度こそ「八つ手サソリ」か、先にデュアル学をまとめるかもしれません。新年度からはまた忙しいと思うのであまり期待しないでください。
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