フィルムカメラ
夏を迎えるにあたり、自分自身の日常にマンネリを感じていたぼくは、何か新しいことにチャレンジしたいと考えていました。
本当は山登りがしたいんだけど、休日に子どもをほったらかして一人で山に行くことはできない。
子どもと一緒に過ごす中で、なおかつ新しいこと・・・。
と考えていたとき、ふと思いつきました。
そうだ、今度こそカメラをちゃんと学び直そう、と。
昔から写真や映像に興味がありました。
大学時代、特にバンド活動を始めてからは、記録することが大事だと思い、常に写真や動画の撮影を続けてきました。
パートがボーカルで特に持っていく楽器もないので、自分の機材はカメラだと思っていました(笑)。
今は被写体の対象が子どもになり、普段はSONYのα6500で家族のポートレートをメインに撮影しています。
Photoshopもある程度使えるのですが、全て我流で、そもそも撮影の基本的な知識は持っていません。
これまでは、基本カメラの性能に頼って撮影をし、フォトショップで加工編集してきたのですが、そもそも根本を解っていないというジレンマは、いつも感じていました。
だからこそ、ここでちゃんと学び直したいなぁと。
そんなことを考えながら眺めていた一冊の写真集。
大好きな星野道夫さんの『グリズリー』。
その巻末に、道夫さんが撮影で使っていたカメラの情報が記載されていました。
”Nikon FE”
そうだ、フィルムカメラを買おう!
ニコンFEを買おう!
(この時は、フィルムの価格がまさかここまで高騰していることは梅雨知らず・・・)
単純なぼくは、すぐに友人の写真家アキタヒデキに連絡。
アキタくんに相談しながら、フリマサイトで売られていたレンズ付きのFEを購入しました。
1978年に誕生したNikon FE。
ぼくより2つ年上です。
当時「シンプルニコン」というキャッチコピーが採用されていたこの機種。
絞り優先AE、自動露出が可能であるため、フィルムカメラ初心者のぼくにとっても安心。
そして、何より道夫さんが使っていたカメラ(と同機種)!
今回、カメラのイロハを学ぶにあたり、参考書を1冊借りて、2冊購入しました。
最初に借りた本はこちら。
写真のイロハ以前に、読み物として普通に面白かったです。
ナショジオの掲載写真はどれも素晴らしいので、構図などとても参考になります。
ただ、基礎基本を学ぶという意味では、若干難易度が高く・・・。
そこで購入した本がこちら。
少し古い情報もありますが、基本的にこの2冊は文字量が抑えられていて、撮影に必要な知識が図解などでていねいに説明されており、とても理解しやすかったです。
古本屋で何冊か他の専門書も立ち読みをしたのですが、書いてある内容は同じだったので、イロハを知るにはこれで十分だと思います。
フィルムカメラを実際に使い始めて、まずはじめのびっくり。
何せ、どこでも買えると思っていた肝心の35mmフィルムが売ってない!
しかも、めちゃくちゃ高い!!!
ぼくの脳みそでは、フィルム1本400円程度で時代が止まっていたため、感覚的には3倍の値段!
次のびっくり。
最初に入れた36枚撮りフィルム、なぜか24枚目でシャッターが切れなくなり、テンパったぼくはそこでフィルムを巻き戻し強制終了。
12枚も無駄にしました。
巻き上げをミスったか、原因はわかりませんが、「そんな時は電気を使わないでシャッターを切ってみるといいよ」というアキタくんのアドバイスをもらい、のちの良い経験になりました。
そして、現像してびっくり。
なんだかわからないけど、赤い線とか、白い線とか、勝手に加工された写真みたいになっている・・・!!!
また、アキタくんに相談。
「モルトが劣化してるのかもね」
モルト??
いきなりウィスキーですか???
違いました(笑)。
モルトとは、カメラの裏蓋の溝や、一眼レフのミラーが当たる部分などに貼られている黒いスポンジのようなもので、正式名称は「モルトプレーン」と言うそうです。
モルトの役割はフィルム室の遮光にあり、ぼくのFEを見たら案の定モルトはほぼ無い状態でした(そりゃこうなるわけだ)。
こんな感じで、一つ一つに緊張感があり、失敗があり、学びがあり。
新鮮な体験の連続です。
デジカメだと、写した次の瞬間には画像が見れます。
正直、ちゃんと写っていることにありがたみは感じません。
でも、フィルムだとそうはいかない。
写真屋さんに現像を出し、どきどきワクワクしながら待つ時間があります。
そして、現像された写真に一喜一憂します。
もちろん、お金もかかります。
FEを使いはじめて、気づいたことがあります。
シャッターを押した瞬間の像が、記憶にはっきりと残っているのです。
どこで、何を撮ったか。
鮮明に覚えています。
なるほど。
これは「心象スケッチ」なんだ。
宮沢賢治がそうしたように。
ぼくはカメラで、ぼく自身の心象をスケッチするんだ。
そう考えると、ますますフィルムカメラに愛着が湧きます。
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