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フィルムカメラ

夏を迎えるにあたり、自分自身の日常にマンネリを感じていたぼくは、何か新しいことにチャレンジしたいと考えていました。

本当は山登りがしたいんだけど、休日に子どもをほったらかして一人で山に行くことはできない。

子どもと一緒に過ごす中で、なおかつ新しいこと・・・。

と考えていたとき、ふと思いつきました。

そうだ、今度こそカメラをちゃんと学び直そう、と。


昔から写真や映像に興味がありました。

大学時代、特にバンド活動を始めてからは、記録することが大事だと思い、常に写真や動画の撮影を続けてきました。

2006年evylockアメリカ東海岸ツアー、NYにて(コンパクトカメラ 35mmフィルム)

パートがボーカルで特に持っていく楽器もないので、自分の機材はカメラだと思っていました(笑)。


今は被写体の対象が子どもになり、普段はSONYのα6500で家族のポートレートをメインに撮影しています。

Photoshopもある程度使えるのですが、全て我流で、そもそも撮影の基本的な知識は持っていません。

これまでは、基本カメラの性能に頼って撮影をし、フォトショップで加工編集してきたのですが、そもそも根本を解っていないというジレンマは、いつも感じていました。

だからこそ、ここでちゃんと学び直したいなぁと。

そんなことを考えながら眺めていた一冊の写真集。

大好きな星野道夫さんの『グリズリー』。

その巻末に、道夫さんが撮影で使っていたカメラの情報が記載されていました。

”Nikon FE”

そうだ、フィルムカメラを買おう!

ニコンFEを買おう!

(この時は、フィルムの価格がまさかここまで高騰していることは梅雨知らず・・・)


単純なぼくは、すぐに友人の写真家アキタヒデキに連絡。

アキタくんに相談しながら、フリマサイトで売られていたレンズ付きのFEを購入しました。


購入したNikon FE、MD-12も付いていました。


1978年に誕生したNikon FE。

ぼくより2つ年上です。

当時「シンプルニコン」というキャッチコピーが採用されていたこの機種。

絞り優先AE、自動露出が可能であるため、フィルムカメラ初心者のぼくにとっても安心。

そして、何より道夫さんが使っていたカメラ(と同機種)!


今回、カメラのイロハを学ぶにあたり、参考書を1冊借りて、2冊購入しました。

最初に借りた本はこちら。

写真のイロハ以前に、読み物として普通に面白かったです。

ナショジオの掲載写真はどれも素晴らしいので、構図などとても参考になります。

ただ、基礎基本を学ぶという意味では、若干難易度が高く・・・。

そこで購入した本がこちら。

少し古い情報もありますが、基本的にこの2冊は文字量が抑えられていて、撮影に必要な知識が図解などでていねいに説明されており、とても理解しやすかったです。

古本屋で何冊か他の専門書も立ち読みをしたのですが、書いてある内容は同じだったので、イロハを知るにはこれで十分だと思います。


フィルムカメラを実際に使い始めて、まずはじめのびっくり。

何せ、どこでも買えると思っていた肝心の35mmフィルムが売ってない!

しかも、めちゃくちゃ高い!!!

ぼくの脳みそでは、フィルム1本400円程度で時代が止まっていたため、感覚的には3倍の値段!


次のびっくり。

最初に入れた36枚撮りフィルム、なぜか24枚目でシャッターが切れなくなり、テンパったぼくはそこでフィルムを巻き戻し強制終了。

12枚も無駄にしました。

巻き上げをミスったか、原因はわかりませんが、「そんな時は電気を使わないでシャッターを切ってみるといいよ」というアキタくんのアドバイスをもらい、のちの良い経験になりました。


そして、現像してびっくり。

なんだかわからないけど、赤い線とか、白い線とか、勝手に加工された写真みたいになっている・・・!!!

円山山頂から札幌の眺望(Nikon FE / Nikkor 50mm F1.8)


白石にあるライブハウスPIGSTY、かつては劇場でした(Nikon FE / Nikkor 50mm F1.8)


リハーサル中のevylock(Nikon FE / Nikkor 50mm F1.8)


これはこれで好きなのですが(Nikon FE / Nikkor 50mm F1.8)


また、アキタくんに相談。

「モルトが劣化してるのかもね」

モルト??

いきなりウィスキーですか???

違いました(笑)。

モルトとは、カメラの裏蓋の溝や、一眼レフのミラーが当たる部分などに貼られている黒いスポンジのようなもので、正式名称は「モルトプレーン」と言うそうです。

モルトの役割はフィルム室の遮光にあり、ぼくのFEを見たら案の定モルトはほぼ無い状態でした(そりゃこうなるわけだ)。


こんな感じで、一つ一つに緊張感があり、失敗があり、学びがあり。

新鮮な体験の連続です。

デジカメだと、写した次の瞬間には画像が見れます。

正直、ちゃんと写っていることにありがたみは感じません。


でも、フィルムだとそうはいかない。

写真屋さんに現像を出し、どきどきワクワクしながら待つ時間があります。

そして、現像された写真に一喜一憂します。

もちろん、お金もかかります。


FEを使いはじめて、気づいたことがあります。

シャッターを押した瞬間の像が、記憶にはっきりと残っているのです。

どこで、何を撮ったか。

鮮明に覚えています。

なるほど。

これは「心象スケッチ」なんだ。

宮沢賢治がそうしたように。

ぼくはカメラで、ぼく自身の心象をスケッチするんだ。


そう考えると、ますますフィルムカメラに愛着が湧きます。

見慣れた景色が特別な世界になることも(Nikon FE / Nikkor 50mm F1.8)



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