書きなぐり

起床。時刻は朝5時を少し過ぎたくらい。固形Tの朝は早い。
半覚醒状態の頭でベッドから抜け出し、家の中を徘徊しながら昨晩やりかけのURAファイナルズ決勝戦を見守る。
後ろには「ついてく、ついてく」と猫×2。ご飯係が起きてきたのを確認し、すかさず朝食を催促する構えである。
お前たちの朝ごはんは7時。まだ早い。鳴いてもダメ。
URAファイナルズを終えデイリー・アチーブメントを達成したところで、食パンをトースターにブチ込みコーヒーを用意する。着替えも済ませる。さあ、朝の育成の時間だ。寝惚け頭はここで切り替わる。

膝に乗り前足でべしべし叩いてきたり手にしがみついて噛みついてきたりと愛猫たちの残虐極まりないかわいらしい愛情表現(催促)を何とかかんとかやり過ごし、こちらの育成もひと段落したところで時計の針は7時近くを指している。
立ち上がれば待ってましたとばかりにご飯皿の前に鎮座する猫たち。いつどこで教えたでもないのに自然と身についた彼女らの習慣。野良の出とはいえエリートの血統なのだ。まさにトップオブ猫。親の教育の賜物である。親バカのバカ親は今朝も目尻を下げるのだった。

朝食にありつけるや否や最早用無しとばかりにこちらへの関心を失ったあざとい猛獣共を部屋に残し、家族を起こしにかかる。
アラームが鳴り響く寝室に入るが、起床難かつ気性難を拗らせたネトゲ廃人は全く起きる気配はない。良い寝顔ね。私は毎日貴方の目覚ましで起こされているのよ。
長年の付き合いから身に着けた熟練の手腕を発揮し、今朝も機嫌を損ねることなくスマートに起こす事に成功。声の掛け方タイミング全てにおいて至高の域に達した技術。さしずめ嫁起こしのソムリエである。
その時、ふと閃いた!
このアイディアは、スペシャルウィークとのトレーニングに活かせるかもしれない!
スペシャルウィークの 夜ふかし気味 は解消されなかった!
トレーナーのやる気が下がった・・・

外を見て雨は降ってない、と家族に告げると降水確率は80%だと言われた。降らない方に賭ける。
出勤まであと30分ほど。トースターからパンを取り出して弁当の準備に取り掛かる。
先日気まぐれで「仕事中に片手で摘まめれば」とサンドイッチを雑に作って持って行ったところこれがまた意外にも満足のいく味付けで(アドリブでやったためレシピなど忘れている)、これに気を良くしたチョロ男、天啓を得たとばかりにサンドイッチ道を極めると決意。
しかし持ち前の「ハマると徹底的にやり過ぎる」悪癖をここぞとばかりに発揮した結果、ボリューム練習だけを72ターン続けたような脳筋と化した自称サンドイッチは最早片手で気軽に摂取できるような軽食と呼べるものではなく、食パン面積の立方体を上から押し潰して何とか顎に収める超弩級ジャンクフードへと変貌を遂げたのである。サンドウィッチ伯爵も草葉の陰で泣いている。
お昼はサンドイッチにした、とドヤ顔で妻に告げたところ昨晩のうちに何品か簡単な具材を作ってくれた模様。ささやかな優しさに胸を打たれ感動に震えるも、この立方体が更に厚みを増し若干の直方体へと進化を遂げるという事実にも震える。今日のランチは牛肉と豚肉と何の肉か分からないソーセージと鶏肉とゆでたまごをレタスで幾重にも束ねた直方体となった。親子サンドどころか他所の大人も混じっている。子どもの心は複雑だ。きっと私の空腹を百五十分に満たしてくれることだろう。行き場を求めて暴走するカロリーの塊を何とか押し込め家を出た。

当たり前のように雨が降っている。トレーナーのやる気が下がった!

駅へ向かって歩いていると道脇のイチョウの木に猫じゃらしが生えている。
猫じゃらしが生えていた。
そんなこともあるものだと頷いた。

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