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日記 0819〜0826

0819
 もう半日は眠っていたいような眠気と、昨日の冒険を引きずっている。今日や、今週に、やるべきことを思い出して、それを粛々と遂行するように努める。
 昨日の、小さな箱のオルゴールを覗いていたようなことを思い出す。急な雷雨、嵐のマークに、天気というやつは、いつも分からない。

0820
 全く、やる気が起きない時期。
 20:58、退勤のホームにいる。やる気がないにしては、受動的だが自己研鑽をするくらいの見栄があるもので、もう何もかもやらなくて良いのに、何処にも行かなくても良いのに、と慰める。何も考えずにいるために、どうして何かを眺めるのだろう。不足していく気分は、散財の罪悪感など。

0821
 21:04、もう昨日が終わっていて、昨日の日記にはもう何も書けない。今日も終わっていて、私は誰かの影に隠れていた。頭から爪先まで、黒い塊として蠢いている。
 同居人が最近は殆ど家事をしてくれているような気がして、夜ご飯はケンタッキーを買ってきてくれていた。塩っぱいチキンを2つも食べた。

0822
 少し前向きになってきたような気がする。躑躅の花の、香りに気がつく。醤油やみりんを煮込んだような香りがする。久々に料理でもしようかと思う。
 青唐辛子のスープ、パスタ。同居人にそばを茹でて、横になる。

0823
 レストランにいた。縁があった人に紹介された店で、友人らにそれを紹介していた。そこで店主に、安易にカッターで、2、3回ほど切りつけられた。そのうち一回が右腹部を突いて、先程食べたものが入った内臓が、体外に押し出ようとした。必死に、手のひらで押さえた。痛みも血もなかったが、腹の裂け目から袋状に包まれた硬いものが押してくる。ついに袋も裂けて、細長い、小さな鶏の骨が出てくる。その後に、やや太い、大きな鶏の骨も出てくる。同居人が119を押そうとしていたが、自分で電話をすると言った。しかし左手が震えて上手く押せず、何度も何度も間違えているうちに、救急の待機場所にいた。そこは半屋外の図書館や、本屋のような出で立ちをしている。奥にかき入ったが、袋の裂け目は閉じたのか、それ以上腹の中が出てくることはなかった。腹の裂け目から出そうな袋を抑えていた。
 上記は、そういう夢(この部分を付け足さずに投稿していたのに気づいたので、取り急ぎ)。
 1日おきほどで、同じ猫を見かける。朝も、夜も、この人はこの街で生きている。
 退勤、錦糸町へ向かい、集合するのに、この板は8%しかない。タイ料理屋で、口内炎を麻痺させながら数品食べた。美味しかった。夜は風呂に入ることができた。爪に色を塗る。

0824
 18:21、中野新橋で編み師匠Nさんの新居へと、同居人と遊びに行った帰り、丸ノ内線で1人。朝から小岩の食器屋へと引っ越し祝いを買いに出向き、その足のまま中野新橋へと向かった。ジャズ喫茶で、それぞれのピラフを頼む。それぞれ、目玉焼きを乗せてもらう。良い喫茶店だった。少し歩いて新居へ。大小の窓、地続きでも区画された良い部屋だった。白い床天井、丸いカフェテーブル、エイのようなイス、古道具とのコントラストも調和していた。あれこれと紹介してもらった。レコードや本など、Nさんとその同居人(Cさん)の趣向が積み重なっていた。引っ越し祝いには、水差しのようなフラワーベース、スペイシーなグラスを2つ。たいそう喜んでくれていて、嬉しかった。アイスクリーム付きのメロンソーダを作ってくれた。同居人は途中で睡魔に襲われ、奥の部屋で昼寝をしていた。その間、Nさんから二玉貰った糸で、帽子を編むことを一緒にやった。Nさんも、同じ糸だったが、かぎ針の太さが互いに違っていたので、段を増やすごとに様子も変わっていったのが面白かった。同居人が次の予定のために、渋谷へと向かっていったのを見送った。その足でNさんのアパートの屋上に上がらせてもらい、話に聞いていた新宿のビル群を見渡したりした。部屋に編み物に戻る。網目の話で私達は同じようなものを作っている、ことを共有し合う。ひらひらとした円、まるまるとした円がそれぞれ出来た。帰り際にもう一度屋上に出て、写真を撮る。行きよりも短いような駅への帰り道を(Nさんからすれば、行く道を)歩き、解散した。
 明日は、滝行をしてくる予定(急に世界観が変わる)なので、その準備に押上で降りる。ロフトでレジャーシートを買う。最寄り駅、道は殆ど暗くて、雨臭い。遠くで太鼓のような花火が聞こえる。今朝の小岩駅で、江戸川の花火大会はこちら、と矢印がかかっていたのを思い出す。帰ったら、今朝の残りの味噌汁にして、編み物を進めたい。家に着いて、暑いと思ったら、エアコンのタイマーをつけていたというのに、わざわざ暖房になっていた。末恐ろしい。

0825
 05:48、日帰り滝行の日、電車に乗り込む。津久田駅まで3時間ほどの道のり。座席に座れて安堵、編み物を進める。大学生時代に編み物を初めていたら、如何ほど進捗したのだろうと思う。06:44、すでに1時間過ぎたけれど、終点の高崎駅には08:15着予定で、随分時間がある。外を見たり、編み物をしたり、音楽を聴く。滝に打たれるというのに。呑気にしていたら、タオルもサンダルも忘れていることに気付き、自分に呆れ返る。
 高崎で皆と合流する。先に着いた友人らが、私が忘れたサンダルを、無印良品で買い足してくれていた。出発数分前のホーム。上越線電車は、各ドアにおいてボタンを押して開閉させる必要がある。30分ほど揺られる。友人それぞれ、眠っていなかったり、朝ごはんを食べていなかったりのコンディション。津久田駅に着くと快晴で、見渡す殆どが山、緑、家々たち。緑の甘い香りがした。そして、言わずもがな、無人駅。ここから滝行の寺まで30分間、山中の公道を練り歩くという現実に、なんと非現実なことかと思っていた。道路に影を落とすような建物はなく、たまに木々が現れると喜んでそこに沿って歩いた。

見える限りの道を行けとアプリに指示される

 この山を沿って歩いている最中に、2,3台の車とすれ違ったり追い越されたりした。最後に現れたミニバスの運転席から顔を出した男性が、滝行か、と聞いてきたので返事すると、送迎をしてくれるという夢のような展開であった。運転席の男性、同乗していた女性こそが滝行コーディネーターで、夫婦ということで、一層のこと物語。私達の先の山道を歩み進んでいた一人の女性も、滝行参加であったので、乗り合うことになる。
 棚下不動の駐車場、1人分テントの中で胴着に着替える。サンダルは結局、鼻緒がついていると痛むからと、貸し出されたものを履いた。駐車場から、寺までの山道を4人で進む。山からの景色もそこそこに、走ったりしてはしゃいでいた。手と口を清め、不動にお参りする。その後暫く待っているうちに、7人組、5人組、4人組、2人組がバラバラと集まってくる。勢揃いしてから、女性がハキハキと自己紹介ののち、滝行一連の流れを説明していく。いざ滝壺への道のりは、修行衆一行が1列に並び、滝の下流の川に沿った山道を登るもの。登りきったら、棚下の不動滝の裏側を通る。滝の反対側に出て、少し降りたところに着く。上方には滝の根元(滝口)、下方にはそこから真っ直ぐと落ちた地点(滝壺)には、あたり一帯の風に勢いよく蒔かれた水飛沫たちなのか、あるいは多量の飛沫が巻き起こした風なのかが、白く止めどなく吹き付けてきて、後戻りできない感じがあった。

"滝裏の崖が崩落して洞窟になっている"と渋川市HPより
"37mの断崖を一気に下る勇壮な景観"と渋川市HPより

 お米を邪念に食わせて、塩で身体を、酒で手を清めた。次のような手順で滝に打たれていった。右手を右上へ挙げてから左下へ振り下ろす、払い給え。左上から右下へ振り下ろし、清め給え。これを初めに3回。滝へと挨拶、よろしくお願いします。滝壺へ潜り込み、脳天から滝を受ける、張った胸の前に合掌し、1から21を数える。これを、3回(1回目は水に慣れるため。2回目は穢れを祓うため。3回目は身を清めるため。)繰り返す。(手を振り下ろすやつは、最初だけで良い。) 今日の水温は20度。
 滝壺の中に勇み行き、一生分の水を浴びる。浴びるというか、まさか水とは思えないほどの硬さで、止めどない殴打を繰り返される。一回ずつ終わってみると、自分の"行"に悔いが残るので、最終的に4回も滝に打たれた。不思議だった。衝撃的な体験になった。終わった後、同じ修行を乗り越えた一行へと、ましてや友人たちとの間に、一体感が出来上がった。来た道を戻る間、行く道で見てきたはずの景色が、本当の意味で、まったく違って見えた。というよりも、本当に違う(知らない)ものが見えてきたので、かえって恐ろしかった。以下。

行きの道でははしゃいでいて、よく見えていなかった山からの景色
着替えに使ったテントの横の、不動明王さえも見えていなかった
これまでの人生、何も見ていなさすぎている

 着替えて、冷たいお茶を頂いて、修了書を貰う。夫婦に同じミニバスに送ってもらい、電車で高崎駅まで出る。高崎駅中は祭りをしており、人がごった返している。ゆっくり休みたかったので、駅弁を買ってカラオケに入ることを友人たちと選択する。プロジェクターで推しを映し合った。夏産まれの2人に、編み進めていたものを、ひとつずつ贈った。喜んで腕につけたり、髪をまとめたりしてくれた。嬉しかった。うな鶏弁が美味しかった。
 新幹線を遅らせて、みな同じ車両の、別々の指定席に乗り込んだ。2人は大宮で降りて、私ともう1人は上野で降りた。買えなかったお土産を上野で買い、解散した。友人Sと、今度手芸会をしようという話をした。17:58、帰宅。

0826
 昨日の滝行の話を、同僚Sと、週一のNさんに話した。Nさんは、語彙の限りで「嘘だよね」「凄いね」「怖い」などと、感想を返してくれた。同僚Sも、怒涛の週末だったらしく、互いに明日が休みであることに、安堵した。
 昨日、一昨日と、編み物が非常に進捗したために、この勢いを止めたくない。それとは別に、やらなければならない仕事が、大きく聳えている。

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