小話「Tシャツ組の興亡」

ある組長に可愛がられたダメ男がいた。

このダメ男は、親分の娘をもらい、さらに資金援助まで受けて分家する。
Tシャツ組の誕生だ。
ダメ男でも、親分からしたら義理の息子だ、しばらくは両者の良好な関係は続いた。
Tシャツ組は、親分のおかげでろくに働かなくても大金が入る利権を持っていたのだが、ダメ男の放蕩が過ぎて毎月赤字だった。

そんな時、ダメ男がキャバクラの女と浮気をしてしまう。
しかもその女の後ろにいた対立組織の親分に唆(そそのか)され、嫁と我が子を虐待し始める。
嫁と子供の悲鳴が近所にも聞こえるほどだ。
それでも欲に狂ったダメ男は、娘達を心配する親分の忠告に耳を貸さない。
いやそれどころか、親分の組を攻撃する鉄砲玉を雇うぞ!と宣言する。

とうとう抗議に来た親分に唾を吐き、親分の車に鼻くそをつけてしまった。

そりゃ親分にボッコボコにされますよね?

すると対立組織の親分とそこで飼われている犬達は
「暴力はいかん!国際法違反だ!」
と大合唱。
挙句には「平和のため」と称し、ダメ男に日本刀や拳銃を横流しするようになる。

こうなったら抗争は、止まらないね。

Tシャツ組の若い衆は、みんな討ち死にしてTシャツ組事務所もグチャグチャになっているのに止まらない。

ダメ男が、避暑地の別荘から抗争継続を指示しているからだ。
親分の別動隊が、その別荘に向かっていることも知らず…

1年後
焼け落ちた別荘の跡地に…
なぜか煤けたファッション誌のヴォーグが落ちていた。

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