【初心者指導】赤ちゃんは急に立って歩き出さない
初心者に6:0DFを教えることは、産まれたばかりに赤ちゃんに立って歩け、なんなら走れと言っているようなもの。
人類の進化においてヒトは始めから二足歩行ではなかった。長い年月が経つことで手でものを扱うことが出来るようになり、より遠くを見通せるように背筋が伸びた。
歴史の大きな流れは我々の誰しもが体験してきたミクロ視点においても同様で、生まれてきて間もない赤ちゃんはしばらくして寝返りを打つようになり、ハイハイ、捕まり立ちをするようになる。
初心者の指導でも同じことが当てはまる。
大前提として、自分に相手と対峙しながら得点のチャンスを伺い「プレイ」する感覚がなければ、ハンドボールを始めたばかりの選手に必ず点を取れるフォーメーションを教え込んだとしても、点を取る上では意味があるかもしれないが、ハンドボールをプレイする上では意味をなさない。
小学生にゲームをさせるとき、ボールをコートの中に放り込んだらどうなるか。
①だんご型(ボール志向)
子供たちはボールに群がり、ボールを欲する。敵チームの子供はボールを持つ相手チームの子供達の周りに群がり集団は団子状態になる。つまり、ボールを中心にゲームが展開されていく。
②縦長の人志向型
次に誰かだ集団から抜け出し、奥行きを捉えた動きをする。その子供につられ守っている子供たちも縦長に伸びる。ディフェンスは自分のマークを見るようになる。
③横に伸びる人志向型
すると、縦への直接的なパスはディフェンス邪魔で通らなくなる。
その状況を見て、誰かが開いている横のスペースを見つける。そこを迂回することで前線へとボールを運ぶようになる。
④広い空間を守るスペース志向型
広いコートの空いている空間を上手く使われるとオールコートマンツーマンで守ることが困難になってくる。そこで、OFに侵入されると得点される危険があるゴール前の広いエリアを守るようになる。
⑤さらに狭いゾーンを絞って守るスペース志向型
するとOFはディフェンスの広いギャップを個人戦術を使って突破しようとする。DFはそれに対応すべく、DF同士のギャップを狭め、得点される危険のあるエリアをさらに狭く守るようになる。
それぞれのフェーズで必要な個人戦術、グループ戦術をトレーニングとして扱う。
例えば...
①だんご型ではどこに広いスペースがあるのか見つける能力を③横に伸びる人志向型では人と対峙しながらスペースを見つけ、パスを出し受けする能力を。
小学生で6:0のディフェンスが禁止になった背景にはこういった理由がある。
それは高校生であっても当てはまる。
コーチとしての仕事は①から順に体験させて、そこで必要な要素を補填してあげること。
今日はこれくらいで!
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本日もお疲れ様でした!
筑波大男子ハンドボール部 森永 浩壽