【日記】きょうはカツカレーの日
昨日Tverで『マツコの知らないカツカレーの世界』を見ていたら、たまらなくカツカレーが食べたくなっていた。
しかしそもそも私は幼い頃から胃もたれしやすいたちで、とんかつは2切れで胃もたれ赤信号が点滅するので、普段カツとは縁遠い(むしろ自ら遠ざけている)生活を送っていた。
したがって、私のテリトリー内のどこに美味しいカツカレーを出してくれるお店があるのかわからない。番組でも紹介されていたCoCo壱なら職場の最寄駅近くにはあるが、この暑い中わざわざ遠回りをしてカツカレーを食べた後、電車に乗って帰宅するのはちょっとだるい。
自宅の最寄駅をGoogle mapにて「カツカレー」で検索をかけると、とんかつ屋と洋食屋がヒットした。とりあえず近くまで行ってみようか。
水曜日の仕事終わり。普段なら平日はほとんど外食をしない。なのになぜ今日は、と言うと、昨日朝から冷凍庫の扉を開けっぱなしででかけてしまい、冷凍庫の中のお肉、冷凍弁当のみならず冷蔵庫の作り置きにも被害が及び、家には食べられるものがないのだ。
昨日の夜から大いに反省はしているが、久しぶりの平日の外食に少し胸を高鳴らせている自分がいる。
お目当てのお店は両方近くにあったので、まずとんかつ屋を覗いてみると休みであった。自動的に洋食屋を訪ねることに。
お店に入ると、店内には家族連れが1組のみ。窓際に二人がけのテーブルがあったのでそこに座った。ここの洋食屋は何回か来たことがあるのだが、ここのシェフはこだわりが強いというか、ロックな人だと私は踏んでいる。
理由の一つ目は、まず彼の「いらっしゃい」はのったりした独特のトーンであること。そして二つ目は、ある日何気なくミートソーススパゲティを頼んだのだが、おそらく多くの店では想像通りのミートソーススパゲティが出てくるはずだが、この店は「注文あってますか?」と疑いたくなるほど淡い赤色のスパゲティで、一口含むと食べたことのないミートソースなのだが、なんだかとても美味しかったのである。
それ以来、ここのお店に対する信頼度は上がっている。メニューをパラパラとみるフリをして、店員さんにカツカレーを頼んだ。
私がメニューを見るフリをしている途中、男の子二人組がお店へ入ってきていた。その男の子の一人がカツカレーを注文したので、「さてはあんたもマツコを見たな?」と思ったところ、相方の男の子も「じゃあ俺もカツカレー」と言い、厨房に突如カツカレー3つのオーダーが響いて少々気まずかった。
気まずさから窓の方を眺めながら過ごしていると、カツカレー到着
マツコの知らない世界では「カツにどのくらいカレーがかかっているのが好みか」という論争があると言う話が出ていて、「まったくかかっていないもの」「3割かかっているもの」という意見が挙げられていた中で、このお店は「全がけ(なんならひたひた)」であった。恐らく、カツ屋ではカツにこだわっているから、ここまでひたひたにする店は珍しいのではないだろうかと思う。その点この店は洋食屋なので、カツに注力するより、カレーに注力するより、カツカレーという完成形にこだわっているような気がするのである。ここでもシェフの「さくさくのカツだぁ?そんなもん知るか」という声が聞こえてきそうである。
カツカレー初心者としては全てが珍しい体験なので、味の評価など滅相もないのだが、カレーもカツも基本に忠実な味で、まさに今食べたい味だった。しばらく食べていない和風でも欧風でもインド風でもない、洋食屋ならではのカレーが、薄く身がぎゅっと詰まっていながらもお肉はしっとりやわらかなカツの隅々に染み込んでいる。ちょうど良い量で添えられた赤い福神漬けは白米を飾るリボンのように可愛らしく思える。
スパイシーな味にごくごく冷えた水が進む。朝から水筒に入れたぬるい麦茶を飲んでいたため、冷えた飲み物は暑さにやられた体に染み渡った。カラン、と氷の音がしてしばらくすると、おかわりいかがですかとバイトらしき素朴な雰囲気の女の子がピッチャー片手に問うてくれる。またたっぷり注がれた水に安心しながら、カツカレーを食べ進めた。ついついまた水を飲み干してしまいそうだったが、またカランと音を鳴らしてしまうと女の子がまたやってきてしまうかもしれないので、少し残しておいた。
食べ終わってお店を出ると、まだ外は明るかった。毎日お家で食べるのもいいけれど、たまにはこうやって何気ない平日にご褒美を用意してあげるのもいいかもしれない。
今日は何を食べよう、と考えながら過ごす仕事時間もいいものだ。