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good morning momグッモーニン ママ3


しかし、おかしいじゃないか。姿形は、その見知らぬ実の母だとしても中身はラクラなんだろ。なのに、さっきのセリフはなんだ。
「そうつまり、2世帯同居ならぬ1猫格+2人格どうたい。いやドータイ」
あぁこれは胴体と同体を掛けたつもりなんだろうな。関わるとめんどくさいタイプだ。

「それはともかく、ついておいで。ご飯にしよう」
「母親を自称するからには当然、ママがごちそうしてくれるんでしょうね」
「バカじゃないの。普通は老いた母がせっかくきたんだもん。ママお寿司がいい、それともイタリアン。ボクがごちそうするよ。くらいはいうよね。息子なんだからさ」

ラフな感じで会話する若いオネーチャンと中年男の図。もし他人様が見てたとしたら親子?いやいっそパパ活にでも見えるかもしれない。でもその実、猫とおじさんであり、会ったこともない実の母との数10年ぶりの再会シーン。かなりシュールというか、心配な光景に違いない。
そのあたりは一切無視。

「瑛子さんって、オレの実の母親ってどんな人だった」
「見た目はこのまんま」
ああそうか、カラダを取り替えたんだっけ。
「そのつまり、なんていうか。瑛子さんはいくつで亡くなったの」
「46だったかな」

「ええっとオレを産んだのはいくつのとき」
「それは聞かなきゃわからない」

「でも、なんでだって瑛子さんなんだろ」
「見た目はね」
「どゆこと」

「だからさっき言ったろ1猫格+2人格同体って。はい1+2は」
そういうことか、まぁ便宜上かなにかは、知らないが今目の前にいるのは、ビジュアルは瑛子さんっだが、中にはおふくろとラクラも同居してるというころか。なんだかめんどくさい設定だ。

ちょっと待てよ。3人一体ならなぜ聞かなきゃわからないなんて言うんだ。つまりカオスっぽい中に3つのキャラクターがあって、顕在化できるのは1人だけとか。

「ねぇ、今話してるのは3人のうちのだれなの」
「理解した?そう3人はそれぞれ独立してるんだニャ。今あんたの相手をしてるのは、本名カワイイことラクラ様」

「じゃほかの二人は休憩中?」
「とにかくそんなことはいいから、ご飯行こ。鈴乃屋がいいな。詳しい話はあとあと」
確かにラクラだ。鈴乃屋は近所で人気のやきとん専門店。ときどき、オミヤをお裾分けしてたもんだから、ラクラさんすっかり気に入っちゃってて。あぁもちろんオミヤの分は塩抜きでお願いしてたよ。

なんだか、思考回路がおかしくなりそうだ。そうだねラクラの言う通り、こんな時はまずおいしいものを食べるのが一番だ。


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