
真夜中を歩くネコなどの
窓を開けると少しだけ熱気のやわらいだ、だが湿り気を含んだ6月の風が部屋のよどみをかき乱す。
外へ出てみるか。ナイトウォーカーはヴァンパイアや野良猫だけの特権じゃないはずだ。
川を挟んで20mほどで高速と明治通りのツインアクセスに接しているくせに、この一帯は意外なほど静かだ。新旧の戸建住宅やこれまた新旧のマンション、もちろんその中間の建物だってちゃんとある。それぞれの時代を感じさせるような古さの間に溶け込む新しさ。計画的に開発された地域では見られないマチの風情は悪くない。住みやすそうな予感。
こんな夜にはそうだな。iphoneのmusicプレイリストからパヴァロッティを選んだ。ベタな選曲だと思うだろ、それはわかってる。でもそんな気分だったんだ。Nessun dorma。
まだ良く知らないマチを歩きながら、頭の中には違う目の前とが異なる景色ばかりが浮かんでくる。過去にあったこと、そうありたかったこと。チャートほど系統だったものではない様々のシーンが浮かび上がってくる。これでなにか画期的な企画とか、これしかないってほどのフレーズが浮かんでくれば、仕事にも役立つというものなのに。それはまあいつも繰り返される不機嫌な現実。
ふと思いついて、角を曲がり通り一本反対側の道を歩いてきた方角へ。暫く歩くと川沿いに小さな公園が見えてきた。なんというのだろうパンダやアヒル(よりによってアヒル!)を模したスプリング仕掛けの遊具やミニアスレチック、砂場もあった。
なんだか懐かしいけれど、いいようのない違和感。