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散漫な記憶を拾い集めて 3


前々回の終わりでは
『しかし、そんな滋野さんに次なる転機が・・・。人生って何が起こるかわからないものですね。』なんて書きましたよね。

そうなんです。愛する奥さんの後を追い、いずれ死ぬ覚悟で志願したはずのフランスの航空隊。
しかしその人生に別れを告げるはずの地で、彼、滋野さんは運命の女性と出会ってしまうのです。
彼女の名前はジャンヌことジャーヌ・エイマール。カフェのレジ係とも、入院先の看護師とも言われていますが、出会いの詳細はわかっていません。
わかっていないのを良いことに、ボク的には、戦闘で負傷し担ぎ込まれた病院の看護師さんに一票です。
二人が出会ったリヨンはフランスの南東部に位置する都市。地図でいうとパリの右下方向。スイスのジュネーブのお隣的な位置関係です。この地には現在フランス軍のモン・ヴェルダン第942空軍基地があります。基地そのものが1874年に建設された砦を中心に構成されているという話からすると、古くから軍事的な拠点でもあったのでしょう。

出典は明記されていないのですが、ある資料によれば滋野さんの所属したコウノトリ飛行大隊は『要請されればどんな前線地域にも出動し、ほとんどのフランス軍エースたちが「コウノトリ」部隊でその成果を打ち立てた』とあります。
だとしたら、負傷した空軍のエースにして若き日本の貴公子とフランス人看護師女性とのリヨンでの恋、現実味を帯びてはきませんか。

これは聞いた話ですが、なんでも日本女性の細い目(今どきの盛ったのじゃなくてスッピンのですよ)はセクシー。有り体にいうと行為中の女性の表情を想起させるそうなのです。
そこで日本人男性の場合はどうなのかというと。バロン滋野氏、写真だけを見ると端正ではあるけれど、目は細め。東洋人顔です。しかしこの東洋人顔に需要があったのです。
当時のフランスといえば東洋趣味、中でも美術界でもてはやされた浮世絵に端を発するジャポニズムの勢いがあった時代。レオナルド藤田もモテたって話もあれば、坂本龍一似のダンサー伊藤道郎などの例もあるといった具合。
当時のフランスでは日本のボーイズにもモテる要素が十分にあったのです・
その日本人モテ男子の系譜は、その後のバロン薩摩こと薩摩治郎八氏へと続くわけですが、それはまた別のお話。

それで、滋野さんとジャンヌ、この二人の出会いが、後に日本の音楽シーンにも影響を与えることになるというのですが、そこらあたりについてはまた次回へ。



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