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異世界がでたらめすぎて困ってる の続き5

「ミスターストック。君に確かめたいことがある」
「なんでしょう船長」
「君の言う通りこの星では貨幣という原始的な交換ツールによって経済が成り立っているようだ。だが別の方法、より原始的なモノとモノによる交換手段も可能ではないかと思うのだがどうだろう」

「ふん、面白いですね。実に面白い。私の記憶によれば物々交換という手法が地球史の初期にもありました。先ほどから現地人の様子を見る限り、船長のおっしゃる物々交換は可能だと考えます。ただ、問題はこの星の文化レベルを超越したものは進化に悪影響を与える可能性があります」

そうだよね、言うところのオーパーツというやつだ。でもまぁこの時代の日本ならなにがあったってそう心配する必要もないとは思うんだが。ここは流れ的に穏便にと。

「さすがだなストック。その方向でいこう」
「船長、実に面白い。地球人はなぜそのような抽象的な表現を多用するのですか。一体どの方向ですか座標軸で指示を願います。論理的ではありません。まっ、冗談は置いといてと。何と交換するんです?」

冗談は置いといてって。いやぁストックよ、すでにその表現が地球人的なんだが。バルカンの血はいったいどうなってる。とまぁそれはさておき。

「この星の進化レベルでなら、すでに飲用アルコール。現地の言葉でサケというらしいんだが、交換ツールに使えないかと思ってね」
「そういうことですが、極めて理性的で状況に合わせた的確な判断ですね」

「そういうことだ。問題はサケをどこから・・・」
ストックとオレ、二人の目は絶妙のシンクロでドクターに向けられた。
「まっ待て。ラーク、ストックまさか私のアレをって。そういうわけじゃないよな!」
なんて素直な反応なんだろう。ドクターはバックパックと呼ばれるナゾのストレージをオレたちに手渡すまいとするように抱え込んだ。

「だっダレがじゃ。これはなニッカの竹鶴っていってな。地球のな、日本の古代文明が生んだ貴重な文化遺産なんだぞ。エエイッ取り上げられるくらいならこの場で一気飲みじゃ〜」

暴挙に出ようとしたドクターの首にストックの手が伸びた。
これぞバルカンの秘技「ネックピンチ」理屈はわからないが相手を一瞬で気絶させる都合のいい技だ。


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