新しい日 新しいact 1
新しい1日をどう迎え、どう過ごすべきなのか。
例えば彼女と別れた翌日のはじめ方とか。
これはこれでなかなかに難しい。
なにもしたくはないなんて、
厭世的な気分ではいても世界を敵に回すほど
ボクたちは世間知らずでもないのだから。
もっともイタリア人なら世間?なにそれ!
と開きなおってその日は自分勝手に過ごすのだろうけど。
なんて偏見に満ちた想像をしてみたりする。
だけど、残念なことにボクはとても日本人的な日本人だ。
そうさ、こういう類型的な考え方が嫌なんだって言われてたな。
誰に?そう聞く。この流れだと相手は決まってるでしょ。
ただこれからの時間には、
いくつかの工夫が必要なことに気づいたことは、
少なくない収穫のひとつだ。
彼女といた時間ではなく、
彼女と出会う以前とも違う新しいライフスタイル。
もし今日が月曜日だったらそううまくはいかなかっただろう。
そこまで考えたとき、愚かしさに気がついた。
そこは分析することでもないよな。
シンプルでいい、新しい一歩は今までやらなかった
ことから初めてみるというのはどうだろう。
悪くないぞ。とりあえず冷蔵庫のドアを開けてみる。
保存コンテナはもちろん使いかけの瓶詰めさえない。
キレイに片付いている。というかなにもない。
これ冷蔵庫本来の立場?からいえばどうなんだ。
そうだ、こいつをどうにかしてやろう。
冷蔵庫が冷蔵庫であるためにするべきことといえば料理だよね。
レシピというマニュアルこそあったとしても、
行為としてはとてもクリエイティブだ。
生活の中に料理の時間を組み込んでみる。
面白そうじゃないか。
人は生きてる間に何回、食事をするのだろう。
総重量はどのくらい?エネルギー量では?
東京ドーム換算は無理だろうけどわかりやすい指標は?
金額は?各国の平均はどうなる、
テーマとしては面白そうだけど問題はそこじゃない。
旨い料理、それも完全に自分好みの味。
こいつは今までにない経験かもしれないぞ。
ボクは今何が食べたいんだろう。
そうだなとにかくはっきりとした味だ。
塩分と脂肪分、タンパク質、糖質も欲しいな。
野菜はどうだ。まぁ口直しにあってもいい程度だな。
乳製品、チーズはどうする。これも口直しだな。
でも野菜よりは多めがいい。いや待てよ。トマトは欲しいよ。
イタリア人じゃないが、ケチャップでごまかすのはちょっと気が引ける。
となるとまずは買い出しってやつだな。
彼女はどうしていたっけ、そうだメモだ。その前に定例の儀式。
1,冷蔵庫の在庫をチェックする。
2.今ある食材をベースにして料理を決める。
3.不足分の材料や調味料などを書き出す。
4,メモを手に買い出し。
うん、彼女の場合はこの流れだった。
こうすることで、冷蔵庫内のムダを無くすというか、
腐敗による廃棄ロスを減らせる。
このサーキュレーションを継続することで
結果としてエコロジカルな食のスタイルが期待できる。
すごいな、ボクは今更ながらに
彼女がエコロジストだったという事実に気付かされていた。