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散漫な記憶を拾い集めて 2

前回よりずいぶんと間が空いてしまいました。
日本航空史黎明期の飛行家にして、
フランス陸軍航空隊のエースパイロット
バロン滋野こと滋野清武氏についての覚書です。

さて滋野さんですが、ボクのイメージする
明治・大正の男性とはちょっと違うんだよね。
偏見かもしれないけど繊細なの、
それに繊細であることを隠そうともしないの。

亡くなった奥さんのことを一途に思って、
死を覚悟というか、いっそ戦場の空に命をかけよう。
戦いの中で死んで妻の側にいけるのならそれも本望。
的な死に場所を求める姿勢が、どうにもね。

時代としては男尊女卑が当たり前の時代ですよ。
当時の軍人としては周囲にどう見られてたんだろう。
このことを含めて考えたのは彼、滋野さんって
当時の日本人の生き方、考え方とは異なる感性を
持った人だったんじゃないかな。

なぜそう感じたかって。それにはいくつかの理由が実はある。
あるんです。
その一つは学習院時代の滋野さんにいわれのない暴行を加えた
ある超有名人の存在。
志賀直哉って知ってますよね。
小僧の神様とか書いた人ね。
彼の作品、随筆かな?に「人を殴った話」というのがあるそうなんです。
いえいえ読んじゃいませんよ。あらすじに目を通しただけ。

それによると学校帰りの滋野さんを待ち伏せして、
数人がかりで殴りつけたんだとか。
殴った理由というのが、女学校の校門にいつも立っていたからだって。
どうやらそれも妹たちの送り迎えってことだったみたいなんだけど。
まったくの誤解、言いがかり、難癖どういってもいいけど、
おおよそ理不尽な行動ですよね。
これ、志賀直哉の方が単に粗暴なだけでしょ。
しかもさぁ志賀直哉の滋野さん評は曰く
「兎に角、妙に人に好かれぬ男だつた」って。

ヒロユキ氏なら
〝それあなたの個人的な意見ですよね〟
なんて言っちゃうでしょ。
少なくとも世間一般に共通する視点じゃないですね。

しかも一対一じゃなくって仲間と一緒に集団暴行っていうんだから。
もう志賀直哉 単なるたちの悪いやつだわ。
彼「人を殴った話」の中でこうもいってるしね。
ちなみに文中のSは滋野さんのことだからね。

『Sは欧州の第一次大戦当時フランスにいて、飛行将校として戦争に参加し、勲章などを貰い、フランス人の細君を連れ、飛行機を持って、日本に帰って来た。帰ってから何か飛行機関係の仕事をしていたように思ふ。婦人雑誌に混血の赤児を中に細君と写した写真が出ていた事がある。そして間もなくSは胸の病気で亡くなった。今頃になって、如何にも孤独だったSに対し、気の毒な気もするのだが、然し、兎に角、妙に人に好かれぬ男だった。』

う〜ん、なんか後ろめたい気持ちでもあったのか、直哉のやつ。
自分の行為を正当化するような節もあり言い訳にしか聞こえんわ。
特に後半の〝今頃に〜〟以降の文面。
気の毒に思ったのなら、但しなんて取ってつけたような
こと言うんじゃありませんって。

どうにも小説の神様に似つかわしくない歯切れの悪さ、
もどかしさが感じられるような。
案外と志賀さん、滋野さんのことが好きだったんじゃないの。
少なくとも気になる存在ではあったんだ。
ゲイか、ゲイなのか。

そう思って調べてみたら当時滋野・志賀両氏が通っていた学習院では
男子学生同士の恋愛がブームだったという話もある。
志賀直哉、里見弴同性愛説もあるしな。
言い寄られて拒否った腹いせに殴ったとか。
いや邪推ですよ。
邪推なんだけど。あり得る。

あっなんか話が趣旨と違う方向に行っちゃいましたゴメンナサイ。
今日はこのあたりで所用のため
お話の続きは次回へとさせていただきます。

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