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あの頃の もっと先

今までとは違う新しい何か・・・。つまり二人が一緒に暮らし始めたのは、それから1ヶ月後の土曜日だった。なぜ1ヶ月かという理由は、一緒に暮らすための様々な道具。

冷蔵庫だとか、洗濯機、オーブントースター、オーディオ(iphone以前の必需品)。重複しているアイテムについて、誰のものを残し、誰のものを捨てるか。といった判定に意外と時間がかかったからだ。

そんなことは後で決めればいいだろと思うかもしれないが、たまたま僕たちはそうではなかった。あの頃よく使われていた言い方をするとこだわりというやつだね。

そんな取捨選択の一つ一つを楽しみにするほど、若く、浮かれてもいた。
その結果、今で言うところのミニマリストに近かった部屋は、人間らしいというか心地よい生活臭のある空間へと変わっていった。

今でもあの部屋で過ごした3年ほどの時間を思い出すと、優しさと切なさ、後悔と感謝、もう戻ってくることのない若い逡巡の時間が懐かしさと共に蘇ってくるように感じられる。

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