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●ビートルズとシングル盤 (BEATLES ESSAY 13)

初期のビートルズとの関わりは主にシングル盤からによるものだった。みんなそうだった。僕の周りはみんな子供だったから、(そう言う僕も子供だったのですが)当時,330円だったシングル盤は最も身近かな存在でした。しかし、当時,発売されていた,雑誌のスクリーンのビートルズ特集号が270円とあるし,映画ストーリーという雑誌のビートルズのすべてが立派な140ページもある雑誌で其の価格が200円である事を考えると、もし今,この雑誌が売られていたら,恐らく,1500円位だろうと思いますから,当時の子供達にとったら,それほど,身近な存在ではなかったかも知れません。僕は発売されたばかりのA hard day's night を最初に買ったので,それ以前に発売されている,シングル盤を探す事となりました。いくら,ビートルズと言ってもレコード屋さんにすべてのシングル盤を置いているわけではなかったのです。カタログで取り寄せるなどというテクニックなど,小学生に解る訳がありませんでした。何処か,知らない街に行って,レコード屋さんがあれば必ず,のぞきました。Do you want to know your secretなどはなかなか,手に入らなかった記憶があります。ビートルズのレコードは東芝のオデオン盤とトニー・シェリダンのバックで吹き込んだ,ポリドール盤がありました。ポリドールのシングル盤はデザインが皆同じ写真を使っているので,面白くありませんでした。其の写真は,ビートルズがパリ公演の時、確か,公園でジャンプをしたときのものだと思いますが,どうも,ジョンの写真写りが良くなかったのです。東芝のオデオン盤は”恋する二人”では,ピンクを使ったり,Twist and shoutでは,黒でいったり、デザインがしゃれていてとても好きでした。特に好きだったのは,”素敵なダンス”のジャケットです.あの字体もとても素敵でした。僕は彼等のシングル盤を集めだしていくうちに、僕はひょっとして,A面よりB面の曲の方がもっと、好きかもしれない。と思うようになりました。”抱きしめたい”のB面の”This Boy",このジョンの声の素晴らしい事,それに,なんとまあ,ジョンとポールとジョージの声が一緒になったときの美しさ,この曲程,青年から,大人になっていく時のすごく繊細な気持ちを感じさせる曲は無いように思います。それに,”プリーズ・プリーズ・ミー”のB面の”アスク・ミー・ホワイ”,全く,この頃のジョンの声の素晴らしさはどうでしょう,抱きしめたい位に奇麗です。この頃のジョンのすごさは最高です。この頃のジョンに比べたら,イマジンなどたいしたことありません,などというのは僕ぐらいでしょうか?”平和を我らに”や,”インスタント・カーマ”などのジョンよりも、こっちのジョンの方が100倍も好きです。”シー・ラブズ・ユー”のB面の”アイル・ゲット・ユー”は何となく当時は幼く聴こえて,それにあっという間に作った感じがして,それほど好きな曲ではありませんでしたが、50歳を超えた今,この曲を聴くと,なんだか,胸がきゅんとなるのは彼等が、眩しい位に若かったからです。ポールは最近のアメリカでのライブでこの曲を歌っていましたね。この曲を取り上げた気持ちはよくわかります。”ユー・キャン・ドゥ・ザット”エド・サリヴァン・ショウで放送されたこの曲、は実にかっこいい曲だと思います。ギターもいいし、バックコーラス、それにジョンの声、言う事なしです。”今日の誓い”僕が初めて買った彼等のレコードのこの曲を聴いた時、銀色の太陽を思い浮かべたのでした。お天気雨のときの太陽です。この後10年以上たってからですが初めて僕がイギリスを訪れた時、太陽は銀色でした。

2006年12 月 28日 23時00 分 

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