ビートルズがやって来た。 (BEATLES ESSAY 7)
ビートルズは1966年の6月に、季節外れの台風と共にやって来た。僕は彼らが日本にやってくるのをミュージック・ライフの号外で知った。僕が中学1年生の時だった。ちょっと、小さすぎたのだった。それに、その時、なんで田舎なんかに住んでいたんだ。などと、悔やまれる。僕の周りに年上のビートルズファンなんて、一人もいなかったし、その頃の新聞や雑誌では、ビートルズ日本公演に行った学生は退学だと言われていた。行ってはいけない。と学校でも言われていた。僕ももうちょっとおおきかったら、チケットの手に入れ方や、素直に、行ってはいけないなんて言う事をきかなかったと思います。まったく、第一、中学生が退学になる訳が無かったのです。だって、義務教育なんですから。なんて、ビートルズに冷たい時代だったのでしょう。日本武道館での公演は、武士道を汚される等と、言われ、インタヴューでもそれを質問されていた彼ら、とてもつらかったろうと思います。本当に、馬鹿な大人達を持った、日本のファンは彼らに謝らなければなりません。少し前に、その時の、ヒルトンホテルでの、インタビューでの日本武道館で公演を行う事に対して、ポールが、イギリスに日本のグループが来て,公演を行っても,我々は伝統が汚されるとは思わないだろうと答えていた。えらい!!まったく,素晴らしい若者です。僕はもう,50をすぎて,解りますが,あの時、24歳です。あの位の年でなかなかあんな事は言えません。立派です。その答えを聞いて,立派な若者達だと日本の大人達は思わなかったのでしょうか?まったく、目がふしあなです。ビートルズがやってくる日,僕はずぅーっと空を見上げていた事を思い出します。とにかく,ビートルズがやってきたのです。公演に行けないファン達は,ニュースとテレビでの日本公演の放送を待つだけでした。中学生になった僕は,既に,テープ・レコーダーを持っていました。多分,高価だったと思いますが,英語を勉強するのにテープ・レコーダーが絶対,(この絶対が怪しい)必要だと言って,ナショナルの確か,マイソニックとか言う,テープ・レコーダーをかってもらっていました。放送の当日は朝からそわそわ,落ち着きませんでした。放送が始まるのは7時だったと思います。僕はテレビの前でマイクを構えていました。当時はLINE INなんて無かったのです。さあ,いよいよ,放送が始まります。家中でブラウン管の前に集まっています。僕は,みんな静かにと言いました。Mr.Moonlightが流れました。そしていよいよビートルズが登場して,チューニングを始めました.そうそう、この放送の後、アマチュアバンドのコンサートでは、チューニングをきかされる事となりました.まぁ、それはともかく、いきなり、ジョンのROCK'N ROLL MUSICでコンサートが始まったのです.僕のレコーダーには、新しいしかもグレードの高い、テープが用意され、順調に回転していました.すると、僕の2つ下の妹が、なにかしゃべったのです。ああ!
僕は声も出せず、妹をぼかっとたたきました。本来なら、妹はうわーんと泣きわめくところが、そんなトをしたら大変だと、思ったのでしょう、目に涙をいっぱい溜めて、堪えているのでした。これが、僕のビートルズの日本公演でした。
2006年 12月23 日 3時 14分