#10 NRO衛星とStarlink、SpaceX Falcon 9で同時打上げに成功
記事のポイント
米国家偵察局(NRO*)の衛星ミッション「NROL-126」が、SpaceXのFalcon 9ロケットによって打ち上げられました。今回は初めて政府衛星とStarlink衛星の相乗り打上げとなりました。
*NROとは..
国家偵察局(NRO=National Reconnaissance Office)は、米国の情報収集を担う政府機関です。主に宇宙から地球を観察する偵察衛星を使って、世界中の様々な情報を集めています。たとえて言うなら、宇宙に浮かぶ「スーパーカメラマン」を管理する組織です。高性能なカメラやセンサーを搭載した衛星を使って、地上の写真を撮ったり、電波を集めたり、様々な方法で情報を収集します。この組織は1961年に設立されましたが、その存在自体が長年秘密とされていました。冷戦時代は特に重要な役割を果たし、ソビエト連邦の動きを宇宙から監視していました。最近では、SpaceXなどの民間企業と協力して、たくさんの小型衛星を打ち上げる計画を進めています。これは「卵は一つの籠に盛るな」という考え方で、情報収集システムを分散させることで、より安全で効率的な体制を作ろうとしているのです。また、収集した情報は軍事目的だけでなく、自然災害の監視や気候変動の観測など、様々な形で活用されています。このように、NROは米国の「宇宙からの目」として、国家の安全保障に重要な役割を果たしている組織なのです。
打上げの詳細
日時:2024年11月30日 午前3時10分(米東部時間)
場所:バンデンバーグ宇宙軍基地(カリフォルニア州)
特徴:打上げのライブ中継は主エンジン切断直前まで非公開
ミッションの重要性
NROの衛星網拡充計画
- 2024年5回目の打上げ
- SpaceXとノースロップ・グラマンが衛星を製造
- 低軌道への展開を継続今回の特別な点
- NRO衛星(数は非公表)と20基のStarlink衛星を同時搭載
- NRO衛星の打上げとしては初の商業衛星との相乗り
まとめ
米国の情報収集能力強化を目指すNROの衛星網構築が着実に進む中、商業衛星との相乗り打上げという新たな試みが実現しました。