健気(けなげ)ちゃん

ステキな人が自分の期待に応えてくれる事を希望して、誰が見ていなくともせっせと抜かりない準備をする。

ネイルとか慣れない事してみたり、新しいスキンケアを導入してみたりサプリ飲んでコンディション整えたり。なんなら膣内pH値もジェルで安定させるよな。

そんな自分が可愛くて愛おしいよね。

「綺麗だね」って言われて嬉しくなって、

もっと誰かにも言って欲しくなったり。

ぜんぶ自分のため。わかってるはずなのにね、誰かのためにやったと思ってしまう時もあんのよ。特に何も反応してくれない時にね。

「今日どう？」ってわかりやすく聞いてやってんのに、気の利いた言葉を出せないヤツな。

たしかに、大した変化なんかなけりゃあわからんだろうよ。髪1センチ切ったとか。ネイル変えたとか。

オイいいか、普段マフィアばりのオッさんが性格キツそうないかにもツンデレなお姉さんのカッコしてきたらいつもと違う事くらい嫌でもわかるだろうが。

それを「は？なにが？」はねえだろ。

照れ隠しの子どもみたいな反応いらねえんだよ。

「今日おれ襲われるんか？笑」

バカヤロウ  おれが襲われるんだろが

それでも奥歯噛み締めながら聞いてあげるのよ。「今日わたしかわいくない？」←たかだかお前に会うのに頑張ってオシャレしてきた事が。

「おれの好きな女のほうが可愛い」

極めつけ来たよ。心が泣いた。

それから1日経って、夜中、ネイルしながら声をあげて泣いた。

手元がフリーでない時に泣くと大変な。

泣いてる自分も可愛いかったんだけどね。

デリケートになっていく自分が不思議と嫌ではない。 

世の中言わなけりゃわからない事ばっかだし、察してくれるなんて期待する方があほだと思って生きてきたけど、敏感に察してくれる人も中にはいると知った。その支えがなかったら、今頃どうなっていたかわからない。

もちろん、そのデリカシーの無い男には、キチンとぼろっカス言っておいた。鬼の形相で。

「だからモテねえんだよこのチンカスが」

あまりに悲しかったので、「もう帰れ」←送ってきてもらったのに 

と言ったら、その男はニヤリとしたのだ。

いるよ、いるいる、こーゆー男…

過去の俺そのものだよ…