VTUBERはYOUTUBERと同じ道を辿るのか?/ホロライブ・にじさんじ・UUUM
先日YOUTUBER大手事務所であるUUUMの記事が少し話題になっていました。
HIKAKINさんやはじめしゃちょー等を擁するUUUMの苦戦と、それに対してのカバー株式会社やANYCOLOR社の好調な株価が対照的で、ネット上でYOUTUBERはオワコンといった感じで少し熱を帯びていました。
しかしこれはVTUBERも同じような道を辿る可能性もあるのではないでしょうか?
■UUUMはなぜ今の様に状況になったのか
検索して調べてみると様々な分析記事が目に入ってきます。
ざっと見ていくと様々な理由が分析されています。
これらも見た上で僕個人が思う理由が以下になります。
・ビジネスモデルの不完全さ
誤解を恐れずに言うのであればUUUM等のYOUTUBER事務所というのは、「転売屋」と同じビジネスモデルです。
VTUBERというかホロライブ、にじさんじと決定的に異なる部分でもありますが、基本的に元々活動しているYOUTUBERがUUUMには所属します。0からUUUMで活動を開始する人も居たのかもしれませんが、成功例というのは僕が知る限りでは居ません。
つまり成功する為のノウハウがUUUMにはありません。
例えばチャンネル登録者数を増やすノウハウとサポート、再生数を増やす為のノウハウとサポートがタレント事務所としては圧倒的に不足している印象が強いです。これはタレントにとって事務所に所属する意味がかなり薄くなります。所属メリットとしては企業からの案件を持ってきてくれるという点になりますが、これはタレント自身またはマネジメントをする人を誰か置く事でUUUMを介する理由が無くなります。
先日TWITTERでバズっていた転売屋に関する、こち亀を引用したツイートがありました。下図になります。
ここでいうところの両さんのポジションがUUUMになります。
UUUMが入る事によって、案件発注側は依頼額が高くなり、YOUTUBER側は報酬が低くなります。
もちろん契約に関する対応やトラブル対応など、そういった部分で事務所を介するメリットはありますが、それであれば法律事務所に依頼すれば足りますしビジネスモデル自体の不完全さがどうして拭えません。
それによって人気が出る程に退所や独立が多くなります。
UUUMの現状と言うのはホロライブで言えば下記の様な状態です。
・チャンネル登録者数の上位勢が次々と退所
・個人勢VTUBERを次々とスカウト
他にも細かな理由を挙げていけば多くありますが一番大きな要素は上記ではないかなと個人的には思います。
■ホロライブ、にじさんじはどうなるか
UUUMやYOUTUBER事務所と同じ道を辿る可能性は低いのではないかなと思います。これは上記で書いた様に0からタレントを育てて収益化させていくというノウハウと環境がある事が大きいと考えます。
また、権利の点でも対処して独立活動するという事が難しい為同様の問題は発生しにくいという構造を持っています。
加えて技術的なハードルの高さもあるので技術的に知見のないタレントが退所してやっていくよりは事務所の持つ最新技術の恩恵を受けていた方がメリットがあります。
こういった点でUUUMと同じような状況を辿っていくという可能性は低い様に思われます。
では安泰なのかと言えばそうでもありません。
まず大きな一つ目は配信の場所をYOUTUBEに依存している点です。
YOUTUBEはGoogleを抱えるアルファベット社のグループです。
直近でこのような記事が出ていました。
つまり、AIの登場によってアルファベットGRPの現在の状況が一変する可能性が高まってきています。
こうした状況においてこれまでと同様にYOUTUBEが活動場所として同等以上の収益の場となるかどうかは不透明な部分も可能性として大きくあります。
巨大なGRPですが、アルファベットGRPに所属しているからこそ、GRP内での不振の煽りをうける可能性も高くなるケースはあります。
この点はどの程度変化を先読みして、手を打てていて、準備が出来ているかによります。ホロライブであればメタバースや他のプラットフォームでの活動準備などがそれにあたるのでしょう。
二点目は競合の台頭です。
特に生成AIによる競合の台頭の可能性は近い将来で必ず発生します。それがユーザーの支持を集める様なものであった場合、ユーザーは分散していくでしょう。逆にユーザーの支持を集められるものでなければ大きな問題にはならないと思います。
これについてはホロライブであればカバー社自体が積極的にAI技術の導入、開発を行う事で所謂技術的な差による顧客離れは防げるのでそれにもよるでしょう。
三点目はVTUBERコンテンツが文化に昇華できなかった時です。
これは結構前の記事でも書きましたが、その市場が末永く残り続けるには文化として定着できるかどうかというのは大きな問題です。
現状ではVTUBERについてはまだ流行の域を出ない段階にあると言えます。
例えば文化になり切れなかったコンテンツを挙げると、近年のものであればタピオカ、チーズハットグなどのフード関連はわかりやすいものが多かったりします。
また、別のものに取って代わられたもので言えば音楽プレーヤーのIpodなどもそうでしょう。これはスマホに取って代わられた事例です。
初音ミクが当時あれほど認知されて熱狂されましたが文化に昇華できなかった為に今でも残ってはいますが当時の規模感はもうありません。
この文化にまで定着させるという点は個人的にはある一点が非常に重要だと考えています。
【老若男女にどれだけ浸透するかどうか】
過去に流行ったもの、世間をにぎわせたもの、長く残り続けているものは特定の世代だけではなく幅広い世代に継続して必要とされてきている事が重要です。
そういう意味ではVTUBERというのは10代~30代については男女ともに、ホロライブ、にじさんじで浸透できている様に思います。
セグメントを細かく切って確認していかないといけませんが、キッズ世代、小学生の男女、40代~50代の男性と女性、ファミリー層、そしてシニア層にまでリーチできて顧客を獲得できれば文化として根付く可能性は高くなります。
実はUUUM等の事務所は厳しい状況にありますが、
YOUTUBERについてはこれは文化として根付いた所まで来ている感はあります。今や世界中で様々なYOUTUBERがキッズ~シニアまで幅広い、ニッチな分野にまで多岐に渡るコンテンツを提供できています。
それこそお婆ちゃんが毎日見たくなるようなコンテンツまであります。
勿論それはひとつの事務所が成し遂げたというよりは多くの活動者が様々なコンテンツを提供し続けてそれが世界中で広がっていった結果です。
VTUBERについてはこの点に於いて、YOUTUBERと比べると配信内容の幅にだいぶ制限がかかります。実写でないと表現できない、リーチできない内容というのが多くあり、この課題をどうクリアしていくのかというのは重要な分岐になるような気がします。
■終わりに
当然僕がここで書いたようなレベルのものはカバー株式会社でもANYCOLOR社でも様々な手を既に打っているのかなと思います。
どちらかと言えば現在VTUBERのコンテンツを愛好していてこれからも長く続いて欲しいと思っている僕の様な人がこういう面を頭の片隅に入れておいて布教できていくかどうかも大きい様な気もします。