老害と若造/バンダイプラモデル、ボトムズ3㎜穴論争について
普段プラモデルに触れていない人からするとよく分からない論争だと思いますが最近下記の話題が一部界隈で盛り上がっていました。今回はそれにまつわる若い世代と年配世代についての私見記事です。
転載とは言えYAHOO!ニュースに載るくらいなのでそれなりの話題になっていた感じです。概要を簡単に纏めると下記の様な内容です。
時系列
・装甲騎兵ボトムズの新商品プラモデルがバンダイより発表される。
・新商品には原作設定にはない3㎜穴(3ミリ穴)と呼ばれるカスタマイズ要素が盛り込まれる。
・往年のファンと思われるユーザーがその要素についてバンダイとそのユーザーをX上で非難する。
・そのXでのポストが引用、拡散される形で老害という形で逆に避難され炎上に似た感じでプラモデル界隈で話題になる。
・様々な意見が入り乱れて鎮火せずに現在に至る。
念の為書いておくと上記リンクの記事は中立の様に書かれていますが、どちらかというと若干ですが原作準拠の3㎜穴反対派を擁護する書き方となっています。
簡単に言うとプラモデル化するにあたって
・原作にない要素を盛り込むのは冒涜だという老害側
・そんな事を公然と言って年寄りの意見を押し付けようとするから新規ユーザーが離れるんだという若造側
で言い争いが起きたという感じです。
タイトルと記事の内容的に敢えて老害、若造という言い方にしています。
■若造と老害は対立するもの
最初に僕の意見を書いておくと、こうした意見対立は戦争と同じでどちらも自分が正義と思っていて、客観的に見た時にどちらが正義か、というのは判別がつきません。ただ、こうした争いの際に若い側が負けるようであればそこの未来は長くありません。
年配側は
「何もわかっていない若造が」
「お前らにはまだまだ劣らんぞ」
という感じになります。これはプラモデルに限らずどの業界でも同じです。
若い側は
「時代遅れの老害が」
「年寄りは偉そうにせずに大人しくしていろ」
という感じになります。これもどの業界でも同じです。
つまりこの3㎜穴の論争というものの本質は当該する対象がたまたまこの製品になったという偶然で別に対象は何でも良かったのです。人間の歴史の中でこれまで何度となく繰り返された若者と老人の対立というのが本質的です。
ちなみに、この若者、老人というのは単に年齢だけでなく、考え方や未来に対する思考性も含みます。ですので年配世代でも意見として「若造派」に該当する人も居れば、若い人でも「老害派」に該当する人も出てきます。
老害と呼ばれる層はそれまで慣れ親しんできたものが変化して変わってしまう事を嫌います。それは身体や脳の老化、劣化により、新しい事象に対応する柔軟性が衰えているからです。ですがそれまでの実績、経験による技術の高さ等があるので影響力はあります。
若造と呼ばれる層は変化には柔軟に対応して変化そのものを楽しむ事ができるので老害層とそもそも相容れません。
昔からある学生運動や、クーデター、革命などと構造は同じです。
■最後に
ですので今回の論争が中々終わらないのは、炎上という性質のものではなく「戦い」の性質を持ったものだからだと思われます。どちらかが敗れるまで終わりません。或いはその老害層が去るまでおわりません。
要するに最終的な結果は決まっていて、老害派が勝つことはそもそも無いのです。若造派の方が未来が長く、数年後にはその業界の中心に立つ事になるので。
これはメーカー側も恐らく十分理解しています。シニア向け製品でない限り、どちらかを優先するのであれば若い層を優先する。これはある程度成熟した市場であれば基本原理の様なものです。
この先50年で考えた場合
①年に5万円を使う20歳のユーザー
②年に6万円を使う60歳のユーザー
寿命はいずれも80歳とします。
①は50年後もまだ生きてるのでこの時点で250万円の価値があります。
②は残り20年となるので120万円の価値があります。
実際はもっと色々な要素を考慮して考えていくのですがシンプルにはこんな感じです。
ですのでメーカー側は正常な判断として3㎜穴を付けた製品を出すのです。
と同時に年配ユーザーも取りこぼさない為にその3㎜穴はオプションという形にして選択式にするのです。それが一番賢いやり方なので。
こうした対立構造の論争というのは起きる事がそもそも自然な事です。そして起きる事によるマイナスというのは実は殆ど何もありません。これがきっかけとなる事で商品は何もなかった時よりも間違いなく多く売れます。
また、メーカー側はマーケティング費用をかけずに非常に数多くの意見を収集して次に活かす事ができます。
ユーザーそれぞれも活発に議論する事でよりその業界について造詣を深めていきます。若い人は年配の意見を批判しながらも考える事になります、年配の人は若い人達がどう考えているのかをよく知るきっかけになります。