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ホロメンとリスナーに生じている感覚のズレの正体について/ホロライブ

最近以前よりもホロメンの配信頻度が若干落ちていたり、ソロ配信が減っていたり、どこか余裕がなさそうだなとか、そういう印象を持っているファンは一定数居る様に思います。TWITTER上や、ポジティブなまとめサイトでもアンスレ気味なまとめサイトでもそういった印象を抱いている故の記事も散見します。

結論から言うとこの1年または数か月でホロメンの置かれている状況が激変してきていて、その変化は今も現在進行中で、その変化にリスナー側が置いてけぼりをくっている状態なのだと思います。

例えば推しのホロメンがTWITTERや配信などで、「忙しい」「バタバタしていて」「体調が~~」「収録が」というような事を話していても一定数のリスナー側はそのホロメンの状態についてはぼんやりと、漠然としか想像がつきません。
なので
「何がそんなに忙しいんだろう」
「配信できない程の忙しさって訳ではないと思うけど」
「なんだろうわからないけど寂しいな」
「なんか大変そうだけど大丈夫なのかな」
etc…
といった感想が浮かんでくるのかと思います。


■案件の増加

僕は後追いでさくらみこさん、大空スバルさんのファンになったので当時の事は想像でしかわかりませんがホロライブは3期生が入って少ししたあたりから一気にファンの数を増やしていったのではないかなと思います。

ユーザーを数多く抱えているタレント事務所であれば様々な企業から、案件の依頼が舞い込んでくるのは自然な事です。ファンの数が増えてくればその数も比例して増えてきます。
そこまではリスナー側も殆どの人がわかると思います。
けれど案件の具体的な中身や流れやスケジュールや出来上がるまで、一人あたりどのくらいまで案件を抱えられるのか、等について具体的にわかるリスナーというのは、ごく一部のそういった業界に携わった事がある一握りの人だけでしょう。

また、VTUBERのリスナーは10代20代の若い方の比率も高いジャンルです。社会経験がまだ少ない中で、企業からのプロモーションの仕事がどういった形で具現化して進んでいくのかを想像できないのが当たり前かもしれません。

けれどそんな事はおかまいなしにホロライブのファンの数は日に日に増加しています。比例してホロライブへ案件を依頼する企業の数も間違いなく増えてきているでしょう。

例えばGoogleで「ホロライブ コラボ」でニュース検索すると様々な企業とのコラボのニュースが大量に出てきます。

リスナーの状況や環境は基本的に変化しません。
ですがホロメンの状況というのは日に日に変化していきます。

そこでズレが生じてきます。


・案件の一般的な完了までの流れ

ざっくりと憶測でですがタレントに広告案件を依頼する際の流れの一例を書いていきます。A社という会社でホロライブに依頼する、という流れでの例です。

1:カバー株式会社、又は広告代理店に依頼をしたいサービスの問い合わせ
2:カバー社の担当部署で内容確認
3:A社担当とカバー社担当とで内容確認などの打ち合わせ
4:カバー担当者からホロメンのマネージャー(MGR)へ内容の共有
5:マネージャーからホロメンへ内容の共有と依頼受諾の確認
6:依頼の受諾、契約内容のすり合わせと調整
7:ホロメンとMGRとA社担当者とで内容の打ち合わせ
8:プロモーション実施までのスケジュール調整
9:撮影または収録(1回目)
10:撮影または収録(2回目)
11:撮影または収録の完了
12:案件プロモーションの準備と調整
13:案件のプロモーション開始
14:完了

だいぶ端折っていますが、1~14まででおよそ数か月、例えばフィギュアであったり、ゲームのコンテンツに関わるもの等であれば1年かけて収録なども十数回に渡るものもあると思います。

案件1個でこれなので、こういった案件が同時に10数個並行して進んでいればこういったものがスケジュールの中に多く組み込まれていきます。
わかりやすくカレンダーにするとこんな感じでしょうか。

赤枠:案件関連など
青枠:配信時間
緑枠:それ以外

多忙時のみこちやスバルちゃんの様な配信ペースを意識しています。週に7枠配信して土日どちらかでは昼枠ありのケースです。

何となくのイメージですが、繁忙時はこれくらいの状況になっているかなというスケジュール感です。これが数か月~1年と続く感じでしょうか。
カレンダーに起こして視覚化すると案件が増えた際のヤバさというのがよくわかります。

案件に関しては契約や第三者が関わるものなので、基本的にはリスケなどはできません。そうなると体調不良時や疲労が溜まってきた際に削れるものは配信に関連する時間だけになります。
結果として配信頻度が最近ちょっと減った?という様な印象を与えてしまう形になってしまいます。


■以前とのギャップ

これの難しい部分は、ホロメンに乗っかかる案件は恐らく消化するよりも新しいものが追加される方がペースが早いと思われるところです。これは1案件が完了するまでの期間の長さもあるので当然の事だと思います。

最初は案件の数も少ないので毎日配信をしていきますが、少しずつ少しずつ案件の数が増えて、スケジュールの隙間に余裕がなくなっていき、時間に追われるような日々との戦いになっていくと思われます。これは人気配信者であればある程その傾向は顕著でしょう。

ここにリスナーとホロメンとのギャップや感覚のズレが生じます。
案件はその性質上発表するまでは秘匿義務があるのが通常です。こういったスケジュールの過密化を配信で説明するのも難しいでしょう。配信はファンに楽しんで貰うためのものにしたいという部分の中で、「私は最近こんなに忙しいんだよ」という説明は中々難しいと思います。

リスナーはホロメンのそういった状況を知る術はありません。
想像するだけです。
けれどそれまで週に何度も配信してくれていたのが、少し落ちていたりすると「なんか最近〇〇はサボっている」という思いも生じたりします。

また、誤解を招く一因としてホロメンも収入は高いのは知られているので「お金に余裕ができたら手を抜くのかな」とかの憶測なども飛んだりします。


■ホロメン自身も追いつけていない(かもしれない)

この、ホロライブというブランドの人気の加速ペースにホロメン自身もついていけてない、又は変化に適応する前に不調を招く、というのもありそうです。

ホロメンも基本的にはデビューから日々多くのファンを獲得する為に割ける時間は基本的に配信に割いてきたと思います。そこにここ最近のホロライブの人気上昇による案件の増加で、せっかくきた仕事だからと可能な限りギリギリまで受けようとすると思います。

そうすると前述した様に過密スケジュールの中で何かあった際に削れるのが自身の配信時間くらいなので自身の配信を削る選択を止む無くする場面と言うのが増えてきます。

僕が見ている限りでは、どのホロメンも基本的に自身の配信でのリスナーとの時間というのは案件などに追われる日々の中でどちらかというと仕事という側面もありながら楽しみのひとつとして行っている印象です。
そういった中で自身の配信を削るというのは、リスナー以上にストレスになっている可能性も高いと思います。
また、配信を休むと何か言われたり、休みが増えてしまうとファンに飽きられるのではないかという不安なども付きまとうかもしれません。


■誰も悪くないのにみんなが損をする

こういった状況と言うのは誰にも悪意はないのに、当事者全員が損をしてしまうという実は結構よくない状況だったりします。
会社が順調な時にどんどん仕事が来て、それを捌ける社員の数をオーバーしてしまって予定通りに仕事が進まなくなり、発注した企業もマイナスになり、社員側もひたすら疲弊して、最悪の場合まともなクオリティでのサービス提供ができなくなって、どこかで一度クラッシュするという様な感じです。

見出しには誰も悪くないのにと書きましたが、責任は最終責任者の代表(社長)にあります。その前段階では管理監督者やマネージャーとなります。

ホロライブで言えば運営やマネージャーを管轄する責任者でしょう。

以前、ホロライブのリスクマネジメントに関する懸念の記事でも書きましたがホロライブは急成長する速度に対して組織や体制の構築が間に合っていないというイメージがあると書きました。
例えばそれは法務や管理といった事務的な部門だけでなく、所属タレントのフィジカルケアやメンタルケアやスケジュールケアの部分などもそうですが一般的な企業の場合そもそもタレントというカテゴリの社員がいません。その為内部人員だけでそこを自社ノウハウで補おうとしても歪みが生じる可能性がありそうです。
そしてそれが今ここにきて少しずつ表に顕現しているのかもしれません。

また、多くの層のリスナーが居るのでもしこういった状況下にあるのならホロメンからではなく、運営側からそういった事を上手く伝える例えば「最近のホロメンの一日に密着」みたいな公式番組みたいな伝達も必要だったりするかもしれません。

■終わりに

こういった過渡期というのは、一見ピンチの様にも見えますが、潜在的な問題も表に出てくるタイミングなのでそういった各種課題をまとめてクリアにできるチャンスでもあったりします。

そうしたタイミングで課題を先延ばしにするのか、クリアする為に取り組むのかで企業の未来は大きく変わってきます。

今はホロメンにとっても負担が大きかったりもすると思いますが、リスナーもそういった状況を考慮しながら、ホロライブが更なる大きなステージに進める様に出来れば良いなと感じます。



追加

以前別記事の中で書いた事ですがこちらの記事の方が親和性があるので貼り付けておきます。

■体調不良の報告を見ると

最近体調不良などでによる休止や、体調不良による配信お休みのツイートを見かける事が多くなりました。

配信をお休みすると、リスナーから「なんで?」「どうしたの?」といったツッコミが入る以上は「体調不良」や「急な用事」といった説明をしなくていけないのは仕方ない事です。

ただ、その頻度が多いとその配信者に対して
”配信が楽しい”
”配信が楽しみ”
といった感情よりも
「なんか無理させてるみたい」
「なんか無理してて可哀そう」
といった感情が先に立つようになりました。

そうなると配信を見ていても「配信してて大丈夫なのかな?」といった感想が頭の片隅に湧いたりします。

何度も野球選手を例えには出しているのですが、肘を故障中の投手が「肘まだ治ってないけど何とか投げてみる」と言って登板するのを見ている様な感じで観戦を楽しむというより、ボロボロの身体を鞭打って無理して更にボロボロになっていくのを見ている様で、楽しむどころか見ていて痛々しい気持ちになる、という感じです。

特に自分が推している人であればあるほどそういった思いは強くなると思います。


定期的に配信はして欲しいけれど、体がボロボロになるまでの頑張りは求めていない、でもそれって判断が難しいし、本人も見てる側も大丈夫だと思っていたけど気付いたらギリギリの状態まで来ていた、というのは結構ある事なのかもしれません。

これはとても難しい問題だなと思います。

元記事はこちらになります。

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