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【転職活動】英語面接、準備できてますか?(技術編)

先日の筆者の記事「【転職活動】英語面接、準備できてますか?」について、掲載媒体のnote及びXにおいて大変ポジティブな反響があり、英語面接に対する皆様の関心の高さを実感した次第です。前回の記事は、「転職活動三種の神器」を軸に、英語面接に臨む意識改革をご提案する内容でしたが、今回は「技術編」として、前回記事でご案内したマインドセットを踏まえ、具体的にどのように英語面接における各質問に回答するかという技術的詳細について、重要英語表現・単語のご紹介と併せてお伝えしたいと思います。以下の記事は前回記事にてご案内した考え方がベースとなりますので、前回記事をお読みでない方は、ぜひ前回記事をご一読の上で以下をご覧いただけると幸いです。

1 個別質問に対する回答準備について

(1) 想定質問と回答準備の必要性
前回記事では、「転職活動三種の神器」の構成要素である「志望動機」「転職理由」「自己PR」による一貫した転職ストーリーの確立と、コンピテンシーを示すエピソードの整理が必要であることをご紹介しました。今回の記事では、実際の英語面接での各質問に対し、どのようにこれらリソースを使ってアプローチするかという、「アウトプット」の側面をご紹介したいと思います。以下、想定質問と回答のアプローチについてご説明します。

(2) 法務に関する重要質問と回答準備における考え方
インターネットには、英語面接における想定質問についての記事が溢れています(例えばこちら)。これらはあくまで広く一般的に様々な職種に幅広く対応するよう作られていますが、法務に関しては業務上の特性を前提とした典型質問があるように思いますので、以下それらをご紹介しながら、回答のアプローチをお示ししたいと思います。
(i) 職歴を問う質問
以下のような問いが考えられます。
・Tell me about yourself/your work experience.
・Can you please walk me through your resume?
これらは職歴を問う質問です。以下の項目を内容として、時系列で答えるのが面接官に対して分かりやすいでしょう。なお、下記(d)各職歴間での転職理由は特に重要ですからぜひ準備しておきましょう。
(a)弁護士登録前の職歴
面接官が主に興味を持っているのは弁護士登録後のキャリアであることは言うまでもありませんが、弁護士登録前に職歴がある方は、①弁護士登録前の職歴が現職に至るに際して大きな動機になっている場合や、②弁護士登録前の職歴において大きな実績があるなどPR要素がある場合は、簡潔に触れることが望ましいと思われます。
(b)弁護士登録後の職歴
(c)留学経験

留学経験はアピールポイントになるので、①時期、②国・大学・コース、③取得学位などについてぜひ触れましょう。
(d)各職歴間での転職理由
職歴に関する質問に対する回答は、従前の職歴を羅列するわけですので、転職を繰り返している人は特に長くなりがちです。他方、前回記事でお示しした通り、英語面接では面接官の興味を揺さぶり起こし、「背離れ」を勝ち取らなければなりません。映像作品では各カット間のつなぎになる「トランジション」を入れ、それぞれのつながりを示し一貫した表現することで観客を惹きつけるという技術がありますが、英語面接でもそれと同じことが当てはまります。単に、弁護士登録して最初はAに入りました、次はBです。」などと言うのではなく、なぜAからBに転職したのかについても簡潔に説明しましょう。留学も然りです。なぜ留学したのか、実務の中で芽生えた関心分野の追求など、何か理由があるでしょう。この過去の転職・留学理由が「転職活動三種の神器」における「転職理由」や「志望動機」と一貫していると、応募者のキャリアにおいて貫きたいテーマが一層明確になり、さらに説得力が増します。なお別の観点から、面接において転職回数が多いことがネガティブに評価されるのではないかと不安に思われる方もいらっしゃるようですが、この過去における転職理由を説得力をもって説明できるのであれば、恐れる必要はありません。そのような方はむしろ、自己のテーマの追求や、成長にコミットしている方とも評価しうるためです。

以上職歴に関する質問は英語面接の一番最初に聞かれることも多いですが、答える内容を志望動機と一貫したものとすることで、面接官に対して、後に続く志望動機に関する質問に対する回答についての予見可能性を与えることができます。前回記事でもお伝えした通り、母国語でない英語面接はわかりやすさ勝負の部分もあり、このメリットは無視できません。筆者の場合、(もちろん状況を見ながらですが)さらに進んで職歴に関する質問に対する回答の中で軽く志望動機まで言及することも多く、職歴の説明の直後に”That's why I am here.”とそのまま続けることで、志望動機までの一貫した説明を最初の質問の段階ででき、面接官に好印象を与えることができることもあります。

(ii) 「転職活動三種の神器」を問う質問
前回記事で「転職活動三種の神器」をご紹介しました。この考え方を理解され、一貫した「志望動機」「転職理由」「自己PR」をご準備された方であれば、下記のような質問は恐るるに足りません。

・Why do you want to work at this company?
「志望動機」を問う質問です。

・Why are you leaving your current job?
「転職理由」を問う質問です。なお、直近のポジションでの在職期間が短い方については特に、この質問については慎重に準備する必要があります。直近ポジションでの在職期間が特に1年を切るような場合、CV段階でのネガティブ要素となる可能性もあります。このような場合に重要なのは、転職理由が「客観的」・「構造的」なものであるという前回記事でもご紹介した点に加え、それら理由が、「入社前には合理的手段を尽くしても予見することが難しかった」こと、そしてさらにそれが「生涯の自らのキャリアにおけるテーマを追求するのに決定的な支障を生じさせかねない」ものであることを示すことです。あまり考えず入社し転職を繰り返す単なるjob-hopperであるという好ましくない印象を回避するためです。

・Why should we hire you?
・What can you bring to the company?
・What are your strengths?
これらは「自己PR」を問う質問であることは明らかですね。事前に準備した「自己PR」を確実に披露しましょう。

・What is your greatest professional achievement?
「自己PR」の一環として、このような実績を問う質問の回答準備も、職務上の守秘義務との関係上可能な範囲でしておきましょう。ポイントは、①該当のプロジェクト・案件内容、②ご自身の立ち位置・貢献度合い・具体的行動、③社内外への影響・結果、④関係者からの応募者の働きぶりに対するポジティブなフィードバックです。回答の中で応募者自身がどのようにプロジェクトに貢献・牽引したかを伝えることで、リーダーシップのアピールにもつなげることができます。

(iii) 「弱み」を問う質問
人間誰しも「強み」もあれば「弱み」もあります。この「弱み」を問うのが以下のような質問です。
・What are your weaknesses?

さあ困った。「自分が最高ですよ。自分を雇いましょう。」と勇猛にアピールしにきているのに、弱みを聞かれると途端に誰しも「ウッ」となるのではないでしょうか。しかし、「強みと弱みは表裏一体」、そして、「弱みは適切に認識しており、適切に改善途上であることをアピールすること」を覚えておけば恐れる必要はありません。例えば、案件にコミットしてやり切る力を強みとする方は、案件遂行に向け懸命になるあまり、関与する他のメンバーへの配慮が足りなくなることもあるでしょう。しかし実際には関与するメンバーにも体調や家族の状況、モチベーション度合いなど様々な個別事情があるわけで、これに配慮することが案件を円滑に進める上で必要になってきます。こうしたことを踏まえて、自己の認識する弱みと、既にそれを適切に認識して適切な方法で改善を試みていることをアピールしましょう。改善途上における周囲のポジティブなフィードバックなどが得られているのであれば、それも併せて面接官にお伝えしましょう。

(iv) コンフリクトマネジメント力を問う質問
Conflict managementとは、職場において対立が生じた場合、そのネガティブなインパクトを極力抑え、組織においてポジティブな側面を活かすようにするプロセスをいいます。このコンフリクトマネジメント力を問う質問として以下のようなものが考えられます。
・Tell me about a challenge or conflict you’ve faced at work, and how you dealt with it.

上記質問では具体的な「コンフリクト状況」と「そこにおける応募者の行動」が問われており、典型的なコンピテンシー質問に分類されます。法務においては扱う業務上社内の利害対立も生じやすく、応募者のそうした状況に対する耐性を問うものとして、ある程度のレベルのポジションであれば特に、こうした質問は頻出です。

さてどうアプローチするか?対立が生じる状況は誰しも嬉しくない困難なものです。しかし、だからこそ応募者が強力に自己をアピールできる大チャンス質問でもあります。「業務に関して対立が生じたがこれを上手くハンドリングするに際して、リーダーシップを遺憾なく発揮した」というストーリーを示し、コンフリクトマネジメントとリーダーシップを表裏の問題として捉えることで、一粒で二度美味しい、巧みなコンフリクトマネジメントとリーダーシップスキルの両方を示すことにつながります。コンフリクトマネジメントの内容詳細についてはインターネット上にも多々記事がありますからそちらに譲るとして、英語面接でフォーカスすべき内容としては例えば以下のような項目があり得ます。ここでポイントは、「応募者が自らコンフリクトを解決した」という必要はなく、「コンフリクト解決の道筋をつけ、関係者をそちらに向かわせるよう助けた」ということを示すことです。
・関係部署全員が問題を分析し、理解できるよう、チームを組成するのを手伝い、必要に応じて外部専門家などの外部リソースをディスカッションに組み込んだ。
・関係部署には自ら働きかけて、プロジェクトチームに参加してもらうようにした。
・関係部署間の対話の場をセットし、議論をファシリテーションした。
・豊富な資料を提供し、関係者が関係者間の不要な感情対立に終始することなく、理論的な議論ができるようにした。

以上のような整理ができていると、以下のような単純にリーダーシップを問う質問に対しても、コンフリクトのマネジメントという強力な印象を残す行動を挙げながら説得力を持った回答をすることが可能となるでしょう。
・Tell me about a time you demonstrated leadership skills.

なお念の為、本記事はもちろん、全てのコンフリクトを法務がリーダーシップをもって解決すべきという巻き取り的な法務機能論を唱えるものではありません。あくまで案件の性質上法務が資料を提供したり、外部リソースを組み入れることで解決への一助を提供できるものであれば、法務担当者が積極的に動くことはありうるし、そのようなことは推奨されるという考え方です。

(v) 将来のキャリア展望を問う質問
・What is your plan in the next [5] years?
将来のキャリア展望を問う質問です。ブラケット内の数字は場合によっては3であったりあるいは10であったりすることもあるわけですが、いずれにしても一定期間において会社がコミットしてほしいと考えるポジションでは特に質問される項目になります。

こうした質問は、非常に速い現代社会の変化スピードや、近年ますますのインハウスロイヤーのキャリアパスの多様化を前提にすると、回答が容易ではない部類のものと言えるでしょう。もっとも、一貫した転職ストーリーを伝えるという観点では、「転職活動三種の神器」として準備した「志望動機」や「転職理由」で述べた「キャリアにおいて追求したいテーマ」とリンクさせた方向性のものである必要があります。具体的にはそこで述べた将来にわたって追求したいテーマ探求を一定期間内においてどう発展させていくのか、一定の期間内の中である程度マイルストーンを設けて考えていくということです。5年の間、最初の1年間に何を達成するか、次の1年はどうか、そして最後の1年間を経た5年後、自分はどうなっていたいのか。これが事前のリクルーターから共有されるポジションに関する情報や、面接中の面接官の説明や反応などから考えられる応募先企業の期待値とリンクするように回答できると非常に強いアピール材料の一つになるでしょう。

(vi) マネジメント経験を問う質問
・Can you describe your experience managing a team?
このようなマネジメント経験を問う質問を最後に取り上げたいと思います。この質問で問われているのは主に、①過去のどのポジションで、何人のマネジメントをしたのか、というファクト、②応募者のマネジメントスタイル、③過去のマネジメントポジションにおけるマネジメント上のコンピテンシーを示すエピソード、④応募先企業のポジションがマネジメントを含むポジションである場合、応募先企業でどうマネジメントをしてきたいか、といったところです。マネジメントについては既にインターネット上に多数の記事が掲載されておりますので詳細の解説はそちらに譲るとして、ここで重要なのは応募者が話す上記②~④の内容が、応募先企業の期待値と合致していることです。詳細はマネジメントについての資料に譲りますが、組織形態、ビジネス内容やゴールにより目指すべきマネジメントスタイルは異なりますので、ファーストステップとしてはこれまでのマネジメントキャリアの棚卸しに加えて、応募先企業やポジションについての研究をすることになるでしょう。

以上が英語面接における個別質問とそれに対する回答準備に関するご説明になります。なお、上記内容はもちろん、英語面接に限らず日本語の面接でも当てはまります。外資系企業の面接では外国人面接官には英語で、別途日本人面接官との面接では日本語で、同じ内容を異なる言語で異なる機会に説明することが多いですから、両言語の間で一貫した説明ができるよう、しっかりと準備する必要があります。

2 英語重要表現&Action verbsについて
(1) 英語重要表現について
前回記事で少しだけご紹介した、英語面接においてCareer Aspirationsについて述べる際に使える英語表現について、本記事にて前回記事の復習とともに補足したいと思います。以下のようなものがありますので、ぜひ使ってみてください。
・My career aspirations are ~  私がキャリアにおいて成し遂げたいことは~です。
・I am committed to ~  私は~することにコミットしています。
・I am aspiring to ~  私は~を成し遂げたいと強く望んでいます。
・My dream job would be to  ~  私の念願の仕事は~です。
・I am passionate about  ~  私は~に情熱を感じます。

(2) Action verbsについて
英語でCVを書いたり、実績や活動を伝える際に使う動詞をaction verbsといいます。面接でもaction verbsを使っていくことで表現に力強さ、ダイナミックさを与えることができます。代表的なものを以下の通り挙げておきますが、これらはほんの一部です。ぜひ積極的に色々な単語に触れてみて、フィーリングが合うものを実際にご自身で使ってみましょう。
accomplish 成し遂げる
achieve 達成する
advise 助言する
analyze 分析する
assist 援助する
complete 完成させる
conduct 運営する、行う
coordinate 調整する
create 作り出す
demonstrate 説明する
develop 開発する
establish 設立する
implement 実行する
improve 改善する
increase 増加させる
initiate 着手する
integrate 統合する
investigate 調査する
manage 管理する
negotiate 交渉する
organize 組織する
perform 実行する
propose 提案する
realize 実現する
recommend 推奨する
supervise 監督する

3 最後に
いかがでしたでしょうか。英語面接における個別質問への回答準備について、多少のイメージを持っていただけたのであれば幸いです。何かご質問やコメントがございましたらお知らせください。長くなりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。
本日は2024年12月31日(火)です。来年も読者の皆様とビジネス英語を勉強していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。では、良いお年をお迎えください!

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