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界の軌跡-Farewell, O Zemuiria-をトロコンするまで遊びつくしたので感想文を書いたぞ!!!

 神気合一(物理)!


 いやー、今作は面白かったね。シナリオもバトルも面白かったよ。書きたいことはいっぱいあるけど、今作の感想文を書くにあたってまずバトル方面の感想から書いていきたい。もちろんネタバレ全開だよ。

 本作は前2作(黎シリーズ)のエンジンを踏襲したバトルシステムなんだけど、前作までとガラッと変わってブーストゲージをいかに上手に運用するかがカギになる、かなり毛色の異なるバトルになっていた。

 前作までだとブーストゲージ(以下BGと表記する)の使い道がSクラフトくらいしかなくて、わざわざブーストしてホロウコアの性能を引き出して戦う必要がないというか、Sクラフトを使いたいときにBGがないという事態に陥らないように節約して戦うのが定石だったのですが、今作はブーストして戦うことが前提の作りになっていた。

 まずZOC。BGを2個消費してフルブーストすることで2連続行動が可能になるという非常に有用な仕組みが導入され、有利に戦い続けるには積極的にZOCを使用していく必要ができた。そのうえでSコマンド(シャードコマンド)という閃シリーズでいうブレイブオーダーのような仕組みが導入されたことでBGの維持管理がより重要になった。かといってブーストしないよう温存すればいいのかというとそれも違くて、ZOCの使い道が非常に多いのでガンガン使っていきたいのが本作だ。おまけにZOCとSコマンドは敵も使ってくるし、敵のSコマンドを相殺するためにBGを余分に消費してSコマンドを打ち返す必要もありと、とにかくBGがたくさん必要になった。BGの最大値を増加させる手段が序盤だとSクラフトを使っていくしかないので必然的にSクラフトを戦術に組み込む必要があり、Sクラフトを使うにはCP100にBGも必要と、とにかくCPだけでなくBGにも気を配る必要が出てきて、初回はかなり苦戦させられた。考えることが多い。

 あれ? これ閃シリーズの流れとおなじやんけ! とちょっと思いました。閃1~2だとBPの使い道がまったくなくて無駄な仕様と化していたのに、閃3になるとブレイブオーダーの登場によって急にBP管理が必要になってくる流れとかそっくりだな! などと思いました。

 まぁ、前作までだとBGも必要なければホロウコアも死にコンテンツだったので、ホロウコアを十全に活用させる良い改善案だったとは思う。全キャラでブーストを使いまくる関係上、前作のようにアーツの独擅場ではなくなり、クラフトもかなり使いやすくなった。特に新 シャードスキル:A〇〇ガード 系が強力で、クラフトアタッカーには必ず シャードスキル:Aライズガード(行動後にオートガード+CPを30回復) を発現させる必要が出てきたりと、クォーツの取り回しもかなり変更があった。この シャードスキル:Aライズガード のおかげで前作まではどうしても苦しかったクラフトアタッカーのCP回収効率が劇的に向上し、アーツアタッカー並みに活躍できるようになったのだ。

 そもそもの話、A〇〇ガード系のスキルを発見できたのも偶然で、フィーがクラフト後に「ガードする!」とか言って勝手にガードしてCPを回復し始めたときに「は?」と思って調べてみて初めて今作から登場した新 シャードスキル:A〇〇ガード を発見するに至ったんですね。フィーはシールドラインの属性専用スロットが風なので シャードスキル:Aライズガード を発現させやすい条件がそろっていたことも相まって、メーカー側の作為か3系のクォーツ入手とスロットの3列目の解放が進んできた段階でこれを発見できるように調整されていたように感じる。

 上述のとおり、シールドラインの シャードスキル:A〇〇ガード 系のスキルが非常に優秀で、素の発動率は10%だがブースト状態だと100%発動になる。今作はほとんどのキャラがブーストしっぱなしなので、ほぼ自動かつ確定で発動するようになっている(逆に シャードスキル:A〇〇ガード 系を安定して発動させるにはブーストを維持する必要がある)。これのなにが優秀かって、防御してないのに行動するだけで自動的に防御状態に移行してくれて、しかもデメリットが一切ないのだ。特に難易度ナイトメアで、敵の手痛い攻撃をすべて受け切って耐え凌ぐのに必須スキルとなっている。しかし表記されない発動条件があって、ダメージ判定のない行動(回復やバフなど)後だとA〇〇ガード系のシャードスキルが発動しない。したがって、例えばアニエスクラフト:ホーリーブルームクラフト:イノセントヒール(アルテアヒール)リゼットクラフト:コバルトカーテンフェリ クラフト:焔の謡 などのバフや回復行動後ではA〇〇ガード系のシャードスキルは発動しない。

 しかしである。リィンクラフト:無想神気合一 にはなぜかダメージ判定がある。確定でゼロダメージだが判定自体は存在する。


※最初は「このゼロダメージ表記になんの意味が?」と思ったが…。

 たとえゼロダメージでもダメージ判定があるので シャードスキル:Aライズガード が発動する(演出上は発動していないように見えるがきっちり入っている)。シズナクラフト:神氣合一 は純粋なバフ行動なので シャードスキル:Aライズガード が発動しない。この差がデカい。

 シズナと同様に、ケビンセリスリオンクラフト:聖痕解放 もバフ扱いでダメージ判定はなく、もちろんヴァンクラフト:テイクザグレンデル もバフ扱いなので シャードスキル:Aライズガード は発動しない。自己バフでCP回復ができるのはリィンだけである。

 また、クラフト全般の性能面ではリィンシズナに然ほど違いはないが、燃費にかなりの違いがあり、円L広範囲の疾風系を比較すると

・六連疾風(リィン) 消費CP 60
・九十九颯(シズナ) 消費CP 80

 であり、円Sの小範囲高火力クラフトでも

・火文の太刀(リィン) 消費CP 50
・鬼神楽(シズナ)   消費CP 70

 とリィンのほうが低燃費なのだ。神気合一系のバフでCPを自己回復(シャードスキル:Aライズガード)できてクラフトも低燃費なので、必然的に継戦能力はリィンに軍配が上がる。フィールドバトルの性能はシズナのほうが高いし、火力面だけを見るならシズナクラフト:神氣合一 のほうがちょっとだけ強い(ただし実際に殴ってみるとリィンのほうが火力が出ることは多いが、書いてあることはシズナのほうが強そうなのだ)。が、総合力で見るならリィンのほうが断然使いやすくて強い。オーブメントのスロット数ではシズナに軍配が上がるものの、つけられるクォーツにほとんど差がなく発現するシャードスキルもほとんどおなじなのでクォーツによる性能差はほぼないと言える。っていうか、今作は火属性の上位クォーツに必須級のものが多く、火属性を無理なく組み込めるリィンは鬼のような強さを発揮する。

 したがって今作の最強キャラはリィンに決定…と言いたいところだが、残念ながら本作の最強キャラはやっぱりアニエスである。アニエス強すぎる…!

 確かにね、リィンはバチクソ強いんですよ。アクセサリ:倶利伽羅王の刻印 を装備させて クラフト:無想神気合一 を使用すると硬直ゼロで鬼バフ状態になり、CPを100消費して即CP88を回収できるので無限に行動し続けられる。なぜ88もCPを回復できるのかはわからないが、とにかく回復できるのだ。内訳としては アクセサリ:倶利伽羅王の刻印 の効果で30シャードスキル:Aライズガード30シャードスキル:バーストゲインII にアクセサリの効果が乗って12、これに攻撃hit時のCP回収が乗っかって75くらいの計算になるはずなのだがなぜか88回復できるのだ。アクセサリ:真・士魂ベルト にするとCP回復量は82になる。なぜだ?

 ともかく、リィンクラフト:無想神気合一 → シャードブースト1段階 → 強いクラフト(なんでもいい。CPは回収できる)→ 割り込みSクラフト という順番で選択するだけで手番が回ってくるたびにSクラフトを打ち続けられる鬼のような強キャラになれる。ただしこのムーブだと少しずつCPを消費していくし、自己バフの切れ目にCPが100必要なのでCP不足に陥ることはたまにある。それでも高火力クラフトを連発しつつバフも維持できる性能で非常に強い。

 それに対してアニエスはというと、前作までと同様に シャードスキル:アークフェザー改シャードスキル:カタラクトゲインII をドライブライン上で発現させられればほぼ完成である。敵の弱点を突く必要はあるものの、駆動時間も硬直時間も非常に短いうえに クォーツ:金耀珠クォーツ:省EP3 を併用すれば消費ゼロ(使ったEPは全回収できる)で無限に戦い続けられるので純粋に強い。火力は覚醒リィンや覚醒シズナには若干劣るかなという印象だが、ホロウコア:シギュン を入手してからは(最大EPを底上げする工夫は必要なものの)前二者に劣らない高火力を高回転で発揮してくれる。ZOCを駆使したフル回転リィンに比べると火力面では劣るが、戦術の要として機能しながら火力源とデバフ兼ディスペル役もこなせるアニエスは本作の中軸と言っても過言ではない。

 しかも、アニエスは前作でも有用だった クラフト:ホーリーブルーム を持っているので、パーティー全体で共有するBGを回復しながら高火力も出せて、おまけにピンチのときはSクラ割り込みで全体回復もできるという化け物みたいなキャラなんですね。アニエスがいるのといないのとでは安定感が全然ちがってくる。BG回復クラフトを持っているキャラは4キャラしかいないので、サポーターとして必須の性能を持ちながらZOCを併用して高火力アタッカーとしても機能する万能キャラなんです。おまけにシールドラインの属性専用スロットが空属性なので、シャードスキル:セラフィムフォース改 を簡単に発現させられる。不測の事態への対応も完璧なのだ。おまけにATS値が全キャラトップで、ドライブラインの属性専用スロットが水属性なので クォーツ:コノハナサクヤ を無理なく組み込める完全無欠ともいえるキャラクターである(クォーツ:コノハナサクヤ を入手できるころにはいなくなってしまうのだが…)。

 リィンアニエスが頭ひとつ抜けて強い印象があるが、今作ではヴァンもなかなかの火力源になれる逸材である。ただしグレンデル限定。グレンデルの火力は申し分ないしディスペルもできるし広範囲攻撃もお手の物と前作までと似たような性能ながらフルブースト時に4連続行動が可能とかなり強化されたヴァンだが、本格的に活躍できるのは アクセサリ:倶利伽羅王の刻印 を入手してからである。つまり実質2周目からだね。とは言ってもリィンには勝てないんだけど(硬直時間の差でSクラフトアタッカーに負ける)。リィンクラフト:無想神気合一 → シャードブースト1段階 → クラフト:六連疾風 → 割り込みSクラフト のコンボが強すぎてグレンデルですら霞んじゃうんだよね。CPを湯水のごとく使う仕様はこれまでとおなじだが、アクセサリと シャードスキル:Aライズガード でもりもり回復できるのでそこは苦にならない。問題は クラフト:コインバレット(ヘイトアップ効果)がまともに機能しないことである。クォーツ:美臭 はある程度の効果を発揮するが、ヘイトアップ系クラフトはほぼまったく効果を発揮しない。

 クラフト:コインバレット は前作までだとヴァンの必須クラフトで、敵の攻撃をガシガシ引き付けて被弾を防いでくれる、非常に優秀で頼れるクラフトだったのに、今作では有形無実の雑魚クラフトになってしまった。それでもヴァンに攻撃を引き受けてもらいたいのは同様なので、ここで工夫を凝らした。

 クラフト:コインバレット は無意味でも クォーツ:美臭 はある程度の効果を見込めることを前提に、敵の行動パターンを観察すると、どうも今回のエネミーは「なるべくたくさんの敵を巻き込める行動を優先する」というロジックで動いているように見受けられた(創の軌跡とおなじ感じ)。バトルメンバーは4人なので、ヴァンをひとりだけ孤立させてほかの3人で遠くから攻撃するという戦術が前作までの鉄板だったが、今作ではそれが通用しない。よって作戦を変えた。

 特にボス戦などで有効な戦術だが、まず控えメンバーCP200のリゼットを置いておく。バトルが始まったら一番最初にターンが回ってきたキャラ(だれでもいい)とリゼットをチェンジする。次に クラフト:スクルドレイダー で全員を加速して手番を引き寄せればおk。クラフト:スクルドレイダー を持つリゼットは今作の助演女優賞である。このクラフトは自分も含めた全員に加速効果をもたらすので、使用したリゼット自身も即行動が可能になる。すぐにメインメンバーと交代しなおしてお役目終了だが、先手を取られてボコられる危険を回避できる超有能なキャラがリゼットなのだ。

 全員の手番を繰り上げられたら以下の図のような布陣をとる。


 敵の背後に回るキャラは攻撃を受けても大丈夫なキャラならだれでもいい。ベルガルド先生とかアーロンあたりでもおk。アーロンは脆いうえに攻撃も雑魚なのでお勧めしないが高耐久キャラならだれでもいい。この2人には必ず クォーツ:美臭 をセットしておく(状態異常対策も必須)。リィンルートならリィンクロウケビンルートならケビンルーファス。この布陣ならダメージを受けるのは敵の背後に回った2人に集中するので、2人が死なないように注意するだけでおk。敵が「なるべくたくさんの敵を巻き込める行動を優先する」なら2人と2人に分かれてしまえば クォーツ:美臭 を持っているほうを優先的に攻撃してくるので、下の2人にはほとんど攻撃は飛んでこない(たまに来るが無視できるレベル)。

 ここまで準備できればあとは各キャラごとに役割を果たしていくだけである。ヴァンシズナは攻撃。エレインはZOCからのBG回復+CP供給。アニエスはBG回復+アーツ攻撃。回復行動は必要ない。BGは潤沢にあるのでSコマンドで回復すればおk(というかエレインが回復してくれるので困らない)。BGとCPが余ってくるとエレインは手持無沙汰になるので アーツ:ゾディアックサイン でも打たせておけば問題ない。アーツ:ゾディアックサイン が非常に優秀で、全能力バフに加えてBG回復もできる、前作までの アーツ:イデアルフォース の完全上位互換アーツである。ただし、補助アーツは先述のとおり シャードスキル:A〇〇ガード 系の発動条件を満たせないので防御系のSコマンドが効いている間に行うのが吉。

 今作で一番苦戦したのが黒の庭城 第九領域(最終階層)のボス(神機アイオーンTYPE-ε)で、めちゃキツかった。倒すだけならそんなに苦労しないんだけど、40カウント以内に撃破っていう条件を満たすのが難易度ナイトメアだとめちゃんこ難しい。敵の行動も早いので40カウントのうち10カウントくらいは敵に奪われてしまう。最初はリィンシズナエレインアニエスという高火力安定パでやってたんだけど50カウントくらいかかってしまう。敵に弱点属性がないのでアニエスをアウトしてヴァンを投入。グレンデルで暴れてもらっても4カウントくらい届かずどうしたもんかと何度かやり直しをした。試行錯誤の末、エレイン クラフト:ロードオルタス を使用するのをやめて、ひたすらBG供給に徹してもらうことに。ジリジリ減っていくCPは Sコマンド:ラピッドソード で回復しつつ物理火力を底上げして、敵のアンチSコマンドも上記のラピッドソードで上書きしてを繰り返すため、エレインにはひたすらBGを供給する役を担ってもらってギリギリ39カウントで撃破。今作の高火力キャラは自己バフを常に維持しなければならないので自己バフのかけ直しでカウント数をとられるのが地味にキツかった。

 神機アイオーンTYPE-ε は行動が速いので普通に戦ってるとカウントを敵に稼がれてしまうんだね。なので積極的にZOCを使用してこちらの行動回数を増やす必要がある。敵の行動に対処して戦うのではなく、40カウントのうち何回こちらが行動できるかという考え方にシフトしないと厳しかった。ZOCをフル活用しつつ、場合によってはZOCの2連続行動後に即Sクラ割り込みを使ったりして、とにかくこちらの手数を増やすのが重要なのだと何回かやってようやく気付いた。行動回数を稼ぎたいのでブースト即Sクラではなく、ブースト → 高火力クラフト → Sクラ割り込み のような戦い方を要求されて厳しかったね。今作は ホロウコア:リュウキクォーツ:バンダースナッチクォーツ:グングニル を併用するとSクラの硬直時間が通常攻撃より短くなるので、高火力クラフト → Sクラ割り込み というコンボのほうが手番が早く回って来る。これに気づけないと終盤はかなり厳しかった。

 うーん、バトルだけでだいぶ長々と語ってしまったな。まぁ、面白かったというのが伝わればおk。今作は使用キャラがいっぱいいるのに使えるキャラと使えないキャラに如実な差があって、そこはもう少しなんとかしてほしかったかな。フェリとかカトルとかなんに使うの? スウィンフィーも用途がゼロだし、ナーディアもオーブメントがカス。聖痕持ちの守護騎士ふたりもケビンにお株を奪われて出番なし。ヨルダ? 使う場面がゼロ。属性専用スロットがカスなのでアンカーヴィルの最後はジュディスにアーツアタッカーをやってもらったくらいである。リーシャジンはそれぞれスウィンorフィーとチェンジしてもらってもよかったが、いちいちクォーツを付け替えてまで出張ってもらうほどの性能ではなかったのでノータッチ。

 個人的なクォーツの基本的な考え方は、まずEXラインを軸にする。EXラインで シャードスキル:ヘブンリーラック(IIである必要はない)と シャードスキル:オートクイック を発現できるように組む。これはクラフトアタッカー、アーツアタッカー、サポーターの全員に共通する。次にキャラの役割に準じたシャードスキルを発現できるようにクォーツを埋めていく。

 クラフトアタッカーなら

・アタックライン バーストゲインII
・シールドライン Aライズガード
・ドライブライン なし
・EXライン ヘブンリーラック、オートクイック

 アーツアタッカーなら

・アタックライン なし
・シールドライン Aクレストガード
・ドライブライン カタラクトゲインII、アークフェザー改
・EXライン ヘブンリーラック、オートクイック

 こんな感じ。シャードスキル:カタラクトゲインIIシャードスキル:アークフェザー に優越するようクォーツをセットする。シャードスキル:カタラクトゲインII を発現できないとEP切れを起こすのでこれはマスト。サポーター枠は正直クォーツにこだわる必要はない。アニエスはアーツアタッカーとして運用するとして、エレインクロウルーファスの3人は超便利キャラなので大活躍だったね。特にエレインは序盤から終盤までずっと頼りになった。シャードスキル:Aライズガード のおかげで燃費の悪かったクラフトもガシガシ回せるようになったので本当に助かった。ルーファスもちょっと扱いづらいが頼りになる。クロウだけエレインルーファスに比べるとCP供給ができなくて使いづらいキャラだった。あと、地味にお役立ちキャラがベルガルドベルガルドクラフト:臭い息ハウリングブースト が超性能で、広範囲攻撃+ディスペル+自己バフとすさまじく使いやすいのは言わずもがな、今作では表記されない隠し性能として吸引効果がついてるんですね。これが強い。散らばった敵をまとめることができるので序盤は大活躍だった。

 ということで、そろそろストーリー面の感想に移っていこうかな。バトルの感想がめちゃ長かったな! もう一度いうけどネタバレ全開だからね!

 なんていうか、ケビンはもうレギュラー入りでいいでしょ。あのツッコミ性能は替えが利かん。次作でも頼む! リィンは次回作でも出てきそう。ユン爺ちゃんとかキリカ局長のにおわせもあったので出てくるでしょ。

 今作でいいなと思ったのが、普段のカクカク定型モーションで進んでいくストーリーの要所要所でキャラの表情やモーションがガチになる手法。これすごくよかったね! しかもムービーシーンみたいなロードが入ることもなく自然な流れでスルッと専用のシーンに入って元に戻る感じも違和感がなくてよかった。全部ソレにしろよ!ってのは贅沢というものでしょう。普通に予算と時間オーバーだろうからね。細かいところでの作り込みが随所に見られてとってもよかったよ。

 ストーリー面でいうと、ジャコモは完全にしてやられた。予想できなかった。あんな端役おぼえてるわけないだろ。でも言われれば思い出せる程度に印象的なキャラだったんだよな。でもまさかジャコモが復活するなんて想像してたやついないでしょ。変な外し方してくるなよな(褒め言葉です)。

 ともあれ、本作は是非とも2回プレイしてほしい。1周目と2周目ではアニエスのセリフのひとつひとつから受ける印象がガラリと変わる。1周目だとどことなく違和感のあるセリフ回しが結末を知ってからだと「あぁ! そういうことだったのか!」と思わせられる。やられた。

 シナリオ全般としてはよくできてたと思う。創の軌跡のようなクロスストーリーではなかったものの、相互にリンクした物語を別々の視点で描いていって最後に収束するやり方は良かったと思う。まぁ、メインのヴァンルートを見る限り、黎2は黎1~今作に至る流れでほとんど役割を果たしてないなぁとは思うけどね。

 恐らくという前置きが必要だが、初期のカルバード編の構想は

・黎1でオクトゲネシスをすべて集める
・界で宇宙計画 → レーギャルンの匣 → アニエスのあのエンディング
・3作目でヴァンの物語完結

 という流れだったのではないかと思われる。なんかのインタビューでカルバード編は閃シリーズみたいに長引かせるつもりはないみたいなことをだれかが言ってたし。よしんばゲネシスをひとつ残して黎1を終えることが既定路線だったとしても、第八ゲネシス回収から本作のエンディングまでをひとつの括りで考えていたとしてもおかしくない。話の流れとしてはむしろそのほうが自然ですらある。

 しかし実際にプロットを詰めていく過程で第八ゲネシス回収から本作のエンディングまでをひとつの作品にまとめるとボリュームが膨大になることが予想されたのではなかろうか。なのでどこかで区切ってもう1作品を続編として作ろうと付け焼刃で挿入されたのが黎2なのだろうと思う(前作の出来栄えと余韻にあやかってという商業的な意味もあっただろうけど)。どう考えても黎2のストーリーはスピンオフにしか思えないんだもん。ゲネシスと刻の至宝の兼ね合いを考慮してもなお必要のないシナリオだった。だって、今作のヴァンルートって結構ムダが多かったというか、リィンルートとケビンルートではどんどん物語の核心に迫っていくのに、要のヴァンルートだけちっとも話が進まないんだもん。アンカーヴィルに行ってようやく話が進んだじゃん? って考えると黎2のゲネシス回収とゲネシスの機能面の話は今作の道中で明かされるほうが自然…と邪推できてしまう。もともとの構想がそういう想定だったものを、黎2と界に切り離したおかげで不自然に間延びした冗長なストーリーになってしまった、そう考えるとしっくり来る。

 だいたいさ、白いレプリカはゲネシス同様に分解できない構造になっているってカトルのセリフがあったけど、おまえらよーく考えろよ。第八は普通に分解されとったやんけ。第八だけは特別~みたいなことを前回で言ってたのに第八だけが特別である必要すこしもなかったじゃん。8つそろって本来の機能を発揮することは示唆されていたけど第八だけほかと違う理由がなにもないんだよ。つまり、

・第八のゲネシスだけは特別 → 嘘
・第八だけ本体とガワに分解 → 矛盾

 ってことになるので、黎2のストーリーは普通に話の整合性を度外視した二次創作ってことで私のなかでは落着した。だって本編終盤でミラベルが


 って言ってたじゃん。ってことはエレイン・スウィン・ナーディア組の前作第1部でゲネシスが反応したこと自体がもうおかしいわけでしょ(これは前作の感想文でも書いた)。黎2はもうシナリオが無茶苦茶なんだよ。初期構想の「第八ゲネシスの回収 → 本作のエンディング」という流れから「第八ゲネシスの回収」の部分だけを切り離した所為で今作のヴァンルートは無駄に冗長な感じになったし、「第八ゲネシスの回収」だけではメルヒェンガルテンを挿入してなお一作品分のボリュームにするのが難しかったので本来は分解できないはずのゲネシスをバラしてまでシナリオにボリュームを持たせる必要があった…こう考えると得心も行く。その結果シナリオを破綻させてるんだから完全な失敗作だよね、黎2は。

 そういう製作サイドの思惑を考慮しなければ、今作はすげー面白かった。物語がどんどん進んでいく感じが小気味よくて(ヴァンルート以外)ぐいぐい引き込まれていったね。マップの使いまわし感がちょっと気にはなったけど、2年ぶりだしそこまで飽きを感じさせるものではなかったし。

 今作で新たに登場した町ってアンカーヴィルしかないんだけど、やっぱファルコムは町を作るのが上手いよね。なんか無駄にファンタジーな感じもなく、それでいて地方の特色みたいなものもしっかり表現されてて、高低差もしっかり作られているから坂道とその通り沿いの風景からも生活感が感じられる。「絶妙にいい感じ」なんだよな、アンカーヴィル。あと、首都の街並みも住宅街と歓楽街が追加されてて、こういう場所がないと街とは言えないよなぁってひとりで思ってました。ベッドタウンは首都の郊外のほうにあるのかもね。

 話は変わって、今作をプレイして思ったんだけど、リィンの奥さんになれるキャラって冷静に考えるとアルティナしかいないんだよな。まずリィンの裏事情に精通していてそこに忌避感がない。これは登場キャラならだれでも問題にならないんだけど、そのうえで学生時代からずっとリィンのサポート役を務めてて、お互いに気心も知れている。さらにアルティナが奥さんなら帝国軍情報局との縁もできるわけで、ユーゲント陛下もニッコニコでしょ。帝国の英雄を懐に抱え込めるわけだしね。また、アルティナなら身分と立場の問題も解消できる。

 おなじ貴族だとラウラとミュゼ、さらに王族だとアルフィンもいるけど、アルフィンorミュゼでは身分が違いすぎるし、かりにオズボーン(成り上がりの伯爵)の血筋として考えても平民の成り上がりで大罪人の息子では世間様も貴族社会も納得しないでしょうよ。ではラウラはというと、身分的には問題ないけどアルゼイド子爵のひとり娘なのでラウラが相手だとリィンは婿に行くことになる(ラウラが嫁に行くとアルセイド家が断絶してしまう)。そうするとシュバルツァー家はエリゼが継ぐことになるのだけど、アルゼイド家とシュバルツァー家の確執に繋がりかねないよね。エリゼが相手だとシュバルツァー家のなかだけなら大丈夫そうだが、貴族社会で妹を娶ったことを揶揄されそうなのでやめたほうがよさそう。

 じゃあ平民組でアリサはというと、おそらく帝国政府側の横槍が入るでしょ。アリサが相手でもリィンは婿に行くことになるからね。男爵とはいえ貴族でしかも救国の英雄が大企業の跡取り娘の婿になるんだよ。ラインフォルトがシュバルツァー男爵家を乗っ取ることになるので皇帝家が黙ってないでしょう。逆にアリサが嫁に行くってなるとシュバルツァー家がラインフォルトを抱え込むことになるので財政的にも外形的にも無理。フィーだとギルドとの結びつきが強くなるので帝国にいづらくなるだろうし、フィーに貴族の奥方は無理でしょ。エマは…エマは魔女なのでよくわからんが、クロチルダがあれでしょ? 結社の使徒になっちゃってるわけだからローゼリアの跡継ぎってことになるので難しそうだが、ローゼリアは千年単位で長生きしそうなので意外に行けるのか…? ユウナは論外でしょ。アイツはクロスベルから帰ってこなそうだし。

 って考えるとアルティナが一番安パイなんですよね。親父のテオも平民の奥さんを娶ってるし、男爵のお貴族様が平民の嫁を貰うのは特段に問題にはならなさそう。アルティナは平民だけど家の問題を抱えてないのでフットワークはほかの女性陣より軽いという意味でも嫁に行きやすい。ミリアム? ミリアムはユーシスの嫁になるんじゃない?(問題しか起きなそうだが) ほかの面々もアルティナなら許してくれそうだし。ダークホースがトワ先輩だけど、トワ先輩はクロウとくっついたほうがいいんじゃないかな(離婚しそうだけど)。アルティナならいつも無理をするリィンを止める役目も背負えそうだし、一番おさまりがいいと思うよ。

 脱線しちゃったな。ともかく、今作は複数のルートを用意して前作までの伏線を回収していく過程は見事だった。軌跡シリーズのゼムリア大陸は、本好きの下剋上(ラノベ)でいうところのユルゲンシュミットみたいな世界なんだね。これまでもそれとなーく示唆されてはいたけど、改めて閉じた世界のお話なんだなっていうのが確定して感嘆の溜め息をついてしまった。ハミルトンばあちゃんもユンじいちゃんも、黎1みたいなわかりやすい悪じゃなのがよかった(黎1のジェラールもあれはあれで好きだったよ)。だって、ハミルトンやユン、ドミニクもルネも急に悪役っぽくなったらそれはそれでおかしいでしょ。まだ明らかになってないじいちゃんばあちゃん側の思惑がありそうで、次回作が待ち遠しいよ。そしてなによりアニエスに幸せになってほしい。消えないでくれ、アニエス!

 なんかすげー長くなっちゃったな。今作は普通に楽しかったよ。前作みたいなカスシナリオじゃなくて本当によかった。次回作でヴァンの物語は完結らしいけど、カスシナリオだけはやめてくれよ。本当に頼むよ。

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