桑沢とか、ムサ美とか

　モテキとか、万引き家族とか最近はリリー・フランキーの出演作品を漁っている。彼の適当な感じとか、軽い口調とかに魅力感じながらも、時折見せる独特の表情やセリフの妙な間に引き込まれてしまっている。
　僕には、惹かれた人物について調べる癖があって、この前は聖の青春でリリー・フランキー演じる棋士の森信雄をパソコンに写しつつ、左手に乗っかったスマホにウィキペディアのアプリを起動させていた。
　検索窓に、"リリー・フランキー"と打ち込んで、出演作品や執筆作品を細かくチェックしていく。おでんくんなんて絵本まで作って、アニメになってんだとか思いながら、次に来歴の部分を開ける。
　中央に現れる青い文字、"武蔵野美術大学"に一瞬動揺する。僕は重度の学歴コンプレックスだ。しかも、変わったタイプのやつで、東大とか京大に対してはなんてことはないのに、こと芸術大学、美術系専門学校には劣等感を感じてしまう。
　なんとなく"武蔵野美術大学に関係するの人物一覧"のリンクをタップすると出てくる名前は、草野マサムネ、今敏に村上龍……勿論、リリー・フランキーも。卒業生に連ねる名に圧倒される。怖いものみたさで他の芸大とか美術系専門学校の出身者も調べてみた。多摩美術大学のしまおまほ、大坂芸術大学の庵野秀明、桑沢デザイン研究所のスチャダラパー。ゴリコにエヴァにサマージャムなんて、みんな僕の好きな作品を世に生み出していて、憧れの芸術家たち。
　僕は、彼らが成長の糧にした土壌に植えられたことはない。植えられてみたかった。彼らの種が良かっただけで、土壌が良ければ花が咲くとは限らないけど。
　これ以上嫉妬の渦に捲き込まれないように、"藝大出身者"の青文字だけはタップしないことにした。　

ナガサカ

　この記事について、以下のポッドキャストで話してます!!良ければお聞きください!!