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猫様と言われる所以

 夕方、Lチキを買った時についてきたコーヒー交換券を握りしめてローソンへ向けて歩いていた。その時、細い路地の先になんだか塊が転がっているのが目に入った。猫があちらを向いて寝転がっていた。なんでだか僕はイタズラしたい衝動に駆られた。路地に入り、気づかれないように抜き足差し足。猫は全く気づく気配はなく、僕はついに背後まで忍び寄った。ちなみに想定していたのは人が近づいてくることに気づかない猫がギャァ!と驚いて飛び上がる姿である。考えてみればゆっくりと夕涼みを味わってる最中に迷惑な話であるが、この日はなんだかそのあたりの気遣いもなくずんずん人様(猫様)のスペースに踏み入っていった。そしてやっとこさ忍び寄った猫の背後から、目の前にワァッ!と飛び出てやったのだ。僕は大層満足げに猫の視界に入ったのだが、当の猫様はそっと顔を上げたかと思いきや、そのまま静かに眠りについたのだ。なんとも言えない静かな時間が流れた。猫様と僕とでは生きている世界、捉えてる意識の差が開きすぎていた。なんだか少しばかりちぇっと惨めな気持ちにもなりながら、どちらかと言えばあんな風に静かに過ごせることを望んでいるような気もして、すんませんお写真一枚だけよろしいですか?とあくまでも低姿勢で(その要求にもなにもたじろぐことなく、堂々と寝転がったままの猫様)撮影させていただき、その場を立ち去った。楽しみにしてたアイスコーヒーは氷たっぷりで爽快だった。帰り道細い路地に目をやったら同じ姿勢で寝転がってる猫様がいた。

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