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ストーリーでわかる商標の4つの機能
一般に、商標には以下の4つの機能があるとされています。
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読んでみてもわかるようなわからないような…イマイチ腑に落ちていない方も多いのではないでしょうか。
そこで、本noteでは、架空のストーリーに沿って商標の4つの機能の具体的な内容を解説したいと思います。
Chapter 1: コメダさん、米農家になる
昔々あるところに、農家のコメダさんがいました。
この地域では皆主食としてパンを食べており、お米を食べている人はいませんでした。
そんな中、コメダさんは、他所で食べたお米の美味しさに驚き、お米の美味しさを近所のみんなにも知ってもらうべく、自分も米栽培を始めることにしました。
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Chapter 2: コメダさんのお米、めっちゃ売れる
米栽培は一筋縄ではきませんでしたが、そこはプロ農家のコメダさん、苦労の末米栽培を成功させました。
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コメダさんは、早速できあがったお米を売りに出しました。
これまでパンしか食べたことのなかった近所のみんなは、コメダさんがかつてそうだったように、お米の美味しさに夢中になりました。
コメダさんのお米は飛ぶように売れ、コメダさんも大喜びです。
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そしてみんなお米を食べながら幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし…とはいかないのが自由主義、資本主義社会です。
Chapter 3: ライバル登場
「自分も米栽培で一儲けや!」、コメダさんのお米の人気ぶりを目の当たりにした近所の農家も米栽培を始めることにしました。
苦労こそしたものの、コメダさんという先駆者がいたこともあり、ご近所さんも米栽培を成功させることができました。
ライバルが現れた結果、コメダさんによる米市場の独占は崩れ、コメダさんは他の米農家との競争を余儀なくされました。
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Chapter 4: ブランド米『めちゃう米』誕生
「ウチのお米は他の米農家さんのものより美味しい!ちゃんとそのことをみんなに伝えなければ!」と考えたコメダさん、自分のお米と他のお米を差別化するにはどうすれば良いか頭を捻りました。
「そうだ!うちのお米には目印をつけよう!デザインは…よし!これだ!」、こうしてコメダさんのブランド米『めちゃう米(まい)』が誕生しました。
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コメダさんは早速『めちゃう米』マークをつけて自分のお米を売り出しました。
効果はてきめんで、この目印によって、みんなコメダさんのお米とそれ以外とを見分けることができるようになりました。
このような機能が、商標の「自他商品・役務識別機能」とその派生(表裏)である「出所表示機能」というわけですね。
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もともと職人肌のコメダさん、米栽培の腕も確かで、コメダさんの『めちゃう米』への信用もどんどん高まっていきました。
その結果、みんなは『めちゃう米』マークのお米はどれも美味しいものだと期待し、『めちゃう米』マークのお米に愛着を覚えるようになりました。
このような機能が、商標の「品質表示機能」と「宣伝広告機能」というわけです。
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『めちゃう米』マークのおかげもあり、コメダさんのお米は他のお米とは一線を画するブランド米として、みんなに末永く愛され続けましたとさ。
めでたしめでたし。
■ あとがき
商標の4つの機能のうち、最も本質的なものは「自他商品・役務識別機能」とされています。
その理由は、なぜコメダさんが自分のお米に『めちゃう米』マークを付けようと思ったのかという動機(自分のお米と他のお米との差別化)を考えてみるとわかりやすいでしょう。
また、「自他商品・役務識別機能」は、商標法のもっとも重要な論点の一つ「商標的使用」を理解する上でのポイントともなります(というより、「自他商品・役務識別機能」を理解していないと「商標的使用」も理解できません)。
本noteが皆様の商標法学習の一助となれば筆者としてとても嬉しく思います。
※『めちゃう米』のロゴは私が適当に作ったものですが、実際に「めちゃう米」という国産米の業務用ブレンド米があるようです。気になる方は是非ググってみてください。