【いるかプロジェクト始動1】近未来コミュニティー構想(小説風)「たっくんの驚き」
ぼくは、たっくん30歳(1996年生まれ)現在2025年。もともとは名古屋の大都会に住んでいました。でも仕事も覚え面白くなってきたある日、ある人に再会した。その人はもともとは会社の先輩であるんだけど、脱サラして八ヶ岳に住んでいるという。
「あら、たっくん、久しぶりだね」
「ミカさん、お久し振りです。最近は八ヶ岳に住んでいるって聞きましたがいかがですか?」
「そうね、ちょっとこの名古屋での生活とまったく違うので説明できないな。。今度の週末に遊びに来なよ」
そう言って、ミカさんはLINEだけ交換して去っていった。
(田舎に暮らしているから、もう少しゆったりした雰囲気かなと思っていたけど、昔とまったく変わっていないな)
ぼくは、土日を利用して、彼女の八ヶ岳の家に遊びに行くことにした。もちろん初めてだ。名古屋からは3時間半くらいで着く距離だから朝ゆっくり出てもお昼には到着できる。
(ここか〜、すごく変わった家だな)
ドアのチャイムを鳴らす。
「いらっしゃい、待ってたわよ」
ミカさんはその「変わった家」に案内してくれた。
「なんか、外見随分変わった家かとおもったけど、中は意外に心地いいし綺麗ですね。」
「そう、これはね、ドームハウスっていうの。ここのコミュニティーではみんなこれに住んでるわ」
「何がいいんですか?」
「1つはエネルギー効率、もう1つは災害に強いこと、さらいにいうと柱がないでしょ。だから開放的なの」
「へーーーー」
「喉乾いたでしょ、ちょっと待ってて」
と、1杯の水らしきものが出てきた。なんだよ、冷たいコーラが飲みたかったのに。
「冷たい!!! え!それに美味い!、これって水道水ですよね、名古屋と味が違いうな〜」
「ははは、実はね、この水は水道水じゃなくて、井戸水よ」
「え!ぼく、初めて飲みました。」
都会育ちのぼくには、水だけで感動だ。
ピンポン! ドームハウスのドアが鳴る。ミカさんはそのお客さんから野菜らしきものを受け取った。
「ちょっと待ってください」
というと、彼女はテーブルの上の携帯電話をもって、ドアにもどって、LINEを交換しているようだ。
「ありがとう」
ミカさんは野菜を受け取って台所に置いた。あれっ??そういえばこの家には冷蔵庫がない。
「ミカさん、あの〜、冷蔵庫は?」
「ないわよ」
「え?? 大丈夫なんですか?」
「ええ、だって、毎日毎日新鮮なもので生活しているから、備蓄がいらないの」
冷蔵庫ないのに生活ができるのか。。。ますます分からん。
「そういえば、さっきのお客さんとLINE交換してまたね。」
「いえいえ、あれはね、電子コインを渡していたの。サンクスコインっていうのだけど、何かをもらったり、してもらったりしたら自分の感謝をコインで支払うのよ。もちろんコインの量は、自分の判断ね。」
「ええ、それは、ビットコインですか?」
「違うわよ、仕組みは同じだけど、いわゆる草コインね。ここのコミュニティーの中ではね、お金の交換はしないの。もちろん法定通貨であるお金をサンクスコインに変換できるけどね。ここにはね、いろいろな人があつまっているの。主軸は携帯電話のアプリでつながっているんだけど、それぞれの得意なこと、好きなことを他の人に提供することで経済が回っているっていうのがわかりやすいかな」
びっくりだ。お金を使わないで生活出来る?縄文時代じゃあるまいし。。
「まったく、お金は使わないんですか?」
「そんなことはないわ。今はね。コミュニティーが成熟してくれば、その外とのつながりがなくても完結できるようになってくると思うわ。たとえば、このお洋服。このコミュ二ティではまだ、お洋服を作る人がいないので、円をつかって、買うしかないわね。そう、生きるため生活ベースはコイン。それ以外は、コミュニティの外への販売で収入を得ているわね。」
「へーーー」
さっきからぼくは、驚きの言葉を連発するばかりだ。
「コミュニティの基本軸はお米や野菜づくり。食べ物があれば、コミュ二ティーは維持できるでしょ。それでね、サンクスコインがあれば、食堂でご飯も食べられるの。寄付もあるから、コインがなくなっても、コインをもっていない子供でも好きな時に好きなだけご飯が食べられる。」
「えええ、本当ですか? セーフハウスっていうのは聞いたことがあります。2020年の時にあの新型コロナで経済が傾いてしまったせいで、仕事を失ってご飯も食べれらないからボランティアがやっていたあれですね。」
「ちょっと、違うわね。お金がないとできないっていう概念はかなり薄いのがこのコミュニティーよ。独り占めっていう考え方を持っていたら生活できないし、そもそも生きていけるんだから際限なく所有する意味がないの」
確かに、お金は貯蓄しているぼく。。老後は数千万円かかるから今から一人でも生活できるようにしなくっちゃって、強迫観念にかられて頑張ってしまっている。たまに、なんのために生きているのかわからなくなってしまう。
ミカさんは会社にいた頃は、30代後半だったから、もう40歳は超えているな。でも、まったくそんな風に見えない。
「ミカさんは、相変わらずお綺麗ですが、何か努力をされているんですか?」
「ありがとう。でも、いいえ、何もしてないわ。ただ、このコミュニティーでは全て自然農といって、無農薬、化学肥料は使わないので、水と同じで体にはいいものばかりよね。それとストレスもないからかしら」
「主な仕事はどうしているんですか?農業も?」
「さっき、ドアの隣に小さな菜園があったでしょ。あれが私の農業。お米は他の人から分けてもらっているわ。で、仕事はね、量子による反重力、反物質の研究をやっているわ。面白いわよ」
確かにミカさんは、ぼくの会社でも優秀なエンジニアだった。突然辞めた時はびっくりしたっけ。
「でも、ミカさん、こんな山や田んぼばかりのところで、そんな仕事をする場所があるんですか?東京までは出られないでしょうし・・・・」
「もちろん、ここよ。八ヶ岳のこのコミュニティ内。自転車で5分ね。」
「すごい!」
「田舎暮らしで、まったりとスローライフもあるけど、実は世界の最先端の研究施設がたくさんあるわ。大手企業ではできないまだまだシーズと言われている未知の科学の研究施設ね。水を空間から取り出す技術や太陽に変わる光の汎用化とか。。」
スローライフで定年を迎えた人の集まりだと思っていたけど、まったくイメージが変わった。
つづく。。。。
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