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SSDが壊れるまで(SSDの基礎)

SSDの出荷台数

SSD(Solid State Drive)は、ノートパソコン(ノートPC)のメインストレージやデータセンターの最上位ストレージ、パソコンの交換・外付け用ストレージなどで、急速に市場を拡大させつつあります。

調査会社テクノ・システム・リサーチによりますと、SSDの世界出荷台数(スマートフォンなどのフラッシュストレージは含みません)が、大幅に伸びていることが分かります。2011年には約1500万台しかなかったのが、2013年には約5000万台と、3倍以上に増えています。ちなみに同じ2013年のHDD世界出荷台数は約5億5000万台で、SSDの11倍ほどもあります。そして2015年にはSSDの出荷台数は約9300万台となり、1億台に迫ります。ちなみに2015年のHDDの出荷台数は約4億7000万台です。この時点ではまだ、HDDの台数がずっと多いです。

その後、HDDの出荷台数は減少を続け、SSDの出荷台数が増加を続けました。2020年にはついに、出荷台数の逆転が起こります。HDDの出荷台数が2億6000万台だったのに対し、SSDの出荷台数は3億1500万台になりました(いずれもテクノ・システム・リサーチの公表データ)。その後も、SSDの出荷台数とHDDの出荷台数は差を広げると見られています。

信頼性工学によるアプローチ

SSDの信頼性に対するイメージは、HDDとの比較で語られることが少なくありません。いわく、騒音がない(PCの起動音がない)、PCの起動時間が短い、読み書きが速い、衝撃に強い、書き換え回数に制限がある、といったものです。

こういったイメージとは別に、信頼性工学によるアプローチは、SSDとHDDで違いはありません。SSDは数多くの部品で構成される「システム」です。システムの故障率は、時間の経過とともに変化します。その変化をモデル化したものが、「バスタブ曲線(バスタブカーブ)」です。バスタブ曲線では、故障率の傾向の違いによって3つの時期、すなわち、「初期故障期」、「偶発故障期」、「摩耗故障期」を定義しています。

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