見出し画像

ウクライナ : ウクライナ国民の58%が「領土で妥協すべきではない」という回答

前回の調査から「領土で妥協すべきではない」という回答が3%増えた。ウクライナでもっとも信頼できる調査機関「キーウ国際社会科学研究所」の調査だ。
私が2023年の9〜11月にウクライナを訪れ、ウクライナ各地を周りそこに住むウクライナ人に話を聞いた時は、ほぼ全ての人が「領土で妥協すべきではない」との回答だった。記事の中にあるグラフとほぼ合致する。
その後この数字は増えていくことになる。
全くの私見で確認調査をしないといけないのだが、「領土での妥協」というのは、現在の占領地域ではなく2014年から占領状態にある「ドンバス地域なら」ということなのかと考えてしまう。理由は不法な占領から10年が経ち、ロシア化が進んでいる地域や分離主義的考えをするドンバス住民(ロシアから移住した者も多い)の増加などが考えられる。ドンバス地域の産業問題も考慮すべきかもしれない。かつてはウクライナの経済の多くを支えていた重工業が長年の戦闘で壊滅状態にあること(その他の占領地域の多くも同じような状況ではあるが)。産業の空洞化にも原因はあるかもしれない。
朝日の記事には書かれていないが、キーウ国際社会科学研究所(KIIS)の調査結果を見るとある程度私の考えていたような結果になっている。それらの調査結果は、地域別(東部、西部、中央部、南部)の結果や占領地域を分けるなどの占領地域なら妥協出来るかまで調査されていてウクライナ側の苦悩もわかる。
ただそのような状況(占領地域)でも親ウクライナの住民もいる。仮に領土で妥協するのであれば、占領地域にいる住民の避難や移動は最優先で是非行ってもらいたいものだ。
懸念としては「仮に」領土割譲を認めた場合、その地域はロシア化が進み住民もパスポートをロシアに切り替えざるを得なくなるだろう。今でも占領地域に家族を残したままのウクライナ人も多い。在日ウクライナ人も同じような状況の人達がいるし、ウクライナ人にとっては国籍(パスポート)の問題はアイデンティティに関することなので非常に重要。
実用上の問題もある。ロシアのパスポートを取得した場合、全ての国にスムーズに行ける訳ではない。状況によってはビザのおりない国もある。在日ウクライナ人の中でも僅かだが分離主義者(親露派)がいる。彼等は決してロシアのパスポートに切り替えようとはしない。行動の制限がかかる(渡航時など)からだ。そのような在外ウクライナ人(親露)は占領地域がロシア領となった場合、往来が難しくなる(まあ現時点でもそうなのだが)。

この調査では、単純に領土問題を「妥協するか」「妥協しないか」という事しかわからない。どのような理由でこのような回答に至ったのかを調査してみたい。
大国の狭間で理不尽な条件を甘んじて受け入れざるを得ないのかは、今後のヨーロッパやアメリカの対応にかかっている。
国際社会は決してロシアの「攻めたもの勝ち」や「占領したもの勝ち」を許してはいけない。

キーウ国際社会科学研究所の調査結果
地域別(東部、西部、中央部、南部)の結果や占領されている地域を指定した調査結果がわかる。
https://www.kiis.com.ua/?lang=eng&cat=reports&id=1447&page=1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?