役に立つオトコの話
おもしろくてためになるのか、とりあえず長い話
「保育士を7年やっているんですが…
こんな不思議な子は初めてです。」
そう担任の先生に言われたのは、
ちょうどロディヨガの講師養成講座の帰りだった。
演劇発表会の練習中のタモ子。
出番じゃない時に、ついついお友達と遊んでしまったり。ステージの袖でお話に全く関係ない大声を出したり。
その日も突如「にくまんおいしー!!」って大声で叫んだらしく。(その肉まんおいしー!の意味は後で聞いたら笑える理由なんだけど笑)
とにかく、みんなの邪魔をして困る。
担任の先生は慣れてるからまだいいんだけど、
他のクラスの先生がおいおいどーにかしてよ。の困り顔。
なんせ他のクラスの演劇も邪魔するからね。
なんなら、歌も歌わないし、踊りも踊らない。
どーかしたら自分の出番にも出てこない。
でも、他の子をいじめたり、反抗したりするめちゃくちゃ悪い子でもなく。
すんごい良い子でもない。
ただただわけがわからない子。
とても困っています…と。
そうか。
そうか。
7年やっても出会ったことがない逸材か…!!
やるやんけ!タモ子✨✨
と私は思ったけど。
まぁ困るよね。
集団生活だと困るよね。
はて。どうしたものか。
そもそも私はあまりタモ子に困ったことがないかも。
それは家では集団生活じゃないからな。
なんなら我が家ではほぼいろんなことがオッケーやしな。つーか私がだいぶフリーダムやからな。
いや。とにかく、
私は担任の先生がめっちゃ好きなので、
何はともあれ先生に手紙をしたためてみた。
・私が思うタモ子の特徴
・タモ子の良いところ
・私なりのタモ子の扱い方
しかしはて、なんでタモ子は大声を出すのか…
と考えてたら…。
ちょうどその日の講座の中で話が出たこと
『こどもには役割を与えることが大切』
ロディヨガのクラスでも、
先生のアシスタントとしてポーズのお手本をしてもらったり、合図を出す役をしてもらったり。
そうやって役割を与えて引き上げることでクラスがグッと良くなると。
…ほう。ほうほう。
そういえば、タモ子はお手伝い大好きで、
いつも役に立ちたいオトコ5歳だった。
「すいませんが、彼に役割を与えてもらえませんか。集団だから、目立つことはできないかもしれんので、
とりあえずなんでもいいので、みんなの役に立ってると思える機会を…」と。
つっても、クラスの人数も多いしなかなか難しいかなぁと思いつつ翌朝先生にお手紙を渡して。
その日のお迎え。
「おかあさんっ!!
うまくいきました!!お手紙!うまくいきました!」とめっちゃ嬉しい報告😃
理解ある担任の先生は
早速タモ子を〝うたの先生″に仕立て上げたらしい。
「はーい!今日はタモ子ちゃんはおうたの先生です!
先生が大きな声で歌ったら、みんなも大きな声で歌えるよねー?」
と、みんなの前に出されたタモ子。
今までの練習で、タモ子は歌ってることがほぼなかったらしく。きっと歌詞も覚えてないし興味がないのかな、と思われていた。
が!!
〝うたの先生“のタモ子は違った!!
覚えていないと思われた歌詞は完璧に覚えていて、大声で堂々と歌う。
劇も出番も台詞もちゃんと言える。
ステージ袖でもちゃんと待つ。
なんならついつい暴れてしまった給食の時間も
「あれー?タモ子ちゃん、今日はおうたの先生だよね?」って先生が言うと、
急に静かになって、お茶でも飲み出して。
その後もびっくりするくらいおりこうさんだったと。
『みんなの役に立つだいさくせん』大成功✨✨
「いやー、こどもを変えようとするのではなく、
扱いを変える。とっても良い勉強になりました!」と先生も嬉しそうにしていた。
いろんな子供がいる保育の現場。
先生も、子供も、親も。
みんなが納得して良くなる方法はある。
子供のことを勉強したり知識を得ることは、
なんか子育てをノウハウでやるみたいであんまり好きじゃなかったけど。
こうしてキッズのヨガに関わることで、勉強することで、子供と子供に関わる人が楽になる。
知ることで子育ては楽しくなる。
そう思ったのでした。
そして、先生と。
「いやー。アイツ意外とちょろいっすね。」って大笑いしたのでした。
子供っておもしろいなぁ。
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