自然が織りなすデザインで新発見
自然がつくるデザインが数学的であることはよく知られています。
例えば、カタツムリの殻模様などは黄金比の例としてよくとりあげられます。
よくフィボナッチ数列という数学用語も出てきますが、これは結構自然の世界では色々なシーンで見ることが出来ます。
そして、人間自身の創造物でも結果としてそうなっていることもあります。
もしかしたら生物共通の原理的な発想があるのかもしれません。
そして中世のレオナルドダヴィンチになると、逆にその原理を知っていて、意識的に自身の作品に盛り込んだのではないかといわれています。
ただ、それだけではわからないデザインもあります。
たとえば、昆虫の「複眼」はいままで六角形が大半でしたが、まれに変異体で「四角形」となっているものもあり、今までは例外として片付けられていました。
そして、それについて新しい仮説が最近日本の研究グループから提唱されました。
要は、
昆虫の眼が6角形だけでなく4角形もあるのは、ボロノイ分割によるものではないか、
という話です。
ボロノイ分割とは、公平に分割する手法として編み出されたものです。
例えば、2つの点があって等距離の集合体は、垂直二等分線ですよね。
昔定規とコンパスで作図したのを思い出した方いるかと思います。
実際に、日常生活でも使われており、上記記事内でも例示されているとおり、公立学校の区域を決める手法として使われています。
下記のサイトが分かりやすく解説されていたので紹介しておきます。
この数学的な手法が自然の器官を形作るデザインに使われていたとすると、非常に興味深いです。
複眼を例に戻すと、大体が6角形でこれは密度や頑強さを重視した結果というのが定説です。
「ハチの巣」も6角形ですが、これは最も大量の蜜を蓄えられるためと思われており、ハチが本能的に学習した結果なのでしょうね。
さらっと言いましたが、これはこれですごいことです。。。
頑強さは、同じく六角形状の「雪の結晶」を補足しておきます。
雪を構成する水分子は、酸素原子1つと水素原子2つから構成されています。
この分子を構成する力が酸素から見て各水素原子120度が最も強力に働きます。これもある意味生存を維持しようとする自然の意思とも言えます。
それが4角形になるのが、単に上記だけではなく幾何学的な基準で設計されたていたのは興味深いです。
ちょっと飛躍的な話かもしれませんが、生存のための安定性を志向してきたのが落ち着きを見せ、新しい生物原理が徐々に採用されつつあるのかもしれません。
その原理が幾何学だと意思に近いものはくみ取れませんが、そもそも自然というものはそういった意思とは別の流れで進んでいるのかもしれません。
例えば、「コンストラクタル法則」という物理法則が提唱されています。(まだ仮説です)
そこでは、地球上の全ての物質(生物・無生物問わず)が、流れを良くする方向に進化しているとしています。
その流れとして今回の幾何学上の設計をとらえると、また違った派生仮説が生まれるかも、とふと思った次第です。
いずれにせよ、あらゆる物質に原理的な法則がある、というロマンはどうしても心をざわつかせてしまいます。
デザインと生命はまだまだ掘ったらおもしろいことがありそうです。