DeepMindが新たなアルファシリーズを発表
AIのフラントランナー Google DeepMind社がまたも話題を呼んでいます。
DeepMindは、以前から注目していたので何度か投稿しています。1つだけ引用しておきます。過去の流れも大体わかります。
今回は、過去の流れもあるので簡単に触れておきます。
まず、DeepMindが世の中で一気に知られるようになったのは、おそらく囲碁の世界チャンピョンを破ったAIを開発したことだと思います。
そのAIのコードネームが「AlphaGo」でした。
AplhaGoが人間に勝ったちょうどそのころに、裏で別のAlphaシリーズのAIプロジェクトが発動していました。
AlphaFoldと呼ばれ、タンパク質の3次元構造予測に特化したものです。
人間の遺伝子セット(ゲノム)は21世紀に解読されましたが、タンパク質はその3次元での畳まれ方(Foldのされかた)で性質が決まり、悪い場合は認知症など人類の難病にも関係します。
そのタンパク質を3次元解析する精度を飛躍的に高めたのがAlphaFoldです。
そしてその後、解析結果をオープンに公開して誰もがアクセスできるようになりました。
これは製薬業界など新薬開発に関わる方には結構なインパクトが出たのではないかと想像します。
ここまでが過去の経緯です。
今回9/19に発表された新たなAIの名称は「AlphaMissense(アルファミスセンス)」と呼びます。
前回のFold(3次元の畳まれ方)につながる系譜(元のモデルはFoldとのこと)で、Missenseとは「異常」を意味します。
生命科学では「Missense Mutation(ミスセンス変異)」と呼ばれ、いわゆる遺伝子変異の1種です。
Scienceに公開された論文はこちらですが、概要図だけ引用しておきます。
AlphaFoldは、あくまで正しいタンパク質かどうかを予測する役割ですが、AlphaMissenseはLLM(大規模言語モデル)のように、入力をもとにして正しそうな回答を出力する機能を持っています。
タンパク質情報に特化したChatGPTというとイメージがわきやすいでしょうか?
分かったような分からないような・・・かもしれません。
例えば、ある特定の遺伝子疾患(異常)に対応するたんぱく質候補は、一般的には数千以上あるそうです。(スケールのイメージだけです)
それをしらみつぶしに1つ1つつぶすのは現実的ではないですが、そういったときにAlphaMissenseに候補を突っ込むことで、ある程度絞り込みをすることができます。
つまり、遺伝子疾患に代表されるように異常タンパク質を突き止める研究の生産性が飛躍的に向上します。
まさに今企業で起こっているChatGPT革命と同じようなことが医療研究で起ころうとしているわけです。
関係する方々はこの数年のAlphaシリーズ革命で相当影響を受けているのではないかなと思います。
そういえばなぜ「Alpha」を接頭語にしたのでしょうか?(もし知っている方がいたら教えてください)
どこかで「beta」や「gamma」シリーズも出るのかな?と、革命とは程遠いしょうもないことを考えつつ、次のAlphaシリーズを予測してみたいと思います。