2018年10月16日公開 28分
ここからは地引網の収穫です。薄い冊子を作るイメージで自分勝手にまとめています。
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「『好き』のハイスピードドライブ」
1. あふれ出る「たわごと」からの急カーブで本題へ
最初~5分36秒
● 新高1の子が主役で、普通の子。人を好きになったことがない、その気持ちがわからないと焦ってる子。相手は高2の副生徒会長。背が高くてかっこよくて美人でモテる。モテるけど誰とも付き合わない。多分恋愛に対して悩みを抱えてるっぽい、という「なるほどわかりました。好きだよそういうの」っていう設定。
主役の声が高田憂希さん。「ニューゲーム」という作品の青葉役で「今日も1日がんばるぞい」っていう名台詞をはいたキャラなので、どうしても主役の子が青葉に見えてくる。先輩のほうは寿 美菜子さんという人で、むぎちゃんをやってる人。この二人が生徒会室で会うんだけど生徒会室に行くとみんなお茶を飲む。むぎちゃんがお茶入れてるなあと思うとけいおん!の「放課後ティータイム」を思い出す。百合もので生徒会室というと「マリみて」の「山百合会」しかない。山百合会は古い木造の離れみたいなところが生徒会室だけど、「やがて君になる」も昔書道部だったという離れの木造の建物。それを見たとたんに「マリみて」を思い出すし、「マリみて」もみんなお茶とかコーヒーとか飲んでる。百合ものだから、「マリみて」オマージュとかリスペクトもあると思うが、さらに離れと言うと「ゆるゆり」という百合作品もあって…(よう)
2. マッチポンプは突然に
3分43秒~9分38秒
● 「はたらく細胞」は原作も知らなくて、「細胞」という言葉が付いているのでウィキペディアで調べた。免疫系の本格的な細胞が出てくるので「マジだな」とびっくりした。教育的に使えるし、実際コンテンツ展開の一つとして実際熱中症の会を無料公開するというサービスもしている。研究内容のアウトリーチ活動としてもっともポップな形。学研の「ひみつシリーズ」が好きだったけど、あれは教育目的の漫画だった。「はたらく細胞」はもともとがエンターテイメント作品で、結果としてアウトリーチに使えてサイエンスリテラシーを上げるために使えるのがいいと思う。(よう)
● アニメは見なかったけど評判がよかったので漫画を買って読んだ。漫画はいい。(いん)
● アニメは見たけど漫画は一巻しか読んでない。アニメもよかった。(よう)
● 実は今日、釧路の看護学校の講義でたまたま「炎症と免疫」を教えた。本当は先月その講義をやるはずだったが地震で飛んでしまい今月になって、その間に「はたらく細胞」を読んだ。先月だったら好きなようにしゃべったが、今月講義しようと思ったら、炎症、アレルギー、免疫担当細胞、好中球、リンパ球、B細胞、T細胞、マクロファージなどを「はたらく細胞」以上に教えられる気がしなかった。アウトリーチされすぎて、「今日炎症と免疫の話するけど、『はたらく細胞』っていう漫画読んだ方がいいと思うんだよね」と言った。本当についさっきの話。(いん)
3. 吹きすさぶヤバいの嵐、研究してたら即死。
● あれは細胞の名前も関係性も覚える(よう)
● 今まであんなに説明できたことない(いん)
● やっぱり絵とお話は強い。キャラクターも。(よう)
● マクロファージのキャラ設定がすばらしい。自分で漫画化しようと思ってもあれは思いつかない。なんでこのキャラ?と思うけど、読み終わるとあのキャラしかない。きれい好きで攻撃力も強いし倒錯したところもあるし、骨髄で赤芽球から赤血球を育てているというのが極めつけ。ヤバい。(いん)
● あれはヤバい。メイドの格好をしている必然性がある。(よう)
● ナチュラルキラー細胞がタンクトップ着てるヤバめの女性というのもめちゃくちゃうまい。ナチュラルキラー細胞を説明しようとすると「イネイトイミュニティ(自然免疫)」という単語を頭に入れつつ、抗原提示はしなくて猪突猛進なイメージもありつつ、細かい仕事は得意じゃないと言いつつ、ストレスなどのメンタルの話が世の中で言われますよね・・・までじゃないか。それは漫画の顔を思い浮かべて言ってるけれど、「はたらく細胞」を読む前はそんなイメージはない。(いん)
● 原作者の人は生命科学をやってた人ではないらしい(よう)
● それはショック(いん)
● ウィキペディアによると、妹に「細胞について覚えたいから漫画にしてくれ」って言われて免疫系の細胞を擬人化したキャラを描いて、という経緯があって、それを卒業制作のテーマにしたらそれが新人賞を獲って連載したらしい。特徴をつかんでキャラクターにする能力。自分たちは専門知識があったとしてもキャラクターにする能力がゼロ。
細かいことを言えば違うところもあるけれど、それは原作者が知らないというよりもキャラクターとしてその方が面白いから、という処理なのでは。正確性にこだわるとキャラや話の魅力がなくなる。(よう)
● そうなると赤血球が一番数が多いし大事な仕事をしているけど普通っていうのはわかる。(よう)
● 核がないし120日で死ぬみたいなところをあっさり無視してるところもうまい。白血球なんて本当は一回抗原と戦ったら死ぬはずなのに死んでない(いん)
● それは不正確なのではなくて話としてうまいということ。それでもし、これをきっかけに免疫系のことを細かく勉強するんだったらこれを入り口にしてちゃんと勉強すればいい。(よう)
● 病理の教科書を書いているが、炎症と免疫のところで頭を抱えていて、「ああ読んじゃった」と。あれを知らなければ自分で一から全部たとえ話でいけたけど。あれを超えられなければ世界ごと全部取り換えなくてはいけなくて「『はたらく細胞』を買ってください」にしないと。それでもいいんだけど、
● アニメ化することで考証が深まっている気もする。(いん)
● クレジット見た感じではそれほどでもないようだけど、連載する段階である程度考証はされてるかもしれない(よう)
● 商品として世に出ているものにあとから追いつこうとしても考証でかなわない。あれを見ちゃうと適当な比喩でお茶にごすのやべーな、と思う。「やれる人がやったらもっとおもしろくなるんだ」と思うと悔しい。(いん)
● 入門書に関しては特にそうかもしれない。いっちーが「一人で全部書く」時は、一年目の看護学生に向けて書く、とかを頼まれることが多いから、こういう作品のことは気になるだろう。(よう)
● 「一人で全部書く」はアホ。ああいうのがあるのは、「世の中広くてうれしい」という気持ちと「おれが全部本書いてから見せてくれ」っていう気持ちがある(いん)
4. ねえねえ誰が好き?~来週へ続く
******* 感想 *******
最初から最後まで熱量が高め。笑い声も多くてほのぼの癒され回。ことにチャイムが鳴っても強引にマクロファージ愛を語り続けるよう先輩がたまりません。誰かが好きなことを好きなように話しているのを聴くことが好きなのだとしみじみ思います。
あとから聞き直すと最初の迸りが、ヤ先生のとまどいと合わせてたまらなくおかしい。
いんよう!の「わーっとしゃべっていて、ふと我に返る瞬間ベスト10」とかやりたい。
よう先輩は本当に狂気や暴力性のある女性が好きですね。ヤ先生はなりふり構わずゴリゴリ進む感じが好きなのか。
今回も知らないことをたくさん知りました。ありがとうございました。