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メルカリ採用の3つのブレイク・ザ・バイアス (分析ナレッジ)

今年の4月1日に創業したナレッジワーク社では、α版の開発が無事に進み、そろそろエンジニア体制の強化を考えるタイミングになりました。

そんな時、ふと、小泉さん(現メルカリ会長・鹿島アントラーズ社長)って採用に関して、どんなこと言ってたっけなというのを思い出して参考にしようと思い立ちました。

小泉さんはメルカリで長らくCOOを務められ、HRも管轄されていました。

僕とは会社は違いましたが、社会人同期(03年入社)ということもあり、公私ともに仲良くさせてもらっています。折に触れ、組織や採用について語り合ってきたし、沢山のことを学ばせてもらってきました。

今日はその中でも採用について印象に残った3つの考え方を、僕なりの視点で改めて分析してみました。

分析するフレームワークとしては、僕が一方的に尊敬している濱口秀司さんが常々語られている「ブレイク・ザ・バイアス」(※)という考え方を使わせて頂きました。

※人間の持つバイアスを可視化した時に初めて、その裏側に潜んでいるイノベーションの機会が見つかるという考え方です。詳細は記事をご覧下さい。

(ここに書いてあることは、私がコンサルティングしたアウトプットでも何でもなく、小泉さんに友人としてお伺いしたり、登壇でお伺いしたことをもとに僕の想像、いや妄想で分析したものです。小泉さんには記事公開の許諾をもらっております!)

ブレイク・ザ・バイアス① 応募者数と採用成果

小泉さんのお話で最初に驚いたのは、「採用目標1名であれば、応募者数は1名が理想」という話でした。

それまで私を含めた多くのHR関係者は「採用目標1名でも、できる限り多くの応募者数があると良い」と考えてきたからです。(下図①の◯を狙う)

図①

バイアスブレイク①

これは私たちが多くのことを工数と成果が比例すると考えてしまいがちなバイアスの表れでです。(上図①の斜めの点線)

しかし、小泉さんは工数が少ないが成果が高いというアプローチがあると考えていたのです。(上図①の☆を狙った)

メルカリはリファラル採用に力を入れ、優秀な人に対して「あなたの知り合いの中でこの分野で最も素晴らしい人を紹介して下さい」というような依頼をやり切ることで見事に優秀な人材を獲得していたように見えました。

ブレイク・ザ・バイアス② 年収と能力

小泉さんが何かの折にポロっと仰っていたのは、「年収800万円の人を二人採用するよりも、年収1200万円の人と年収400万円の人を採用する方がパフォーマンス上がると思うんだよな。しかも、その年収400万の人が将来年収1200万になるポテンシャルのある人だと尚良い」ということです。

多くの人が無意識に考えているのは「年収が上がれば上がるほど能力も比例して上がる」ということ(下図②の斜めの点線)や、「年収が高すぎる人は失敗した時のリスクが高すぎるかも」「年収が低すぎる人はあまり活躍しないかも」というようなことでした。(下図②の○を狙う)

図②

バイアスブレイク②

しかし、小泉さんは恐らく、エンジニアを中心として、年収に対して能力は乗数的に高まっていき、年収が2倍の4倍以上の、年収が3倍の人は9倍以上の能力があるというような捉え方をしたのだと思います。

そうすると、投資対効果が圧倒的に高いのは、年収が高い人ということになります。(上図②の☆を狙った)

結果として、メルカリには国内トップクラスの優秀なエンジニアが集まり、給与などの人材投資以上の成果を会社にもたらしたように見えました。

ブレイク・ザ・バイアス③ 国内採用と海外採用

小泉さんと直接話したわけではありませんが、メルカリはダイナミックに海外エンジニアの採用(特にインド)を進めていました。

恐らく、今メルカリは日本のスタートアップの中でも、突出した海外エンジニア比率なのではないかと推測します。

私から見ると、海外人材は採用の難易度も組織マネジメントの難易度も高そうに感じられます。(下図③の右上)

図③

バイアスブレイク③

しかし、日本のスタートアップが必要としているエンジニアの数に比して、あまりに国内エンジニアの数が少なく、その採用難易度は海外エンジニアよりも高いと考えたのかもしれません。(海外採用の位置は国内採用と相対的に見ると上図③の左上であり、そこを狙った)

Go Boldな施策の前提

組織や採用については、僕自身長年コンサルタントとして関わっていた領域ということもあり、あまりに沢山のセオリーを知りすぎています。

それが結果として何かしらのバイアスに繋がっていると思います。

実際にコンサルティングの際は、なるべく大きな失敗をしないように、従来のセオリー通りに進めることを提案しがちでした。(セオリーを知らずに失敗する会社が多すぎるので、それも間違ってはいなかったかと思います。)

組織や採用については8割から9割はセオリー通りで良いと思うのですが、1割から2割はブレイク・ザ・バイアスを狙って、リスクを背負ってでも大胆な勝負をしなければ大勝ちはできないかもしれません。(組織戦略で大勝ちせずに、事業戦略で大勝ちを狙うのも勿論ありだと思います。)


メルカリの素晴らしいのは、多くの企業がリスクを恐れて大胆な勝負を避けがちなところを、「Go Bold」というバリュー(行動指針)を定め、そうした勝負をしていくことに会社としてのコンセンサスをとっていることです。

こうやって分析してみると、「Go Bold」は単に新しいことをやる、無謀なことをやる、ということではなく、普通の会社がバイアスにかかってしまって気づけないアプローチを、一定のファクトとロジックに基づいて見つけ、最後はリスクを背負って勝負するとうことなのかなと感じました。

そして、そのリスクもきちんとマネージされており、不可逆なことについては慎重に、上手くいかなければ素早く修正するなども徹底されているのかと考えています。

そして何より、戦略を意図も含めて適切に理解し、実行し切れる採用における石黒さんのようなメンバーの方々が揃われていたらこそ、上手くいったのだと思います。

ナレッジワーク社の技術的挑戦

僕もナレッジワークにおいて、ブレイク・ザ・バイアスに挑み、事業も組織もイノベイティブなものにしていきたいと思います。

ナレッジワーク社のエンジニアは非常に優秀な3名のメンバーが集ってくれています。

しかし、ナレッジワーク社ではこれから様々な技術的挑戦をしていく予定なので、やはり優秀なエンジニアはまだまだ必要です。

技術的挑戦

僕たちと一緒にプロダクトづくりにおいて、ブレイク・ザ・バイアスして下さるフロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニア・インフラエンジニア・AIエンジニア(機械学習・自然言語処理に詳しい方)の方、ぜひお気軽に私のTwiiter DM、もしくは下記のサイトからご連絡下さい!

https://twitter.com/asanokoji



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