瑛人さん『香水』における「チャッ」という音とブラジル音楽
さて、J-popに少し詳しくなったぞ、ということで、前回予告していたところの瑛人さんの「香水」。
シンプルな構成なので沢山の人がカバーしたくなる、ということでヒットした、などと評されているようですが、聴いてみたら、ちょっと弾いてみたくなる、確かにそんな曲です。
「難し過ぎない」でも
「簡単過ぎるわけでもない」
つまり、ちゃんと美味しい要素が盛り込んである。
私が中学生、高校生くらいの頃から、10年以上にも渡ってその位置「難し過ぎない。簡単過ぎるわけでもない。ちゃんと美味しい要素が盛り込んである」曲の代表曲は、Red Zeppelinの「天国への階段」だった。
出だし冒頭の4弦7フレットのラから半音ずつ降りてくる鉄板クリシェのベース進行に対して八の字に上昇するメロディ。コードDに落ちた後に現れるFメジャーセブンス、1弦ミの解放弦の音もドミソ、レファラしか聴いたことの無い耳にとっては、偉く新鮮でオシャレ。
リピートする前に挟まれる、低音弦のスライド。
Bパート、ラストのコードDsus4の1弦3フレット=ソの音から降りてくるフレーズ=装飾音符も美しい。
しかし毎日ギターの試奏コーナーで拙いそれを聴かされるのは、堪らん!と「『天国への階段』禁止」と楽器屋さんの壁に紙が貼ってあったというのは、実話だったか、都市伝説だったか。
「香水」の話しである。
この曲でまず筆頭挙げられる美味しみは、
「チャッ」と鳴る、効果音である。
ギターは、弦を指でもピックでも弾くことで弦が振動して音となるのだが、このパーカッシブな音は、ギターの表面板に対して弦が横に振動するのではなく、上下に動く。具体的には、手で弦を上から叩きつけることで、弦が、指板に当たって音が出る。
その音を鳴らすタイミングも、微妙に難しく、うちの生徒さんもこの曲をやろうとするのだが、そこで苦心する。
コード進行を軽く書き出してみると
①G/A7/D/D
② G/A7/D/D
③G/A7/F#7/Bm
④G/A7/D/D
と3段目で軽くマイナーに行くだけで、
あとは全部このコード進行で行く。
でも1段目の最後のDは、サウスフォーを絡めた装飾音符を入れ、2段目4段目は同じことだが、シンコペートしたアルペジオで変化をつけている。
このコード進行でAメロもBメロもサビも行ってしまうのだが、サビんとこでマイナー進行が生きてくる。あの「ガッバーナー」という歌詞のリズムと地で刻んでいるギターのリズムが完璧ユニゾって、最高にキャッチーだ。
(AメロでもBメロでもサビでも構わず同じコード進行ということでは、この曲もそうだったとつい思い出した。Taylor Swiftの『we are never ever getting together』
私が「チャッ」という効果音に初めて意識的に取り組んだのは、ブラジルのアーティストDjavan(ジジャバン、あるいはジャバン)の
『Sina』という曲だ。
ちょっと息を呑む、というか、グッと頭で
実音出さないで、そのあとジャージャーっと
ハーモニー鳴らす。
ブラジル人からするとこれはレゲエだって
聞いたことあるけど、いや、アフォシェでしょ?
こんな奴もある
Djavan の『Asa』と言う曲。
ファンクをピックじゃなく
指弾きでこんな風にして弾くの
カッコ良いなーと思いました。
なんて検索してたらこんなの見つけた。
えっ、ハイラム・ブロック?
って言うか、デビッド・サンボーンの番組な訳だ。
当時の最高のメンツでのセッション。
ボサノバ風に弾くだけじゃない指弾きギターの名手といえば、私はまずこの人のことを思い浮かべる。
ジルベルト・ジルの『expresso 2222』
昔は、動画とかないから、
音だけ聴いて
どうやってんだろ?
って思ってた。
ブラジル音楽のフィンガーピッキングスタイルの底は、とても深いのだ。
そんな訳で『香水』のリズムに合わせて、
いくつかのリズムでギターを弾いてみました。
よかったら聴いていただけましたら幸いです。