オンライン講座でヘモン「指揮者」を読みました
12月20日の夜7時半から、NHK文化センターのオンライン講座「英語で読みたい!アメリカ文学」で、アレクサンダル・ヘモンの"Conductor"(指揮者)という短編を読みました。
ヘモンはもともと好きな作家で、一度対談のイベントをしたことがあります。暗い顔で真剣に質問に答えてくれる姿が印象的な方でした。
今回の作品では、詩人に憧れる主人公が、ボスニアの国民的詩人である先輩、ディドについて語ります。どうしても彼に追いつけず、アメリカに移住し、ユーゴの内戦が勃発して帰国できなくなり、そのまま詩を捨て、散文作家として頭角を表します。けれども自分は偽物なんじゃないかという気持ちは消えず、戦後ディドとアメリカで再開したときに、その感情は頂点を迎えるのです。
今回も受講生は様々な角度からこの作品を論じてくれました。何より作品自体の美しさ、そしてそこに流れている感情の苦さの指摘が印象的でした。ボスニア出身でアメリカ在住、という日本とはかけ離れた経歴の作家が放つ言葉に、日本の読者がここまで反応してくれるのが嬉しかったです。
次回はカレン・ラッセルのa"St. Lucy's Home for Girls Raised by Wolves"を読みます。これも楽しみです。
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