【報告】4月5日のオンライン講座でテネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』を読みました
4月5日の夜7時半からNHK文化センターのオンライン講座「文庫で味わうアメリカ文学」で、テネシー・ウィリアムズの戯曲『ガラスの動物園』を読みました。
今回は4月からの新講座ということで、メンバーもかなり入れ替わりましたが、また熱心な方が集まってくださったようです。今後がすごく楽しみです。
最初に自己紹介をしたのですが、なんとnoteを見て来た、とおっしゃってくださる方が何人もいて驚きました。この半年間noteを続けてきてよかったあ、と心底思った瞬間でした。
さて、この作品では、南部で大農園主の生活をしていたものの、今は没落している母親、脚に障害があり、外になかなか出られない姉、詩人を目指しながら淡々と倉庫勤務を続ける語り手の弟、と3名が密度濃くぶつかり合います。そしてすでに出て行ってしまった父親は写真だけの登場になりますが、結構なキーパーソンです。
ディスカッションでは様々なポイントが指摘されました。例えば弟のトムは、ジムという倉庫の同僚を連れてくるのですが、この人はなんと 高校時代のヒーローで、姉の憧れの人だったということが明かされます。
けれども実は彼には許嫁がいた。作品中ではそうはなっていないのですが、トムは実はジムに許嫁がいることを知っていて、あえて家に連れてきたのではないか、という意見が出てかなり驚きました。
あるいは、これは支配的な母親からトムが逃げ出す話なのかな、と僕は思っていたのですが、むしろ姉のローラから逃げ出したい、そして彼女を自立させたい、という話なのではないか、という説も出ました。
その他にも、ガラスの動物に光が当たってきらめくように、ローラにもジムという光が当たって 一瞬きらめくのだ、という解釈も出ました。
この講座では僕が思いつかないようなことを受講生がガンガン 言ってくれるので、正直 めちゃくちゃな スピードで成長させてもらっています。もちろん先生だから、僕も頑張らなきゃならないんだけど。
その他、実際に俳優として本作を演じたことがある人すらいました。衝撃的です。最初に台本を見た時には、かなり シンプルな作品に見えたけど、実際にやってみると割と複雑な、あえて男らしさを演じる男性みたいな部分を感じて難しいなと思っていた、という話が語られました。俳優の勘ってすごいですよね。
とにかく初回からすごく楽しい講座になりました。この講座では僕の講義 ・作品や作家の紹介、そして受講生とのディスカッション、というふうに構成されていますが、もちろん参加したくない方にムリに当てたりしません。
なので、忙しくて読んで来られなかった、という方も、とにかく顔を出していただければ楽しめるんじゃないかと思います。
次回はチャールズ・ブコウスキーの『郵便局』がテキストです。僕が訳した作品ということもあり、今から 少々緊張しています。次回も楽しみです。