《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.56
課題6:令和の静岡県につけるキャッチコピー
・タピオカの次はシズオカだ。
タピオカ、流行りましたね〜。まだ、売れていると思いますが(ピークは過ぎたようなので過去形で扱っていますが)、実は私、まだじぶんでタピオカ入りのドリンクを買って飲んだことがありません。(笑)
今さらタピオカ初心者に批評してほしくない! と作者の声が聞こえてきそうですが、まあ、飲んでいてもいなくても、このコピーを論じることはできそうなので我慢してください。
流行、マーケではトレンドと呼んだりしますけど、ここで言う『タピオカ』は社会現象にもなったタピオカ入りドリンクを指し、当時のトレンドの代名詞として登場させています。
作者は『次はシズオカだ』と勇ましく宣言し、『タピオカ』と『シズオカ』にある『オカ』という韻を踏むことでリズミカルに伝えてくれています。
感想を一言にまとめると、「若い」に尽きそうです。
若者、とくに男子にありがちな、何の裏付けもない自信。それが、このコピーの核だと思います。
よくわからないけど、なんか面白い。この面白いで気分をアゲて、指し示す方向に強引に持っていく。バブル時代の巷にころがっていた広告に、よく見られた戦術でしょうか。景気がよければ、こういう広告もアリなのかもしれませんね。
このコピーもオリンピックを控えた去年までなら、もしかしたら、通用する余地があったのかも? です。でも、残酷なことに、令和という時代は上向きの景気が続きませんでした。去年を0話としたなら、何十話も語られる波乱の時代の始まりで、「禍」と言われるほどの過酷な状況が訪れたのです。今、改めて読み込んだ時、このコピーの中身の空虚さときたら、、、語るまでもありませんね。
「令話の静岡県につけるコピー」にふさわしいと思えるのは、静岡県が新しい時代を切り開いていくために必要なタグラインです。そのためには、短い時間で入れ替わるトレンドを表現に持ってきたことは、選択ミスだったと思います。
でも、こういう勢いのあるコトバで笑うまでいかなくとも、そのくだらなさでクスっとしたのも事実。2019年は問題だらけではあったけど、時代の終わりと始まりが交差する瞬間にあった勢いや熱を切り取ったコピーとして、アーカイブに保管されるのなら本望ではないかと思います。
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