初学者は経営学をどう学ぶのがいいのか・・・
秋期の授業も終了です。
本来の研究分野は、アジア経済・国際経済なのですが、
この1年、学部生の経営学入門も担当してきました。
経済学と経営学は、関係は深いも別物です。
野球に例えれば、球を投げる投手は経済学で、球を打つ打者が経営学ともいえるかもしれません。
マクロ動向や、政策寄りの分析が経済学、中長期的視座で先行きの判断、
景気浮揚に知恵を絞るのが経済学、
どのような環境、政策にになろうと、とにかくそれに呼応して、知恵を絞るのが経営学
という見方もできそうです。
経済学部と経営学部・商学部の壁は、意外と厚く、
この両者を担当することは、かなりレアだと思います。
ちなみ、私は、来年度は経済学を担当しますので、今年度の経営学は自身で非常に勉強にもなりました。試行錯誤しながら、あくまで初学者向けですので、経営学入門ということになりますが、どのような授業を行ったのか、忘備として残しておきたいと思います。少なからず、学部生の皆さんのお役に立ったとすれば、幸いです。
まず、教材は、経営学を視覚的に理解できるものを選びました。
様々なテキスト・参考書がありますので、適材適所ということになると思いますが、経営理論の解説などはできるだけ避け、初学者を意識して、おすすめの本としては、図解をメインに据えました。
それでも、企業・団体・公務での就労経験のない、学部生がすんなり理解するのは、容易ではありません。
そこで、まずは、経営者のインタビューを実際に見てもらうことにしました。そこでは、TV出演用ですから、もちろんかなりピシッとせざるを得ない場面で、本音の本音はオブラードの中・・・という事もあるとは思いますが、リーダーらしい金言が散りばめられていました。
最初スタートしたビジネスが、環境変化で、全く、別のビジネスに変わったり、時代の変遷で、変化を迫られ、起死回生で再生したり、アジア勢の猛烈な追い上げのなかで、世界で闘うリーダーのリアルな姿をみてもらいました。
学生には毎回アンケートを実施し、扱って欲しいケースを聞き、
スポーツ産業、テーマパーク、小売業
などを取り上げました。
さらに、大きく経営戦略、マーケティング、ビジネスモデルについて、視聴覚をフルに活用してもらった段階で、実際に、学生の年齢に比較的近い若手のビジネスマンの方にも登壇していただきました(どうもありがとうございました)。
さらにさらに、ケースはある程度名の知れた企業が多くなるので、中堅中小企業の海外展開の姿は、こちらから、事例を拾っていきました。
例えば、ドン・キホーテであれば、小売業が店舗を小奇麗・スマートにして、深夜営業を行わずに売る中で、ご承知の通り、完全に逆張りをしている訳ですが、インドにおいては、ソニーは、ごちゃごちゃした地場の小売店に対抗すべく、小奇麗・スマートなソニーショップで成功した実績があるなど、逆の意味を突き詰めたり(逆張り戦略も時と場所で変わる)、
Amazonで売ると世界に売れる訳ですが、世界の価格競争に巻き込まれるので、敢えてAmazonでは売らない企業も出てきている、野菜由来で製造された、子供が万が一口に入れても安全なちょっと高めのクレヨンを、国内に続いてまずは米国販売に打って出る中小企業(SDGs的な視座で、安さではなく、ストーリーで売る)、
中小塗料メーカーが、高熱でも溶けない塗料に特化して、世界で引手あまたになっている事例(差別化戦略)、
デジタル化の遅れた飲食業界が、食べログの登場で、一挙にデジタルと融合、英語、中国語対応で、国際マーケティングに参入(DX導入)、
などの具体的な事例を踏まえつつ、テキストにある基本的な分析フレームワークを頭に刷り込んでもらう事に注力しました。
なお、これらの分析フレームワークはもう古い・・・そういう声はあり、応用、最先端を学ぶ場合は、このあたりがおすすめです。
本日をもって、しばし、学部向け経営学入門の授業からは離れることになりますが(大学院の国際経営は継続します)、経済学×経営学の新たな視座で融合した授業と研究を進める、大変貴重な機会を頂いたと思っています。
本NOTEは、経済学(アジア経済、グローバル経済など)の準備のために、
しばしお休みに入り、春になりましたら再開いたします。
よい春を迎えましょう。