上海モーターショーの好評価をどうみるか
アジア経済、輸出の鈍化が続いています。
コロナ期の黒もの、いわゆるデジタルデバイス特需の反動と、米欧の利上げで消費も一服、PMIでは、資源国は上々、アジアの輸出勢はしんどい・・・それが明白になってきました。
ベトナムは、早速減税に動きましたが、
コロナ禍が明け、内需でどこまで踏んばれるかが問われています。
さて、最近モーターショーは、世界のどこで開催されても、従前ほど注目されなくなっている感がありますが、今回の上海モーターショーは、かなり耳目を集めました。
理由は、EVにおける中国勢の躍進と同国における自動運転の実装化の進展といえそうす。そして、日本の産業の最後の砦である自動車が崩れると、既にOECDの中で様々な項目において順位を落としている日本において、先進国の座から滑り落ちるのではないか・・・そんな危機感もあるように思われます。
これは、ガラケーで一世を風靡した日本勢が、スマホで消えてしまった様相との既視感もあります。実際には、表舞台から消えたようで、しっかり、デバイスで稼いでいる日本勢も多いのではありますが。
さらに、自国は技術立国を長らくDNAとして刷り込まれた気質を持ちながら、最近の宇宙開発での厳しい情勢、その手前では航空機での挫折など、自動車の次が見えない中で、ある意味日本の産業の主砲が、どうなるかという不安は燻っています。
米中などの新興EV台頭で崩れると、マクロ的には、経常黒字を維持できなくなり、その結果、国債を国内で買い支えられなくなり、なんとか維持できていた国債国内償還の均衡が崩れ、金利が上がり、それでも円安で物価高・・・そんな明るくない未来をも不安視されています。
私が言うまでもありませんが、引き続き、日本勢には高い技術力は十分あると考えています。結局、ハード面で、全個体電池が完成して実用化され、電池の性能が飛躍的に上がればかなりの問題が解消されますが、あと1歩、2歩の壁は高く、かなりの時間を要しそうな様相です。
他方で、社会実装面の課題は少なくなく、猛暑や豪雪時の電欠の際の対応、そもそも、いわゆるオール電化になっても、電力供給において電源のグリーン化が遅れています。自動運転になった際の責任の所在では、いざという場合、日本の司法が、短期で結論を出すのは難しいかもしれません。
ただ、地方では既にガソリンスタンドが消滅しており、運転手も高齢化で不在になっています。それでも、電力インフラは国の隅々まで行き届いています。そうなると、地方から、もう、ガソリン車や人間の運転が持続不可能になったところから、EVとそれへの親和性が高い自動運転は普及しそうです。
日本勢が、粘り強く世界を席巻している分野は、少なくなってはいますが、まだあります。その代表例がカメラです。デジタルカメラに続いて、一眼レフカメラもまた、スマホのカメラの性能が上がって、消えるかと思われました。しかし、一眼レフは、デジタル化し、さらにミラーレス化し、五輪やWCでは、いまだに日本勢が席巻しています。豊富なレンズのライナップなど、インスタ全盛時代に、かえって重宝されてる感さえもあります。
上海モーターショーへの注目は、よくも悪くも、日本勢に大いに刺激になったはずです。そのことが、日本にどのような変化をもたらすのか、水素、バイオ燃料などで、内燃機関自体を残すことはできるか?
欧州主導の環境圧力は、今後、航空機においてもより高まるはずです。黒船ならぬ赤船の到来で、いい意味で刺激を受ける時代に入った・・・気持ち的には、そう考えております。