新NISAは、国際・アジア経済を学ぶ機会になりそう
さて、ようやく後期授業が着地しました。
都内は昨日大雪でしたが、予めリモートに切り替えられた方はよかったとして、かなり物流網が遮断されましたので、対面必須の方や、急増中の外国人観光客、はたまた受験生のみなさんなど、本当にお疲れ様でした。今月中は、しばしお気をつけください。
都内での雪の中での昨晩の雷は自分には記憶がなく、よく北陸は、冬の雷が多いと聞いていましたが、なるほど、これなのか・・・という感慨と、なんだかんだで、子供たちが作った雪だるまは各所にあって、やっぱり、雪も必要だよな・・・とも思ってしまいます。
少し時間を戻して、2月1日、この日は、ミャンマークーデターから3年が経過した日でしたので、少なからず報道もありました。同国の現状は周知の通りで、進出日本企業は、ビジネスと人権の圧力が続き、経済も低迷する中、様子見や撤退が続いていますが、その中で、ハニーズが第三工場を新たに稼働というのは、数少ないなかでも明るい話題だったのでないでしょうか。同社は、中国で事業を拡大していましたが、同国からは撤退。ミャンマーはほぼ生産特化ですが、相当なご苦労があったと思いますが、ひとまず、事業継続と雇用の維持さらには、拡大は、ミャンマー市民に支持されていることは間違いありません。
こちらは第二工場だと思われますが、
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ビジネス人権問題が、認証機関などを通じてクリアとなったことや、周辺国に比べると生産コスト上昇圧力が相対的に低減されているともあり、結果的に、ミャンマー(政府ではなく)市民とのwin-winになっているのであれば、大変素晴らしいことのように思えます。
そして、先週末、日本最大の書店に出向くと、極端に書籍の多いコーナーが。そう新NISAのコーナーです。雨後の筍のように、新NISA本が出ていました。太宗は、既に、この10年で米国株や、高配当日本株に投資して、いわゆる「億り人」になった方の体験記+制度説明の様相という感じでしょうか。他方で、そのコーナーでは、随所で、若い方から、よくわからないから、教えて欲しい・・・、という声が漏れ聞こえてきました。
新NISAの話を単純化して、まず「つみたて枠」に絞ると、一番人気の投信は、オルカンですが、中身は6割がアメリカ株であり、当面の行く末は、マグニフィセント7次第と言ってもいいでしょう。
つまり、新NISAブームの実態は、ミドルまでは、米国株ブームといって概ねよいと考えています(シニアは、日本株の株価が上がってしまって高配当株が見当たらなくなり、困っている感がありますが、それでも、インフレになり、新NIAの配当非課税を使って配当利回り>金利は続くと見込まれるなかで、放置してきた銀行預金から証券口座へと漸進的に預金は動かそうとしているように思えます)。
その米国株、外国人機関投資家の評価は、高すぎる・・・ではないでしょうか。その証拠に、日本株を買い進めているのは、外国人機関投資家であり、日本人は売り越しています。話を単純化すると、日本人は米国主体の外国株を買い、外国人は日本株を買っている(中国向けの投資を減らすリバランスの意味合いも指摘される)、これがこの新NISA1カ月で起きていることです。
米国の利下げはなかなか始まらず、日本のマイナス金利解除も震災などで待ったがかかり、事前予想された円高にはふれていません。むしろ新NISAでの外国株買いは円売り・ドル買いになるので、外国人の円買い・ドル売りを相殺してしまっています。結果的に、円安のまま・・・といえるでしょう。
この金利差がどうなるかに加えて、いわゆる「もしもトランプ氏(もしトラ)」は、もはや「もしも」ではなくなって現実味を帯びており、対中60%の制裁関税はさて置き、円安に対しても強烈な介入があると備えておく必要はありそうです。
https://note.com/koji_sako/n/nb35b829bcced
また、どちらかといえば「つみたて枠」よりも「成長枠」(インドに関しては「つみたて枠」にも投信はある)になるでしょうが、新興国への投資も、底堅い関心の高さを感じています。
その筆頭はインドです。モディ氏の勝利は確実視されており、グローバルサウスの盟主として、人口世界一のインドは、長期投資に適しているイメージは強いでしょう。
これまでは中国が新興国NO1、これからはインドだ。
そういう声の鼻息は、各業界で荒いです。
他方で、同国は慢性的な経常赤字国であり、数年前までは、フラジャイル5(不安定な5カ国)として、トルコ、ブラジル、南アフリカ、インドネシアと共にインドもまた、通貨が不安定な国として挙げられてきたことは押さえておく必要はあります。実際、日本企業では、製薬大手、通信大手が、通貨安で巨額の減損を余儀なくされてきました。
インド投信の中身は、金融のウェイトが高くなっています。同国のインフラ需要を鑑みると理に適っている気がしますが、金融セクターの過半を国有セクターを握っています。そして、同国の不良債権問題は、現在もビジネス界の常識でもあります。
新興国投信では、インドさらには、もはや、超グローバル企業である、台湾のTSMCや、韓国のサムスンは置くとして、それ以外では、インドネシア、ベトナムが注目されている印象です。
ASEAN企業になると、そもそも、企業名はわからない方が多いのではないでしょうか。実は、インドネシアもベトナムも、セクターでウェイトが高いのは銀行です。
銀行業は、経営は比較的安定していますし、高金利国ではスプレッドが高いので収益性が高いのは事実ですが、国が成長すると、金利低下・スプレッド縮小することを踏まえておく必要はあるでしょう。
やっぱり、新NISAといえでも、やっぱり海外投資なのか・・・リスク高いな・・・それは事実ですが、長期の資産形成では、日本よりも伸びそうな国に投資するのは、理には適っています。
されに、これまでどこか他人事だった国際経済、アジア経済について、新NISAを通じて、ミドルやシニアのみならず、若い方も関心を持つようになるように思えますので、それが一番私にとっては朗報になると考えています。
国際経済・アジア経済なんて、私に無関係・・・な人が、新NISAを通じて、風向きが既に変わってきている感じがあるのです。
これからまだまだ入試、進級判定、卒業&入学対応、そして、春にはもうオープンキャンパス(OC)と続きます。
そのOCでは、新NISAで考える国際・アジア経済というテーマでお話することになっています。
しばし、学会の査読論文対応・・・今回は、学会に複数入っていることもあって、査読される側以外に、する側もあるので、NOTEはお休みし、春に前期授業が始まりましたら再開いたします。
よい春をお迎えください。