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そろそろ、秋期の授業が始まります。
その前に、学会発表、講演、著書の推敲と駆け込み作業が続いておりますが、学生(学期性ではありませんがビジネスパーソンの方も!!)の皆様は、春期好調だった方はそのまま、不調だった方は秋期の奮起に期待しております。

さて、選挙結果とは、大分異なる体制で、新政権が発足したのがタイです。選挙で第一党になった前進党のイケメン若手実業家出身のピター氏は首相になれず、あまり認知度が高いとは言い難いベテラン実業家出身のセター氏が、第二党の貢献党を代表する首相に担がれました。さらに、与党連合からは前進党が排除され、親軍政党が入りました。

選挙では元々貢献党が圧勝するとみられていましたが、選挙直前になって海外逃亡中のタクシン氏が早期帰国を示唆したことで、親軍政党と何らかの妥結をしたとみなされ、有権者が離反、その分の票が前進党に流れたとみられていました。

ですが、タイにおいては、軍政時代の指名された上院を取り込まないと首相になれない仕組みで、結局、ピタ―氏を梯子を外され、表向きは必ずしもそう見えない感はあるも、内実はタクシン氏と親軍派が大連立したような塩梅です。実際、タクシン氏の刑期は8年から1年に恩赦されており、それを露見した形です。

さて、このごたごた、国際社会の評価は、普通に考えたら、民主国家とは言い難い・・・という厳しめの評価にはなるのでしょう。ブラックボックス度がかなり高いことは否めません。これでは、軍政権時と何も変わらない・・・、そういう市民の不安は燻ったままでしょう。

ただし、政権が安定すれば、タィなりに、じわりとバランスを取ったのだという失地回復の評価にもなるのでしょう。長年対立してきた貢献党と親軍政党が一応でも手を組めば、少なくとも軍のクーデターでのちゃぶ台返しのリスクは低減します。

さて、セター政権は、ひとまず市民のガス抜きが不可避とみているようです。目玉は、1人1万バーツ(4万円強)の、デジタルウォレット配布とういう政策で、単的に言えばばらまきですが、来年早々に実施するとしています。

https://www.bangkokpost.com/thailand/politics/2642773/new-govts-agenda-outlined-in-draft-paper


タイ経済自体は、輸出は調子がいいとはいえませんが、観光は回復、インフレも一時よりは沈静化して、消費がそこそこ持ち直しているのは、新政権にとって追い風ではあります。

とはいえ市民にとっては物価高。
それを緩和させ、デジタル化をさらに加速させる一石二鳥の効果を狙い、ひとまず、財政は気にしないということなのでしょう。


政策実施の詳細はこれからですが、大枠では貢献党に大きな影響力を持つタクシン氏と親軍派の妥協の形での政権運営になるとすれば、急進的な変化はない・・・少なくとも前新党が主導するような場合にような変化はなさそう・・・とは考えられます。

そして、日本企業はどうなるのか

タイはいわゆる「中所得個の罠」、豊かになる前に老いる状態に陥っており、その打開策としては、新産業、デジタルなどに活路を求めていますが、そのパートナーとしては、日本は伝統的パートナーと認識されています。他方で、新たなパートナーと認識されているのいが中国です。EVやデジタル分野で、近年台頭しています。セター氏は、中国人観光客の呼び込み強化をうたっていますが、それ以上に、投資分野の呼び込みを強化する可能性があります。

日本の製造業投資残高がASEANで一番多いのはタイです。つまり、日本の産業競争力がもっとも伝搬しやすい国と言えます。そのため、結局、粛々と日本自身が国際競争力を上げていくしかない。それが、日本とタイのwin-winのカギのようのにも思えます。

タイの先行きは、皆さん心配だと思います。
他方で、タイ市民は、民主化マインドは高めつつそれが叶わないことは落胆しつも、日本が競争力を維持するパートナーなのかを静かに注視しているのも事実。我々もまた見られている、そういいう意識を高めておく必要性はありそうです。


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