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フィリピンとデジャブ感のあるインドネシア大統領選

12月7日(木)が、書籍の刊行日で、都内の官庁とメディアなどで既知の方を回らせていただきました。お時間を頂いた方はどうもありがとうございました。

その中で、静かに、日本において新移民ともいえる高学歴外国人が増加、それが、日本国内で受け入れられており、もしかすると、いずれ、東京都知事が外国人になる?なんて、まるで、イギリス張りことが起きるのでは・・・などの話もありました。このあたりのネタは、また追ってフォローしたいと思います。

さて、インドネシアですが、ジョコ政権が2024年10月に2期10年で任期満了となりますので、2月に選挙が行われます。

世界最大のイスラム国家ではありますが、多民族、多宗教でもありますので、厳正に、厳粛に、無事に行うように、改めて啓蒙活動が行われているようです。


今のところ、これまでジョコ氏に2回敗れるも、
2期目に入閣し国防相となったブラボウォ氏がやや優勢
それを、前中部ジャワ知事のガンジャル氏が追い、
さらに、前ジャカルタ州知事のアニス氏が追う展開です。


ブラボウォ氏は、どうしても軍人のイメージが強い方です。強面の印象が否めず、地方自治体の首長出身のガンジャル氏が当初リードしていましたが、ここに来て、形勢が変わってきています。

ジョコ氏は、家具ビジネスから、中部ジャワ地域の市長、ジャカルタ州知事、大統領に上り詰めて、初の庶民出身大統領と言われていますが、その前のユドヨノ大統領は軍出身、陸軍大将でした。インドネシアで、アジア通貨危機まで開発独裁を続けた長期政権だったスハルト氏も軍出身、同国で軍は、表向きにはなかなかわかりにくいのですが、広大な国土を跨いで非常に大きな影響力を持っていますが、それゆえに、国内外の警戒感も高いといえます。

それなのに、ブラボウォ氏がここに来て巻き返しているのは、現職として非常に人気のあるジョコ氏の長男のギブラン氏が、副大統領候補として、ブラボウォと組んだことが大きな要素と見込まれています。

各候補の詳細については、みずほリサーチ&テクノロジーズの田村エコノミストらがよくまとめてくれています。

https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/2023/pdf/insight-as231130.pdf

本来、副大統領候補は40歳以上が有資格ですが、グレイな判定で首長経験者は別枠ということになり、36歳のギブラン氏が候補に認められています。

まだ、成り行きはわかりません。3者が混戦し、決選投票にもつれると、第3者の票は、ガンジャル氏に流れるかもしれません。

ただ、このインドネシアの選挙、どこかの国に似ているように私には思えます。インドネシアのお隣のフィリピンです。フィリピンでは、人気の高かったドゥテルテ前大統領は、娘のサラ氏の禅譲するかに思われましたが、結局、サラ氏は副大統領候補にまわり、マルコス氏がサラ氏と組んで、当選しました。事実上、大きな政党がなく、選挙のたびに小党が集散するフィリピンとは異なり、インドネシアには老舗政党が複数ありますが、それでも、2大政党、3大政党ではなく、多党の連立である点も、両国に類似性はあります。

フィリピンの大統領が5年1期まで、インドネシアは5年2期までと異なりますが、ブラボウォ氏は72歳、1期が妥当でしょう。フィリピン同様に、インドネシアも、一期、院政が敷かれた後に子女に禅譲になるのでは・・・という感じもします。

実際、マルコス政権は経済面では、ドゥテルテ路線を継承しています。外交面ではやや、米国寄りにスタンスは変えている感はありますが。

インドネシアは、ASEAN地域においては、地域大国です。ジョコ氏の外交中道路線、資源を活かした川上加工産業誘致路線、そこで成果を出したことは評価できるでしょう。一期目に間に合わなかったジャカルタ・バンドン間の高速鉄道、中国支援で、諸々混乱はありましたが、二期目には間に合いました。

グローバルサウス、その代名詞はインドですが、もちろんASEANも含まれます。そして、タイは軍の影響力が強いまま、ベトナムは一党制、民主国家ということでは、インドネシアとフィリピン、とりわけインドネシアが重要になります。

ブラボウォ氏の場合は、対内外強面イメージは払しょくされるのか気掛りですが、ジョコ氏路線の継続であれば、その懸念は払しょくされるのか、それとも、民主国家らしく、首長として実績を積んだ候補が選ばれるのか、来年そうそうは台湾総統選一色になるでしょうが、こちらもしっかり見極めておく必要がありそうです。

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