もしトラのアジアのリスクとチャンスを考える(2)?
徐々に、トランプ2.0の警戒論が高まってきています。
真っ先のそのニーズに応える役回りがくるのは、民間シンクタンクのエコノミストにコンサルタントであると相場は決まっています。
一足早く、トラ番エコノミストに名乗りを上げたのはみずほRTの松浦さんです。網羅的に、的確に整理されています。
https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/2024/pdf/report240227.pdf
個人的には、「国際秩序の漂流」と「脱炭素化の遅れ」は大いに同感です。
著名な国際政治学者のイアン・ブレマー氏は、「トランプ1.0の際には、ロシアのウクライナ侵攻も、イスラエルのガザ侵攻もなく、大統領を飛行機の機長に例えれば、経験の少ない機長でも飛ばせた。だが、今は、その双方があり、情勢は全く異なる。経験豊富な機長でなければ飛ばせない」と日本のTVインタビューで答えていましたが、国際秩序の足元が大きく揺れている時ですので、突拍子もない言動、行動が、混乱を招くことは間違いありません。他方で、脱炭素は、例えばEVにしても、足元では足踏み状態ですが、その足踏みを度を高めることにはなりそうです。
さらにもしトラは、米国が国際協調と単独主義を繰り返すループに陥っている国になっているか否かの試金石にも思えます。
KPMGの分析もみてみましょう。
こちらでは、米中貿易戦争の激化にスポットを当てています。
すでに、半導体などでは、サプライチェーンの分断に備えたサプライチェーンの強靭化、例えるならば、鉄道の路線を複線から、かなりのコストをかけて複々線にするような動きが加速していますが、EVの中核部品であるバッテリーや、中国が多くを握るレアアースなど、複々線に簡単にはできない分野は多いでしょう。
ですが、もしトラとなれば、次の4年で、複々線化に踏み切らざるを得ない分野が増えていくことは確実です。
アジアの見方は、定まってはいませんが、逆の見方もあります。
タイの英字紙では、トランプ2.0は中国と取引するのでないかとの憶測がみられる点は興味深いところです。これは、結果物別れではあるものの、トランプ1.0でベトナムとシンガポールで米朝首脳会談が(2度)実現したことが根拠に挙げられています。
米中デタントによって、ウクライナ、パレスチナを休戦に導き、そうすれば、米中双方、時間を稼げます。中国は経済の回復の時間が欲しく、米国はサプライチェーンの再構築に時間が欲しいという見立てではありますが。
さらに、本来不動産王のトランプ氏は、米国を低金利と不動産高に導くという見立ても。これは、現在の過度なドル高修正につながりますので、アジア勢にとっては、悪い話ではないでしょう。
もはや、「もし」ではありませんが、もはや用語として定着してしまったので、しばし「もしトラ」を続けていきます。