先祖の名前は◯◯衛門ばかり。なぜなのか？助けて〇〇エモン。
以前、家系図作成というか戸籍取得とそこからの情報読み取りにハマった。
地名、人名、歴史、仮名遣い、制度の変遷など戸籍一つから湧いてくる問いは数しれない（現在は軍歴証明書に興味あり）。
今回は、その中で「人名」について書きたい。
江戸生まれの先祖には、◯◯丞とか◯◯右衛門、◯◯左衛門といった名前が多い。また、改名して親と同じ名前を襲名した形跡も何度も見られる。
こうしたものに対して疑問を持っていたところ、面白い本にであった。「氏名の誕生」という本だ。
この本はなかなかに面白い。
以下、個人的に面白かったところを列記。
官名の僭称はだめ
◯◯丞とか◯◯右衛門、◯◯左衛門は、官名っぽいため、明治4年に禁止された。それによって、この手の名前はなくなった。
夫婦同姓は明治の決め事
夫婦別姓か同姓かの議論はそれがいつ決まったのか、なぜ決まったといったことを抑えておく必要があるが、明治8年には「婦女、人に嫁するも、なほ所生の氏を用ふべき事」とあり、別姓で、その後明治31年から同姓に変わったようだ。だから夫婦同姓というのは決め事であり、別に伝統とかではないようだ。
朝廷と庶民で名前のルールが違った
言霊信仰で、実名を呼ばれると持っていかれると感じる方々がいたり、一生で4回名前が変わるのが普通だったり、名前の構成が今より遥かに複雑だったための混乱があったよう。大隈八太郎菅原朝臣重信のような名前は、苗字、通称、姓、し、実名があったものを統合したり、逆にお坊さんのように名字のない人に名字をつける際に、釈とつけたがる人が多かったりとなかなか混乱したようだ。明治の政治、面白いな。
名前のお尻には意味がなかった
太郎、次郎、三郎というと、長男次男といった形で見てしまうが、当時は長男でも五郎とかは普通で、名前の後半には意味はなかったらしい。人間らしくするための記号というのにはびっくりした。逆に名前のこだわりポイントは名頭といって、名前の一文字目だったそうな。
うん、あんまり仕事には生きなさそうな本だったが、名前の理解が深まったので、戸籍をまた味わい直してみよう。