見出し画像

エンゲージメント考(1)-エンゲージメントとは何なのか-

エンゲージメントという言葉を見ない日がないほどにエンゲージメントブームである。

人的資本の流れからエンゲージメントサーベイの結果を開示することもあり、各社が測定してモニタできるようにし、その改善に躍起だ。
 
ところで、僕には2つの疑問がある。
まず、エンゲージメントとは何なのか。
そして、エンゲージメントは原因なのか結果なのかということだ。

どういうことかも含めて、このあとつらつらと書いていきたい。


エンゲージメントとは何なのか

まず、コロナ禍前の話になるが、エンゲージメントの専門家に話を直接聞いたことがある。エンゲージメントの種類は説明できるが、しっくりとくる定義はないとのことだった。

となると、僕の大好物の語源探しや言葉の定義の話から始めたほうがよさそうだ。

エンゲージメントの語源

エンゲージメントは最後にメントとある通り、エンゲージの名詞形である。

では、エンゲージとは何か。一見するとエンとゲージで分かれそうだ。語源辞典で調べると、to pledgeとある。pledgeは「誓約する」のことである。なので、エンゲージメントは誓約となるだろう。

ただ、まだまだここでは本質的な理解には遠い気がする。もう少し深めたい。

エンゲージリングを足がかりに理解を深める

エンゲージをシンプルに理解するために、和製英語「エンゲージリング」(正しくはエンゲージメントリング)を足がかりにしてみよう。

エンゲージリングはいうまでもなく婚約指輪のことだ。二人の人生が分かちがたく結びつきましたよということを表現しているように思う。

婚約とは結婚の約束を略したもので、約束の語源はくくって束ねることだ。約束よりも誓約の方が、約束したものに誓いが加わる点で少し強さを感じる。エンゲージリングはプロミスリングの一種だが、その先に結婚を行うことを前提としている点が強さに繋がるのだろうか。

エンゲージの本質は「交わりの度合い」

ここまで、結婚や婚約のメタファを使ってきたのには理由がある。

それを説明するために、エンゲージの本質は「交わりの度合い」という話をしたい。

契約という言葉がある。契約は、お互いの合意がなければ成立しないから、両者の主張が交わったときに成立するものといえる。

軍事用語にもengageがあり、敵陣についたときに「engage!」というという話を聞いた。軍事におけるエンゲージは、契約とは違うが、相手と自分が接触した、交わったという意味合いだから、やはり「交わり」であり、この文脈では交わりの始まりなのだと思う。

エンゲージとは、「交」という語感で捉えると良さそうで、どの程度交わっているのかを程度(重なり)で示すことができる。交点という言葉があり、交わりが点であれば、程度を測定することは難しいが、点ではなく、数学でやったヴェン図のような図形の重なりをイメージすると良いだろう。重なりが大きければエンゲージメントが高いといえるのだ。

本節のはじめの話に戻ろう。結婚や婚約のメタファを使ったのはなぜかというと、会社への就職は、会社との結婚と比喩的に表現されることがあるからだ。

結婚は解除不能な契約ではなく、双方が交わらなければ解約できるものであるし、当初は深く重なっていても徐々に重ならなくなることもある。現実世界の結婚には深く重なり合う結婚から離婚すれすれの結婚までがあるだろうから、重なりの度合いには温度差があるように思う。

だから測るのだ。

--

余談だが、であればマリッジサーベイでも良さそうだが、エンゲージメント概念は海外発であり、キリスト教社会では基本的にお題目としては離婚はないものとなっていて、結婚式でそのために誓いを立てさせている気がするのでエンゲージなんじゃないかなと。

ここまでを書いて、超長文化してきたので、ここからは記事を分けることにした。

続きはこちら。

いいなと思ったら応援しよう!