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財務分析を学ぶ際に初学者が躓くポイント
財務研修のお仕事が多く、一定の割合で応用編として財務分析の案件も頂く。
中堅以上の層や次世代リーダーに実施することが多いため、実施数はさほど多くないが、2009年くらいから財務分析の仕事は請けていて、その所感を書きたい。
財務分析には躓きポイントがいくつかある。数字?と思う人も多いだろうが、実は大半は「言葉」と「構造」だ。その点を書きたい。
日本語と算数で躓く
日本語で躓く
日本語で躓くというのは、会社における安全ってどういう意味、効率って何、成長ってどういうこと、といったところで躓く話。
これを問うと多くの人が答えに窮する。この紐解きをしっかりとやると良い。
算数で躓く
算数で躓くというのは、割り算って何?%ってどういうこと?比って何?というようなところで躓く話。顕著に多いのが、分子と分母が分からないために、上下が逆転すること。
かなり高学歴でも躓くので、当社は大丈夫という過信は禁物。
当社の研修は、言葉からしっかりやるようにしている。このあたりを丁寧に話すと、しっかりと中身が入っていく。
例えば、%などは、per(あたり)-cent(100)だとか。
前提知識で躓く
財務分析では、財務諸表にでてくる用語に加えて、財務諸表に書いていない用語が登場する。例えば、売上債権などは財務諸表にはこれが売上債権ですとは書いていない。
これを当社は財務分析用語と呼ぶ。
なので、財務諸表が読める人でも、財務分析用語がわからなければ財務分析をする出発点に立てない。
後述するが、財務分析手法は、財務分析用語をかけ合わせることで行われるので、この暗記が大切になるのだ。
ちなみに、この問題に絞っては、当社は「財の記憶」というツールを使って解決している。
重層構造で躓く
財務分析には、成長性分析などの用語がある。これを当社は「カテゴリ」と呼んでいる。成長性分析という計算式があるわけではないが、それがあると思う人は多い。
カテゴリの1つ下に、売上高成長率のような「分析手法」がある。成長しているかどうかは、売上だけでは判断できないから、他にも利益の成長率なども含めて総合的に見る。更に細かく◯◯利益の成長率まで見ていくことも多い。これらをまとめたものを成長性分析というのだ。
分析手法の集合体がカテゴリをなしている。それらをまとめて財務分析と呼ぶと考えてよい。
次に、手法は計算式を伴う。例えば、売上高成長率なら、(今年度−前年度)÷今年度になり、この中に前述の財務分析用語と財務分析用語が入り乱れる。
最後にそこに具体的な数字を当てはめる。
財務分析>カテゴリ>手法>用語>数字という重層構造が理解しにくい人もいる。
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ここまでは財務分析手法を用いて、算出するときの話だ。
ぶっちゃけると、実は算出をできるようにする必要はない。今はシステムが自動的に算出してくれるし、指標を見て読み解ければそれでよい。
ただ、どのように作られた指標なのかをわからずに論じるのは、仕組みの分からないExcelに数字を入れているようなもので、上辺のことである。
なので、言葉の上に積み上げた分析をこの後で行っていくことになる。
最後に
財務分析では、自社だけを見るのではなく、他社や平均と比べることもある。また、自社の過去と比べることもある。
そして、何が良いかの正解はない。だから、財務分析の結果を見た際に視野の広さが問われる。
成長性だけでも、安全性や効率性だけを点でみても、そのカテゴリしか理解したことにならない。俯瞰して各種分析を見ることで、その会社の真の姿が見えてくる。