アクティブではなくリアクティブからはじめよ−リアクティブからはじめよ(1)
社員が自由闊達に意見を出せるようになるには?
みんなが自由闊達に意見をだせている賑やかな会社。そんな会社になれたら素敵だ。
そんな会社にはどうやったらなれるのか。それを考えた結果、各自が自分から働きかけを行えることに行き着く会社が多い。
問題解決の考え方からすると、完全にコインの裏返しなのだが、本当にこれが多い。
当社へのお引き合いに「アサーティブコミュニケーション」の話が多いのもまさにこれが理由だと思う。(当社のお取引先を批判する意味合いはなく、最終的にアサーティブコミュニケーションが適切と判定できたらそれを提供している。)
自主的、自発的、主体的、能動的。いずれも違う言葉(この違いはどこかに書いた)だが、だいたいこんな言葉とともに比較的若手の段階で目指すものとして語られることが多い。これらに端的なラベルをつけると「アクティブ」かなと思っている。
アクティブではないことが問題視されるのは、アクティブの反対であるパッシブ。つまり受動的姿勢の人の多さと、その姿勢が問題になることがあるからだ(本当に問題なのかは別だと思っている。性格特性のこともあるからだ。)。
なお、受動には「動」が入っているが、動くという意味はない。あくまでも作用を及ぼされることを受動という。
受け身社員が一足飛びにアクティブになるのか?
反対のものを一足飛びに対極に持っていこうとする取り組み。よく見られることではあるがうまく行くことは稀だろう。
物事には段階があるし、できていないことは簡単にできるようにならない理由があるからできないのだ。ゼロイチはとにかく難しいのだ。
なので、できていないものをできるようにするためには、その間にある段階を丁寧に埋めていく必要があるのだ。
パッシブとアクティブをつなぐのは「リアクティブ」
パッシブとは受け身で、無反応な状態だと考える。前述の通り、受動とは動くことを含意しない。
それに対して、相手から何かを言われた際に返す反応を「リアクティブ」と名付けたい。アクティブとパッシブと平仄をあわせるためにリアクティブとしているが、リアクションだと考えるとわかりやすいだろう。
リアクションは相手の行為があってはじめて成り立ち、刺激に対して反応するというものだ。この段階が上がるごとに少し難易度があがる。リアクティブには概ね3種類のものがある。
リアクティブには3段階あり、それがアクティブとの間を埋めていく
まずは相槌だ。これには非言語、言語の2つがある。頷くなどは非言語、「はい」「なるほど」などは言語だ。パッシブよりは少しアクティブ寄りではある。このあたりは、当社は雑談領域だと考え、雑技談というツールの「あいづちカード」で余白を埋めている。
2つ目が相手の発言内容の反応である。ここには大きく2つのものがあり、オウム返しをする単純反復と、要旨をまとめて「こういうことですね」と返す要約反復がある。これは相手が明確に発信していることへの反応なので、要旨をまとめるのに多少の論理力が必要という以外はそれほど難しくない(と思う)。
3つ目は感情の反復だ。相手の発言の中にある感情表現を単に反復するもの(言語的、非言語的)がある。相手が「辛い」と行った際にサイコパスみのある嬉しそうな顔は決してせず、辛い話を聞いているような表情をしたり(非言語)、辛いといったら「辛かったんですね」と反復する(言語)ことだ。もう少しレベルが高いものには、相手が言語的、非言語的に何も語っていなくても「それは嬉しかったでしょうね」と感情を類推して言葉で表現するものがある。これは、一定のEQが求められるので難しいと思う人も多いかもしれない。
EQについては、、、おっとこれはまだ書けないんだった。
リアクティブはアクティブより簡単だからうまくいく
こうしたリアクティブはアクティブよりも簡単なものが多い(3つ目は難しいが)。
例えば、メールを新規で書き始めるよりも、返信の方が楽だろう。自分から誰かに話しかけるよりも話しかけられたら相手をする方が楽だろう。そんなものだ。そこから始めた方がうまくいく。
だから、当社は「トリガー」を高い優先度で学ばせている。トリガーへの反応がワークフローを回すことなので、まずこの反応を先に学ぶことでアクティブさを身につけていくのだ。
まずはリアクティブからはじめよ
繰り返しになるが、リアクティブですら抵抗がある、もしくはリアクションが取れないという人にアクティブを求めてもおそらくうまくいかない。アクティブよりも先にリアクティブなのである。
リアクティブを徹底的に磨くと、いわゆる聞き上手といわれるだろう。リアクティブはアクティブリスニングと呼ばれることもあるが、僕はリスニングにはアクティブもパッシブもないと思う。耳には発信機能がないからだ。(よく使われるので使うこともあるが)
wikiには以下のようにある。hearという感覚に意図、意識、目的等が加わったものであり、特段自分から発信する意味はもっていない。耳は受信器なのだから当然だ。
listen generally represents intentional, conscious, or purposeful use of the sense of hearing
最後に
リアクティブを磨き、コミュニケーションへの不安感をなくすことが、アクティブへの近道だ。
アクティブに発信したら反応がなかったり、リアクティブな反応が得られなかったりもする。また、リアクティブな反応が得られた際に、そこへリアクティブに対応することが求められるわけだから、リアクティブはアクティブになる前段のスキルとして欠かせないものなのだ。
続編として、少しリアクションについて細かく書いた。
なお、残った課題として、受動と能動の扱いがある。これについては、以下の中動態がしっくりくるので、勉強中である。
能動